その男狂犬につき。
□出会い
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真島はチカの右の席にドカッと座る。
そしてマジマジとチカを観察する。
「さっきとは随分違って薄化粧やなぁ。」
デニムに黒いパーカーでビール片手にタバコを燻らせている。
…なんやこの女。先程まではテンション高く客からお酒貰ってたんに。
しかも薄化粧でシンプルな服装が何ともそそられてまう。
「いぃわぁ…」
思わず言ってしまった。
「?ん?なんか言いました?」
「いや、なんも言うてへんで。」
慌てて前を向いてグラスに口をつける。
「せや!さっき貰うた名刺の番号っと…」
携帯を取り出しチカの名刺の番号に掛けてみる。
するとお名前の携帯が鳴る。
「なんや、ほんまもんの番号なんかいな!まぁ、登録したってやー。」
そう言ってお名前の方をチラリと見ると……
「えっと…真島さん…っと。」
淡々とした表情で電話帳に登録を済ませしれっとビールのお代わりを頼む。
「はぁっ!?なんやねんそれ。真島さん はぁと♡ って登録したらんかい!」
「は?嫌だ。柄にもない事しないんで私。」
!!何やと。この冷め切った表情は。愛想の1つも振りまかんかい!!
…!
せや、さっきカマかけたら顔真っ赤になっとったなぁ…少し試したるか。