大切な君達…大事な主へ…

□1 異世界へ神隠し
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博物館



((ここの博物館って広いなぁ〜。1日中いられるかも…。大昔の人はこんな生活をしてたんだ…電気も携帯も無しで生活するとか今の私じゃ絶対に生きていけない気がする…。次の展示コーナーは…刀剣かぁ…。そう言えば前に刀剣のアプリにハマって随分やり込んだな〜。課金もよくしてたけど飽きちゃってアンインストールはしてないけど…ずっとログインしてないんだよなぁ…。知ってる刀あるかな…。))



『わぁ…。見てるだけで吸い込まれそう…』


三日月「見つけた。」


『えっ…?』



辺りを見回すも自分を見ている人は誰も居なかった。



((…今、誰かに話し掛けられた気がしたんだけど…。気のせいかな…。))



振り返った先に一振りの太刀が展示されていた。



太刀 「三日月宗近」

銘三条 平安時代



『キレイ…』


((刃の所によく見ると三日月みたいな模様があるんだ…。あっ説明に書いてあったし、模様じゃなくて打ちのけだって…。))



職員「すみません。当館の閉館時間が過ぎておりますので申し訳ありませんがまたのお越しを願えますか?」

『えっ!もーそんな時間?すみません!今すぐに出ます!』



急いで博物館を出て駅方面に向かう途中



((あー楽しかった!家に帰ったら久しぶりに刀剣乱舞やろうかな!三日月宗近…刀も綺麗だけどキャラもかっこよかったよなぁ…。))


『…あれ?無い。…スマホが無い!…あっ!急いでたから博物館に忘れたんだ!!』


急いで博物館に戻り博物館の職員に事情説明して館内に入れて貰う。



『えっと…確かここで刀を見てたんだから…この辺にあるはずなんだけどな…。』

三日月「探し物は、これかな?」



後ろから声をかけられ振り返ると青い平安装束を着た青年がスマホを持って立って居た。



『えっ三日月っ…な訳ないか…コスプレ?あっ!刀剣乱舞とのコラボかぁ〜。博物館の人も大変ですね。』

三日月「はっはっはっ。これを。」

『あ、ありがとうございます。助かりました!では、失礼します。』

三日月「待て。こっちだ。」

『えっ!?』



青年に手を引かれ歩き出す。



『あの…どこに行くんですか?』

三日月「はっはっはっ。着いて来れば分かる。」

『あっはい…。』



博物館は閉館している為、他の客とすれ違う事も無く、職員ともすれ違う事は無かった。
彼女は、変に思い青年に訪ねる。



『あの誰ともすれ違わ無いんですけど…他の職員の方って何処に居るんですか?』

三日月「はて、知らぬが。」

『えっ?あなたここの職員じゃないの?』

三日月「うむ、違うな。」

『あなた、私を何処に連れて行くつもりなの?』

三日月「案ずるな。お主のよく知った所よ。」



((この人、何か変!話し方が昔の人みたい。着てる物も…着物だし。))



『ちょ、ちょっと離してよ!!私は家に帰るんだから!』

三日月「暴れられては、困るのだがな…致し方あるまい、すまぬな。ニコ」

『えっ…』


ドンッ


青年より首の横辺りに手刀で衝撃を加えられた彼女は気を失ってしまう。



暫くして彼女が目を覚ます。




『…うっ…はぁ!!…ここ何処?』



首に痛みを感じながら目を醒ますと見知らぬ天井があった。



薬研「おっ!大将、目が覚めたか?」

『えっ?大将?私の事?』

薬研「三日月の旦那が大将だって言って連れて来たんだからそうなんだろ?」

『…三日月の旦那?連れて来た?ねぇーここ何処?』

薬研「大将、記憶が混乱しているのか?…ちょっと待っていろ。今、三日月の旦那達を連れて来るから、これ飲んでな。」

『えっあっはい…ありがとう。』



((この子…薬研藤四郎に似ているような…。))



