夢を追いかける君をずっと側で見ていたい…

□4 ストーカーにご注意!
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次の日
一時間目の授業が始まると彼女は、眠そうな顔で教室に入って来た。



『遅れましたー。すみません。』

先生「またか…。早く席に着け。」

『はーい。ふぁ〜あ。』

幸村「…名無しさんさん。おはよう。(小声)」

『えっ…うん。おはよう。(小声)』

((この姿で初めて声掛けられたかも…。))



彼女は、席に着いて直ぐに寝てしまう。



『Zzz…』

幸村「ふふっ、良く寝てる。」



授業が終わるといつものように仁王が教室に入って来た。



仁王「あぁーいたいた。名無!」

幸村「仁王。名無しさんさん、今よく寝てるから寝かせてあげてくれるかな。」

仁王「ん?珍しいのぉ。幸村が名無を気遣うなんて…。何かあったんか?」

幸村「別に何もないけど…。気持ち良さそうに寝てるのに起こしたら可哀想だからね。」

仁王「ほぉーう。幸村は名無に、あまり良い印象を持って無いと思ってたんだがな。」

幸村「ふふっ、まぁーまた後で出直しなよ。」

仁王「そうするぜよ。ピヨ」

(幸村がのぅ…。)



放課後



『ふぁ〜あ〜!!今日は、良く寝たな〜。』

仁王「それは、良かったのぉ…。」

『わぁー!!ビックリした…。そっと後ろに立たないでよね…。』

仁王「おぉーそんなに驚くとは思わなかったぜよ。悪かったなり。」

『あれ?雅君。今日は来なかったじゃない。何かあったの?』

仁王「ん?まぁー色々とな…。邪魔が入った。」

『邪魔?』

仁王「お前さんは、気にしなさんな。これは男の問題ぜよ。」

『はっ?何を言ってるのか、さっぱり分からないよ。』

仁王「ははっ、それでエエんじゃ。」

『ふぅ〜ん。じゃあ、またね。』

仁王「おう!気をつけて帰れ。」

『はーい。』



いつものように二人は、挨拶をして別れ仁王は部活に向かう。



幸村「…本当に仲が良いんだな。」

柳生「どうかしましたか?幸村くん。」

幸村「いいや。何でもないよ。」

柳生「そうですか…。」



部活後



幸村「じゃあ、みんな気をつけて帰るんだよ。」

真田「幸村。今日は、みんなで帰らんか?」

幸村「あぁ、すまない。寄る所があるから俺はパスするよ。じゃあ、お先に。」

仁王「珍しいのぅ。」



カランコロン



叔母「いらっしゃい…あら!今日も来てくれたのかい?」

幸村「こんばんわ。紅茶を頂けますか?」

叔母「はいよ。好きな所へどうぞ。」



幸村は、いつもの席に着き絵を眺めて注文した紅茶を待つ。



『お待たせ…。また、来てくれたんだぁ!ニコ』

幸村「うん。君と話がしたかったからね。ニコ」

『そ、そうなんだ…///』

((私も話がしたかった。何て…言えないよね。クスクス))


