すれ違う2人…素直になれない想い…
□8 私の〜お墓の〜前で…
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母「明日、お爺様の三回忌だからね。」
『もー二年…』
父「大丈夫か?」
『うん、もぉー平気だよ。先に休みます。おやすみなさい。』
母「去年よりは平気みたいね…」
父「そうだな。去年は情緒不安定だったからな…」
母「あの子にとってのお爺様の存在がとても大きかったのね。」
次の日
母「今日は、お忙しい中ありがとうございました。」
跡部爺「親友の三回忌だからな。参加しないわけにも行かぬよ。ハッハッハッ」
跡部「父、母が急な仕事が入り来れない事を誠に残念がっていました。」
父「気にしなくていいんだよ。いつも来て貰っているのだからそれだけでも感謝しているよ。」
跡部「ありがとうございます。父、母にも伝えておきます。」
跡部爺「景吾。少し名無と散歩でもして来たらどうだ?」
『えっ。』
跡部爺「先程からあまり話していないからな外の空気でも吸ってきなさい。」
跡部「…行くぞ。」
跡部は名無の手を取り歩きだす。
母「あの子達の関係が上手く行っていれば良いのですが…。」
跡部爺「そうですな。あいつの希望を叶えてやりたいが…あの子達の重荷になっていなければよいのだが…。」
跡部「大丈夫か?」
『えっ…うん、平気…。』
跡部「そうか。」
『…。』
跡部「…。」
2人は祖父の墓の前まで来る。
『…私、お爺様が亡くなる前の日に…酷い事を言っちゃったんだ。』
跡部「何て言ったんだ?」
『…景ちゃんとギクシャクしたばかりの頃だったからその事でお爺様に私の人生を勝手に決めないでって。お爺様は一生懸命、私に謝って説得してくれていたけど私…お爺様にもぉー顔も見たくないって…大嫌いって言って…そしたら次の日の…朝に亡くなってて…』
跡部「…。」
『あんな事、言わなきゃ…良かった…。』
跡部は泣いてる名無を抱き寄せる。
跡部「俺のせいだ。すまない。」
『…こんな私をお爺様は…許してくれない…。』
跡部「大事な孫の事を嫌う訳ねぇーだろ…。」
『…最後に見たお爺様の悲しい顔が…今でも目に焼き付いて離れないの…。』
跡部「そうか…俺もここに来る度お前と一緒に爺様に謝るよ。」
『…。』
跡部「そしたら、いつかお前の中の爺様も悲しい顔からいつもの笑顔の爺様になるかもしれねぇーしな。ニコ」
『あっ…。』
跡部「何だよその不思議そうな顔は。」
『…優しいなって思っただけだよ。///』
跡部「ふっ。俺様はお前には優しいんだよ。昔からそうだっただろーが!」
『…昔から意地悪だったよ。』
跡部「あぁ?そんな事ねぇーだろ。お前がくまのでかいぬいぐるみが欲しいって言ったら買って来ただろーが!」
『…あれ本物の熊だったよね。あんなの怖いし可愛くないよ!!』
跡部「あぁ?じゃー結婚指輪が欲しいって言った時だって買ってやっただろ?」
『縁日で見たハートの指輪だったのに景ちゃんが持って来たのは本物のダイヤの指輪でしょ!可愛くないし。それにいつも一言多いいのよ!いつも私の事をバカバカ言ってたじゃない!』
跡部「そ、それは…///」
『何よ!』
跡部「…て、照れ隠しだろーが。///」
『はぁ?照れ隠し?景ちゃんが?』
跡部「そうだよ!悪いか!///」
『…顔赤くして言わないでよ。こ、こっちまで恥ずかしくなってくるじゃない…///』
跡部「まぁーお前が泣き止んだならそれでいい。ニコ」
『うん。ありがとう。…そろそろ肩抱くの止めてくれない?』
跡部「あ〜ん。何でだよ。」
『もぉー泣き止んだんだから慰めてくれなくていいんだけど…』
跡部「爺様に仲良くやってるところを見せつけてんだよ!」
跡部は名無の肩に置いていた手を腰に置き更に密着する。
『いやいや。見せつけなくていいから。』
跡部「爺様は俺達を婚約関係にしておきながらいつも俺様の邪魔をしてたからな。」
『お爺様が邪魔?』
跡部「お前気づいてなかったのかよ!俺がお前と一緒にいたり話してるとお前を直ぐ自分の膝の上に座らせて間に入って来てたんだよ。俺が睨み付けるとニヤニヤしやがってな…性悪ジジイだとずっと思ってたぜ。」
『ちょっと!お爺様の前で悪口止めてよ!』
跡部「あ〜ん。もぉー墓の前にはいねぇーだろうが。」
『はぁ💨分かったよ。じゃーそろそろみんなの所に戻ろうよ。』
跡部「もう少しお前を堪能してたかったんだかな…。」
『このエロ男爵め!』
跡部「男はみんなそうだぜ。忍足もな。気を付けろよ。」
『…もぉー行くよ。』
跡部「はいよ。」
((景ちゃん。慰めてくれたんだ…本当に優しいところは変わってないな…嬉しい。))
跡部(名無があのジジイと喧嘩してたなんてな…俺の子供じみた行動のせいでこいつに悲しい想いをどれだけさせたんだ…。俺は必ずお前を幸せにしてやるからな。)