黒髪に短パンの少年は白湯を彼女に渡し部屋を出て行く。



『本当に…ここ何処よ…。』
((立派な和室だけど…そこら辺クモの巣だらけだし…綿ボコりやらなんやら色々落ちてて…汚いんですけど…))


薬研「大将、入るぜ。」



襖が開き先程の黒髪短パン少年が部屋に入ると、後に続いて水色の髪の青年に青い平安和装の青年が順に中に入った。



『はっ!!ちょっと!あんたさっきの暴行、誘拐犯!!ここ何処よ!私を家に帰せーー!!!』



彼女は、布団から勢い良く飛び出し青い平安和装の青年の胸ぐらに掴み掛かる。



三日月「はっはっはっ。元気があり安堵したぞ。よきかな、よきかな。」

『よきかなじゃ無いわよ!!』

一期「お、落ち着いて下さい💦」

薬研「大将、そんなに暴れると肌けるぞ。」

『えっ?』



自分の姿を見ると浴衣の様な寝巻きを着せられ胸元、太ももが大胆に露出していた。



『!?やだ…///
いつの間に着替えてたのよ!!?』



彼女は、青年の胸ぐらから手を離し大きく開いた胸元と太ももを隠し、その場にしゃがみ込む。



三日月「はっはっはっ。ここに来た時に着替えさせたのだ。」

『あんたが!?』

三日月「ん?そうだが?」

『…変態も追加だわ!!///』

三日月「まぁーそうカリカリするな。」



和装の青年は、彼女を抱き上げ再び布団の上に降ろし崩れた寝巻きを整える。



三日月「では、話をしようではないか。」

『うぅ…あ、ありがとう…///』

三日月「かまわぬ。では、こんのすけよ。主の問いに答えてやってくれ。」

こんのすけ「はい。では、お話しさせて頂きます、主様。」



三日月の背後から子狐がひょっこりと姿を表す。



『…可愛い!!こんちゃんよろしくね💓』

こん「はい、主様。では、説明させて貰います。先ず此方の事ですが、ここは刀剣乱舞の世界でございます。主様が1年前までプレイしていたアプリの中なのです。」

『はっ?初っぱなからついて行けてないんだけど…アプリって事は、ネットの中って事?』



((…道理でみんな見た事があると思った…。))



こん「簡単には言えばそうでございます。」

『…あり得ない、現実的じゃない。…はっ!?夢か!これは夢なのね!』

こん「…えっと説明を続けますね。ただの人ならばゲームをプレイして終わりなのですが、主様は霊力がとても高くていらっしゃいます。」

『霊力が高いとゲームの中に来れちゃうわけ?』

こん「いえ、無理です。」

『無理なんかい!じゃあ、なんで来れたの?』

こん「はい…。主様は、とてもお優しく、プレイしている時は刀剣達の疲労が溜まった時は時間を置いて休ませ、傷ついた時はすぐに手入れをしていました。修行に行った刀剣達の手紙を毎日何回も読み返してもいましたね。」

『怪我をしたら心配だったし、修行に行かした後も待ち遠しかったから。』

こん「そのお優しい心が刀剣達に伝わったのです。」

『でも、ゲームの中だよ!?』

こん「はい。主様は、霊力が強いので無意識に思いを飛ばしていたのかもしれませんね。」

『そうなんだ…。』

こん「そして、1年前辺りから主様はゲームをプレイしなくなり、ここにいる刀剣達はどうしたのかと心配していたのです。アンインストールをしていれば自然とこの本丸は解体され刀達の記憶もリセットされたのですが…。主様は、それをしなかった。ここに居る刀剣達の想いは募りに募ってしまい、其方にいます三日月宗近が己の本体を使って現世で主様を見つけ神隠しに合わせてしまったのでございます。」

『はっ?神隠しって…?』
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