幸村「やっぱり、君が淹れてくれる紅茶は美味しいね。」

『ありがとうございます!』

幸村「今は何か絵を描いてるのかな?」

『うん、描いてるよ。また、出来たらここに飾らせて貰うつもりです。』

幸村「そうなんだ。ここに飾る前に見せて貰いたいな。」

『えっ…じゃあ、またここに来て。君に見せたら飾るから。』

幸村「分かった。ニコ」

叔母「話してる所、ごめんね。ちょっと買い忘れた物があったから買いに行って来るわね。留守番、よろしくね。」

『はーい。行ってらっしゃい!』



叔母が買い出しに出て、少しすると男が店に入って来る。



カランコロン



『いらっしゃいま…せ…。』

幸村「?」

客「…名無ちゃん。来たよ。」

『あっはい…。ご注文は…?』

客「ねぇーそんな事より、今日は何時に上がるの?」

『あっ…いえ。今日は、夜までなので…。』

客「じゃあ、終わるの待ってるよ。何時に終わるの?」

『…。』



明らかに嫌な顔をしている名無に客は、どんどん距離を詰めて行く。



客「ねー、ねーってば!!」

幸村「ねぇー彼女、嫌がってるよ?」

客「何だよ!お前には関係ないだろ?ガキは、すっこんでろ!!」

幸村「女性が嫌がってる事に気づかないなんてね。もう少し男を磨いた方がいいんじゃない?」

客「はっ!?何なんだよ、お前💢」

幸村「彼女の彼氏だよ。」

『!?』

客「な、何!?彼氏いないって言ってたのに…。」



幸村は、名無と客の間に入り、彼女を自分の背に隠すようにして男の前に立った。



幸村「ねぇーまだ、分からないのかな…。君、今とっても邪魔者なんだけど。」

客「!!」

幸村「彼女に二度と近づくな。ゲスヤロー。ギロ」

客「…はっはい!」



客は幸村の凄みを目にし一目散に店から出て行った。



幸村「大丈夫かい?」

『うん…ありがとう。はぁ💨』

幸村「今の客は、よく来るの?」

『うん、たまにかな…。でも、決まって私が1人で叔母さんがいない時に来て、今みたいに迫って来てたんだよね…。』

幸村「…何時もは、どうやって追い払ってたの?」

『常連のおじさん達がテーブルに呼んでくれて話し込んでいるといつの間にかいなくなってたかな。』

幸村「はぁ💨君、もう少し危機感を持った方がいいよ?」

『えっ?』

幸村「あれって、どう見ても君のストーカーだよね?」

『そうなの!?』

幸村「そうでしょ!君に好意を持ってたよ。」

『そうだったのか…。私は、てっきり立ち話が好きな人だと思ってた…。』

幸村「はぁ💨心配だな…。また、あいつが来たら連絡して。番号教えるから。」

『あっうん…。ありがとう…』

幸村「じゃあ、これ俺の番号とメアドね。名無しさんさんのは?」

『あぁ、はい。これです…。』

幸村「はい、登録完了。」

『…?』

幸村「ん?どうしたのずっと見つめて?」

『えっと…私の名前…言ったっけ?…てか、名無しさんさんって…バレて…』

幸村「あっ…。」

『えっ…?』

幸村「うんと…何て言うか…ごめん。名無しさんさんだって気づいてた…。」

『!!』

幸村「あの絵…学校の屋上庭園の花だよね?」

『あれか…。』

幸村「うん。」

『バレてしまったものは、仕方がない…。バイトの事は、学校やみんなには内緒でお願いしたいんだけど…ダメかな?』

幸村「ふふっ、勿論。誰にも言う気は無いから安心して。ニコ」

『良かった…。』

幸村「また、ここに来てもいい?」

『うん!それは全然構わないよ!』

幸村「良かった。クラスでも普通に話し掛けてもいいかな?」

『うん。いいよ!でも、あの絵でよく分かったね。』

幸村「あそこの花は俺が毎日、水やりをしてるからね。始めにあの絵を君が描いたって聞いて違和感を感じたんだよ。あとは、会ってる内に何となく名無しさんさんかなって思ってたんだけど、今のストーカーが君を名無ちゃんって呼んでるので確信したんだ、仁王がいつも君の事を名前で呼んでいたから。」

『なるほどね。』

幸村「今日も夜までなんだね。」

『うん。』

幸村「じゃあ、そろそろ俺は帰るよ。無理しない程度に頑張って。」

『うん!ありがとう。』



カランコロン



叔母「あら?もう、帰っちゃうのかい?」

幸村「はい。また、来ます。」

叔母「またのお越しをお待ちしてます。」

幸村「はい。じゃあ、また明日ね。名無しさんさん。ニコ」

『うん!気をつけてね。ニコ』



幸村が帰るのを見送る二人。



叔母「バレたのか。」

『うん。でも、秘密にしてくれるって。』

叔母「いい子だね。」

『うん。さっき何時ものお客さんが来てね、助けてくれた。』

叔母「あのヤロー。また、来やがったか💢まぁー助けて貰ったんなら良かったよ。明日、お礼しときなよ!」

『分かってる。』
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