番外編

□童話演劇シリーズ『不思議の国のアリス』 前編
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登場人物

*アリス→あなた

*姉→歌仙兼定

*白ウサギ→今剣

*チェシャ猫→加州清光

*帽子屋→鶴丸国永

*三月ウサギ→へし切長谷部

*眠りネズミ→不動行光

*双子(兄)→髭切

*双子(弟)→膝丸

*ハートの女王→三日月宗近

*ハートのエース→一期一振

*いもむし→薬研






歌仙「肥後八代に隠居していた細川忠興は、当主忠利を取り巻く近臣達の補佐ぶりが悪いとして、彼らを八代城に次々と呼び寄せ、この刀で首をはねたと言う。殺害した家臣が、36人であった為、細川忠興は三十六歌仙にちなみ「歌仙兼定」と呼んだ…」

『ZZzz…』

歌仙「…アリス、アリス!」

『…うぅっん〜』

歌仙「はぁ💨全く…。起きるんだ!」

『あっはい!ごめんなさい。つい、退屈で寝てしまいました!』

歌仙「仕方がない子だね。少し休憩にしよう。お茶を持って来るから待っているんだよ。」

『は〜い。お姉様!』



アリスの姉は、お茶を淹れに行ってしまう。



『お姉様の歴史の話は、何だかいつも殺したとかの話だから怖いのよね…』

今剣「たいへんです〜。ちこくしちゃいます!いそがなくては、じょおうさまにおこられてしまいます!!」



アリスの前を大きな時計を持った白ウサギが走り去って行く。



『何あれ〜!可愛いウサギさんだぁ!着いて行ってみましょ!』



アリスは、白ウサギの後を追いかけたが、ウサギの足は速く、なかなか追いつけず、見失ってしまう。



『見失ってしまった…。あら?こんな所に穴が…まさか、ここには…いないわよね…。』



アリスは、大きな木の根の間に空いた穴を覗くと手を滑らせてしまい穴の中に落ちてしまう。



『キャーーーー!!!』



穴の下に到達すると白ウサギがいた。



今剣「あぁ〜もう!たいへんだったらたいへんだーー!」

『あっ!ウサギさん待って〜』

今剣「あるじさま!まてないのですよ〜ごめんなさい!さきにいきますね!ばびゅ〜ん!!」

『あるじさまって…』



アリスは、再び白ウサギの後を追いかけると不思議な部屋に辿り着く。



『変てこな部屋ね…ドアが、あんなに小さい…私の体じゃ通れないわ…。
あら?テーブルの上に何かある。…「私を飲んで。」ですって…丁度、喉が渇いていたから頂きましょう!』



アリスは、小瓶に入った飲み物を少し飲むと体が急に小さくなった。



『わぁ!!…何だか小さくなったみたい。でも、これであのドアを通れるわ!』



ガチャガチャ



『鍵が掛かっているわ。…やだ!鍵がテーブルの上にある。どうしよう…届かないわ。』



アリスは、辺りを見渡すと小さな宝箱が落ちていたので開けると中にはクッキーが入っていた。



『…「私を食べて。」だって…これ以上、体が小さくなったら嫌だなぁ…。でも、食べないと話が進まない気がするから…食べる!』



アリスは、クッキーを食べると元の大きさに戻る。



『なるほど…この鍵でドアを開けて、さっきの飲み物を飲めば…』



ゴクゴク



『丁度良くなるのね!』



アリスは、不思議な部屋より出て行く。



『ここは、何処なのかしら?…白ウサギさんは、何処へ行ったんだろう…』

今剣「あーいそがしい!いそがしい!」



白ウサギが、走って行く。



『あっ!いた!ウサギさん、待って〜!!』



白ウサギを追いかけるが、体が小さい為に追い着けない。
アリスは、道なき道を進むと一匹の芋虫に出会う。



薬研「ん?あんた、誰だ?」

『えっ?私?…わたしは…』

薬研「なんだ?お前さん、自分の名前を忘れたのかい?」

『!!そんな事…えっと…。』

薬研「可笑しな奴だな。自分の名前を忘れるとはね。クスクス」

『…なんだか色々あって…名前を忘れちゃったみたい。』

薬研「ほう、色々って何があったんだ?」

『…変な飲み物を飲んだら体が小さくなって、クッキーを食べたら今度は大きくなって…忙しそうな白ウサギを追いかけたりで、なんだか目まぐるしかったんだよね。』

薬研「その変な飲み物とクッキーは俺っちが作った物だな。お前さんが今、座っているキノコだがな、右側の傘が大きくなる。左側の傘が小さくなるようになっている。試しに口にしてみたらどうだ?」

