大切な君達…大事な主へ…

□6 着物なんて1人で着れるかー!
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三日月「さて、此処が主の部屋だ。」

『私の部屋は、2階かぁ。…他に部屋は無いの?』

三日月「あぁ。2階には、主の部屋しか無い。風呂は、皆と一緒になってしまうからな入浴の際は、戸に札を掛けて置いて欲しい。札が、無ければ皆が入って来るからな。」

『分かった。忘れ無い様にする。』

三日月「あと部屋の箪笥の中に着る物などが入ってある。明日からは、それを着ると良い。」

『色々とありがとうございました。』

三日月「構わぬよ。では、俺は行くが…平気か?」

『はい、大丈夫です。』

三日月「…主。勝手に此方に連れて来てすまなかった。これから、お前は辛い思いをする事もあるだろう。堪えきれない時は、俺を頼ってくれ。俺は何があろうとも、お主の味方だ。一人で悩まなくて良いからな。」



三日月は、主に近づき頭を撫でる。



『…ありがとう。ニコ』

三日月「では、良い夢を見るのだぞ。…何かあれば直ぐに俺を呼ぶと良い。あぁ…何も無くても呼んでくれて構わないが…それと…うぅ〜」

『?』

三日月「はぁ💨お休み…。」



三日月は、名残惜しそうにして部屋を出て行き自室へ戻って行く。



((本当に疲れたな…。こんな現実離れした事があるんだなんて…。私、いつか、ちゃんと帰れるのかなぁ…。今は、いろいろ考えても仕方が無い。取り敢えず今日は、もう寝よ!))



次の日 朝



小狐丸「ぬしさま、お目覚めの時間ですよ。」



小狐丸は、主の部屋の前で主に声を掛ける。
しかし、主からの返事は無い。



小狐丸「…ぬしさま。失礼致します。」



小狐丸が主の部屋に中に入る。



『ZZzzzz…。』

小狐丸「まだ、寝ていましたか…。ぬしさま…起きて下され。朝で御座いますよ。」

『へっ…ケモミミのイケメンだぁ…幸せ〜』



主は、寝惚けながら小狐丸の首に腕を回し抱きつく。



小狐丸「ぬしさま…この様な抱擁とても嬉しいのですが…今は、ちゃんと目を覚まして朝の支度を致しましょう。」

『えっ…うわぁ〜〜!!なに!!?』



主の大声を聞き一期が主の部屋へと駆け着ける。



一期「主!どうかされましたか!」



主の髪は、ボサボサ。寝巻きは、肌けた状態で顔を真っ赤にして布団の上に居る。主の近くには、小狐丸が静かに正座をして居た。



一期「小狐丸殿!貴方ともあろうお方が主の寝込みを襲ったのですか!?」

小狐丸「一期一振殿。落ち着いて頂けますか?」

一期「この状況を見てどの様な弁解があると言うのか!!」

『い、一期さん!これは、小狐丸が悪いんじゃないの!寝坊をした私を起こしてくれただけだから!』

一期「では、なぜ叫び声が上がったのですか?」

『それは…寝ぼけていた私のせいで…///』

一期「…そう…なのですか?」

小狐丸「はぁ💨一期殿。ぬしさまを大事に思う事は、良い事ですが…想いが強すぎるのは、あまり良くありません。お気をつけ下され。」

一期「くっ…失礼致します。」



一期は、主の部屋より出て行く。



小狐丸「では、部屋の外で待っていますので着替えを済ませて下され。」

『うん。分かった。』



小狐丸は、部屋の外に出て主の着替えが終わるのを待つ。
主は部屋にある箪笥の中を見て困惑する。



((…着る物って服じゃないの?…着物なんて自分一人で着れないよ。適当でいいか…。))


『あの…一応…着てみたけど…。これでいいのかな?』

小狐丸「…全然ダメですね。帯もぐちゃぐちゃ、前も肌けております。」

『やっぱりダメか…。あの私、着物って自分で着れなくて…。』

小狐丸「では、お手伝い致します。」

『ありがとう。』



小狐丸に着付けを手伝って貰い袴姿になる。



小狐丸「これであれば、ぬしさまでも簡単に着れると思うのですが…如何でしょうか?」

『うん!袴なら走っても肌けないし動き易い!ありがとう。これで明日から1人で着れる気がする!』

小狐丸「はい。それは良かったです。私も毎日、ぬしさまの肌を見なくてはいけないのかと思うと持ちませんからね…。」

『えっ…持たない?』

小狐丸「野生の自分が出て来てしまうかと…」

『あっ…すみません。』

小狐丸「それと、ぬしさま。こんのすけより札は、頂かなかったのですか?」

『あぁー貰ったよ。』

小狐丸「では、部屋に貼って下され。この本丸で、ただお一人の女人の身なのですから用心して下さい。」

『うん…分かった…。』
((でも、こんな札を部屋に貼るって…みんなが私に何かをするだなんて考えたく無いな。))



朝食を摂った後、小狐丸が今日の内番、遠征組を皆に発表した。



小狐丸「ぬしさま。本日は、何を致しますか?」

『みんなの必要な物や足りない物を聞いて買い出しに行こうかな。』

小狐丸「そうですか。では、私が皆に伺って参ります。」

『あっ!待って。一人一人にちゃんと今までの事を謝りながら聞いて回りたいんだ。』

小狐丸「ですが…お一人では、大変かと…」

『うん。でも、やりたいの。』

小狐丸「分かりました。では、私は部屋に居りますので何かありましたらお声かけ下さい。」

『ありがとう。それと…小狐丸も今まで寂しい思いをさせてごめんね。』

小狐丸「いえ。ぬしさまは、またこの本丸に戻られました。私は、それだけで充分で御座います。」

『何か欲しい物や必要な物はある?』

小狐丸「私は何も欲しい物は御座いません。強いて言うならば、毛並みを整えて下され。」

『いいよ。じゃあ、ここに座って。』

小狐丸「はい。ニコ」



小狐丸は、主の前に正座をすると主は手櫛で髪を整える。



小狐丸「あぁ…有り難き幸せ…。また、気が向いた時で良いので毛並みを整えて頂けますか?」

『勿論!ニコ』

小狐丸「ありがとうございます。では、お気をつけて行ってらっしゃいませ。」

『うん!行って来ます。』
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