すれ違う2人…素直になれない想い…

□4 青春アミーゴ!
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図書室


忍足「昨日はお疲れさんやったんやなぁー。」

『うん。ちょっとお爺様の話してる事が良く分からなかったんだよね〜。』

忍足「何て言われたんや?」

『う〜ん。やきもちがどぉーの言ってたけど…忘れた。』

忍足「何やねんそれ。やきもち…?」

『何やろうね〜。ニコ』

忍足「下手くそ。イントネーションがちゃうねん。」

『ダメだったかー。』

忍足「なぁー名無。嫌な話だったらエエんやけど…聞いてもええかな?」

『嫌な話なの?』

忍足「…多分、名無にとっては嫌なんやと思う。」

『…。』

忍足「…やっぱええわ。」

『えっ…何よ。気になるから止めないでよ!』

忍足「…じゃー話すけど嫌やったら直ぐ止めるから言ってや!」

『うん。』

忍足「前に跡部と仲が良かったのに急に態度が変わったって話したやん?」

『…うん。』

忍足「本当に急になんか?何か切っ掛けは無かったんか?」

『切っ掛け…多分、私のせいかな…。』

忍足「話してくれへんか?」

『うん…実は…』



回想



中学に上がったばかりの頃、跡部と名無はいつも一緒に車で登校していた。


『景ちゃん!今日も放課後部活?』

跡部「そうだ。」

『そっかぁー。じゃーまた後でね!』

跡部「あぁ。分かったからちゃんと前見て歩けよ!転ぶぞ。」

『もぉー子供じゃないんだから平気だよ!』

跡部「たく。口ばかり達者だな。じゃーな。」



教室



『おはよー!』

女1「おはよう!ねぇーねぇー。名無しさんさんっていつも跡部君と一緒に登校してるけど付き合ってるの?」

女2「あっ!私もそれ気になってたんだよね〜。」

男1「俺も俺も!!どうなの?」

『付き合ってないよ。』

女2「えっ!じゃー何でいつも一緒なの?」

『お、幼馴染みだから…』

男1「あぁ〜そうなんだ。で、好きだったりするの?」

『わ、分からないよ!///』

女2「あんなイケメンな幼馴染み…いいなぁ〜私だったら絶対に恋してるよ❤️」

男1「名無しさんさんならうまくいくけど…お前じゃーなぁ。クスクス」

女2「どう言う意味よ💢」

男1「そのままの意味だよ!」



クラスの皆がガヤガヤと騒ぎ出す中1人の女子は名無をずっと睨んでいた。



女1「…。ギロ」

『?…どうしたの?』

女1「えっ!ぅうん。何でもないよ!」

『そう。』



放課後



女1「名無しさんさん。ちょっいい?」

『どうしたの?』

女1「朝さぁ…跡部君とは幼馴染みって言ってたけど本当の所はどうなの?」

『えっ?何で?』

女1「実は私…跡部君の事、好きなの!だから名無しさんさんと何でも無いなら告白しようと思ってて…///」

『えっ…告白?』

女1「うん。で、どうなの?」

『えっと…実は婚約してるの…。』

女1「えっ!婚約…?」

『うん…。』

女1「そっかぁ…じゃーしょうがないよね。」

『ご、ごめんなさい。』

女1「えっ…謝る事じゃないよ。それじゃーしょうがないよ…。」

『…うん。ありがとう。あの皆には秘密にしてくれるかな?』

女1「うん!OK!じゃー私、帰るね!」

『うん。また、明日ね!』

女1「うん。じゃーね。」
(婚約者ねぇ〜。)