『右が大きく。左が小さくね。』

薬研「バクバク食べるなよ!少し大きくなるだけで良いなら一舐めで良いんだからな。」

『分かったわ!』



アリスは、大きくなるキノコを一舐めすると元の大きさに戻る。



『わぁっ!体が戻ったわ。芋虫さん、ありがとう!』



アリスは、芋虫に手を振りその場を去る。



『何かの役に立つかもしれないし、このキノコは取っておきましょう!』



アリスは、再び道を歩く。



髭切「そこの可愛い主。何処に行くんだい?」

『えっ…』

膝丸「兄者!主ではない!アリスだ!」

髭切「えっ?そうなのかい?君の真名は、アリスなのかい?ニコ」

『あっいえ…』

膝丸「いや、兄者。これは、演劇と言うものらしいぞ。なので、主のアリスと言う名は役名だ。」

髭切「あぁ〜そうなのか。アリス…と言う名が真名なのであれば君を神隠しに合わせてしまおうかと思ってしまったよ。ニコ」

『えっ…』

膝丸「兄者…」

髭切「ん?どうしたんだい?二人とも顔色が真っ青だよ。」

膝丸「兄者…本気で…」

髭切「あはは。冗談だよ。」

『はぁ💨ビックリした…』

膝丸「して、アリス殿!何をされていたのかな?」

『あっ!ウサギを追いかけてたの!知らない?』

髭切「ウサギねぇ…」

膝丸「ウサギか…」

膝、髭「こっち(あっち)に行ったぞ(よ)!」



兄弟は、互いに違う方を指差す。



膝丸「兄者!ウサギは、こっちに行ったんだ。」

髭切「ふふふ。ウサギは、あっちに行ったんだよ〜」

膝丸「いいや。こっちだ!」

髭切「えぇ〜あっちに行ったんだよ。」

『…。』



2人は、あっちだ!こっちだ!とずっと言い続ける為、アリスは呆れて2人が指差す方向の間の道を進む事にした。



『双子の兄弟さん。私は、先に進みます。ありがとうございました!』



アリスが、森の中を歩いていると何者かに声を掛けられる。



加州「ねぇーねぇー。」

『ん?』



アリスは、声がする方を振り替えるも、誰もいない。



『誰も…いない…』

加州「ねぇーってば!」



再び振り替えるがやはり誰もいない。



『なんで…?』

加州「クスクス。ねぇー何処、見てるの?上だよ!」



上と言われ木の上を見ると一匹の猫がいた。



加州「お嬢さん。どうしたの?」

『!!ビックリした。…あの、白ウサギを見なかった?私、その子を追い掛けてるの。』

加州「なんで、追い掛けているのかにゃ?」

『う〜ん。分かんないんだけど…そのウサギを追い掛けていたら、こんな変な世界に来ちゃったの…』

加州「ふ〜ん、帰りたいの?」

『そうね…帰りたいわ。』

加州「俺は…君を帰したくないけどね。(小声)まぁーいいや。俺の後を着いて来て。」

『?うん。』



アリスは、チェシャ猫の後を着いて行く。



加州「着いたよ〜。」

『なんだか陽気な音楽が流れてるのね…』

長谷部「お待ちしておりました。ある…じゃなく…アリス。」

鶴丸「おっ!客か〜?」

不動「ZZzz」

『皆は、ここで何してるの?』

鶴丸「お茶会だよ。」

長谷部「そうです!何でも無い日のお祝いです!さぁ!どうぞこちらへ。」



アリスは、三月ウサギより席に案内される。



長谷部「申し遅れました。私は、三月ウサギと申します。」

鶴丸「俺は、帽子屋だ!宜しくな。そこで寝てる奴は、眠りネズミだ。」

加州「そんな事より三月ウサギ〜早くお茶を出してよ〜。」

長谷部「かしゅ…じゃなく…チェシャ猫!茶ぐらい自分で…」

不動「…ね…こ…猫だって!!!猫、嫌い〜!!」



寝ていた眠りネズミが、猫と言う言葉に反応し目覚め大暴れしてしまう。



『えっ!!ど、どうしたの!?』

鶴丸「大変だ!!甘酒!甘酒を飲ませるんだ!!」

『えっ!甘酒!甘酒って…何処にあるの!!』

長谷部「アリス!これです!甘酒です!!」

『ありがとう!』



大暴れしている眠りネズミを帽子屋が押さえ、アリスが甘酒を飲ませる。



不動「あぁ〜ヒック…。眠くなってきた…おやすみ。…ZZzz…」

3人「はぁ💨」

加州「クスクス。やっぱりここは、いつ来ても愉快だよね。ニコ」

長谷部「誰のせいだと思っているんだぁーーー!!」

加州「えっ?三月ウサギのせいでしょ?俺の名前を言っちゃうから…」

長谷部「くっ…」

今剣「あぁーたいへん!たいへん!!ちこくです〜!!」

『あっ!ウサギ!!』

長谷部「はい!アリス、お呼びですか?」

『違う!白ウサギ!!私、あのウサギを追い掛けてるの!美味しいお茶をありがとう!じゃあ、またね!!』



アリスは、お茶会の席を外し白ウサギを追い掛ける。



『はぁーはぁー。なんで、いつも…見失っちゃうんだろ…。』

加州「クスクス。あのウサギは、小さくてすばしっこいからね。」

『チェシャ猫!!』

加州「ふふふ。また、迷ったんでしょ?」

『うん…』

加州「この辺りの道は、女王の道だよ。」

『女王様?』

加州「そう、ハートの女王だよ。」

『へぇ〜。』

加州「…会いたい?」

『うん。でも無理だよね。女王様に会うだなんて…』

加州「そんな事はないよ。だって…もう、そこが女王の城の庭だ。」



チェシャ猫が、指差す方向を見ると立派なお城が目に入る。



『うわぁ…大きいね…』

加州「行ってみる?白ウサギも城にいるよ。あいつは、女王の手下だから。」

『そうなの。じゃあ、行ってみようかな。』


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