IDOLだって楽じゃない
□プロローグ
1ページ/1ページ
天屯(たかみち)華穂、14歳。
今日は中等部在学最後の文化祭。
何故か今から助っ人として我が校誇る演劇部の発表に出演する。
顧問の先生が、学生時代に演劇コンクールで日本一になったとかいう人で、指導は超一流。
助っ人を渋々引き受けた私もメキメキと上達していった。
『なんで私がソロダンスを・・・』ボソ
助っ人である私が主人公というのもおかしな話だが、もっとおかしなことがある。
【演劇部】の発表でミュージカルじみた事をやらなければいけないのだ。
セリフで歌う箇所もある。(顧問の先生は認めないが)
顧問「華穂!緊張してる?毎年手伝ってもらっちゃって悪いわねー!」
『ずっと思ってたんですけど、いっその事【ミュージカル部】にしたらいいんじゃないですか。』
顧問「何よ唐突に。ダンスと歌が嫌いなの?」
『いや・・・』
歌う事は幸い得意だし、踊る事は大好きだ。
『何故毎年私に助っ人を?』
アナウンス「まもなく演劇部の発表が始まります。席にお座り下さい。」
顧問「ほらほら!始まるわよ!主役なんだから!」
演劇部員A「華穂!頑張って!」
演劇部員B「天屯先輩の演技楽しみです!!応援してます!」
演劇部員達。余所者に主役を取られていいのか。もっと頑張れよ。
アナウンス「ただいまより、演劇部の発表を始めます。」
舞台が始まる。
私はエンターテイナー
多くのお客様に笑顔をプレゼントするのが役目。
ブーーーーーーーーーーー
無機質なブザー音が鳴り止んだ瞬間、
『今年も、やりますか』ニヤ
運命のステージが始まる。