次の日



跡部「じゃーな。名無。」

『うん。またね。』



名無は教室に入ると黒板にでかでかと
『跡部景吾、名無しさん名無2人は婚約関係だった!!』
と書かれていた。



『えっ…』

男1「名無しさん〜隠すなよなぁ!」

女2「美男美女じゃん!!」

女3「ヤバ!!羨ましいんだけど〜!」

『何で…』



名無は昨日2人の事を話した女子の姿を探すが教室にはいなかった。



『…あ、あの子は?』

男1「えっ?あぁーそういやーいないね。」

女2「あの子さぁ〜跡部君の事、好きだったからどこかで泣いてるかも。」

女3「えっさっき跡部君のクラスにいたよ?」

『…ありがとう。』



名無は約束を破られたショックでフラフラと跡部のクラスに向かと話し声が廊下まで聞こえて来た。



跡部「別にあんな女…好きじゃねぇーよ。///」

女1「え〜そうなの?」

跡部「あぁ。」


((えっ…。))



跡部と昨日の女子の話し声が聞こえてくる。



女1「良かった〜。そうだよね!跡部君にあの子は似合わないよね〜。クスクス」

跡部「…。」

女1「でも、あの子は本気っぽかったよ〜」

跡部「俺様が1人の女で満足できるわけねぇーだろうが!!」

男2「さっすが〜跡部だな!」

女1「あの子って性格悪いんだね…。私は景ちゃんの婚約者だって言い振らしてたよ〜。私も急にあの子からそんな事、聞いたからさぁービックリしちゃったよ〜。」

跡部「祖父達が決めた事だからな俺様はあいつの事なんかなんとも思ってねぇーよ。」

女1「良かったぁ。でも、あの子片想いって事になるよね〜。形だけのフィアンセ。惨めすぎるんですけど〜!クスクス」

『…。』

男2「!?おい…」

女1「えっ?…あら、ご本人、噂をすれば登場!ケラケラ」

跡部「!!…名無。」

『!!…ごめんなさい。』



名無はその場から走って去る。



((そっか…景ちゃんは迷惑…だったんだ…。本当、私惨め過ぎる。形だけのフィアンセかぁ…。涙が…止まらないよ…))



跡部は後を追いかけようとするも女子に止められる。



女1「えっ!追いかけない方がいいよ!余計に惨めに思っちゃうよ。」

跡部「…。」
(名無…。)


この日を境に2人の歯車は狂い出し名無は跡部を避けるようになる。
跡部は名無といられない寂しさから言い寄る女達を相手にするようになる。



回想終わり



『これから…すれ違いだしたんだよ…』

忍足「…そうか。辛い思い出を話させて悪かったな…。」



忍足は心配な顔をして名無を抱き寄せる。



『もぉー昔の話だから平気だと思ったんだけど…やっぱりダメだね。思い出すと涙が出ちゃうね…。』

忍足「すまん。」

跡部「お前ら何してやがんだ!!」

『…!!』



名無は突然登場した跡部に泣き顔を見せたくなくて忍足の胸に顔を埋める。



忍足「名無。」

跡部「忍足、今何て言った?」

忍足「…。」

跡部「そう言う事か…。お前らいつもここでこそこそ逢って…そうだよな。形だけとはいえ俺様と婚約してるのに公に他の男とは付き合えないよな!!」

忍足「跡部…ちょっと待ちや。誤解や。」

跡部「この状況を見て何が誤解なんだよ!!何が大切な友達だよ。付き合ってんじゃねぇーか…。」

『…違う。』

跡部「何が違うんだよ。俺様もなめられたもんだな…。」

『…。』

跡部「まぁー俺も好き勝手してきたからな。いいぜ。お前らの事、認めてやるよ!名無、お前との婚約は解消だ!!」

忍足「跡部!話を聞けや!!」

跡足「お前らの事、認めてやるんだ有り難く思えよ。じゃーな。」

『…。』



跡部は図書室を出て行く。



忍足「はぁ💨たく、何やねん。名無、すまん。俺が名前を呼んだからこんな事になってしもうた。」

『…侑士が悪いんじゃ無いから。それにやっと彼から解放される。これでいいんだよ。』

忍足「…なら、そんな顔をするな。」

『えっ…』

忍足「今にも泣き出しそうな顔や。」

『…。』

忍足「…待っとき。俺が何とかする。」

『うん…』
((物凄く傷付いた顔してた…私の事なんてどうでも良いはずなのに何であんなに怒るの…?分からないよ…景ちゃんの気持ち。))
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