第五人格

□こっちを向いてよハニー
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※R18



ナワーブくんの事が好き過ぎて辛い。特にこの間来たコラボ衣装はヤバかった。何だあの可愛さは。わたしを呼吸困難にして殺す気だろうか。フアフアの耳と尻尾が最高に気持ち良さそうで触りたいという欲求を確実に高めに来ている…まぁ、そんな勇気一ミリたりとも持ち合わせていないし近付く事すらおこがましくてまだ遠目にしか見た事無いんだけどね!!…はぁ、と、溜息混じり。スカンクウィラちゃんと楽しそうに話すレッサーパンダナワーブくんを離れた所から見ていて切なくなる。わたしは極度の引っ込み思案なので、ナワーブくんと対面するだけで照れて上がってしまうから自己嫌悪だった。本当はもっと話したいし仲良くなりたいのに…。ガチガチに緊張してしまう所為でナワーブくんの顔すら見れないから辛い。あー、もう。他の人なら全然大丈夫なのになぁ。むすぅ。と、分かりやすく頬を膨らしてご機嫌斜めなわたしをわざと煽る様に。ノートンくんがまた見てるの?と問い掛けてわたしの隣に腰掛けた。


「キミも飽きないよね」

「だって、わたしには見る事しか出来ないんだもん…」

「思い切って話し掛けに行ったら良いのに」

「む、無理だよっ、緊張しちゃうし顔すら見れなくなる」

「あー、ね…今もビックリするくらい顔赤いもんね」


ナワーブくんとお喋り、する所を妄想するだけでこの有様なのだ。実際に楽しく会話するだなんて、今のわたしには不可能に等しい…。ドキドキ心拍数の上がる心臓にしんどくなりつつ、何とか気を紛らわせようとノートンくんに視線を合わせる。そしたら、ノートンくんがわたしの目の前でコラボ衣装に着替えて耳と尻尾を生やすからううっ!となった。


「嫌がらせだっ…!」

「え?何の事?」

「とぼけないでよ!毎度毎度ドヤーっ!て顔に出てるよ!!」


正直、わたしはノートンくんが羨ましくて仕方がなかった。コラボ繋がりという事で、最近この衣装を着た2人が揃うのをよく見掛ける。楽しそうに遊んで戯れたりして、本当に羨ましい。わたしも混ざりたいけど当然そんな勇気も無く、例の如く遠くから見詰めて終わっている事にノートンくんも気付いているのだ。実際、目が合う度ドヤっとした顔でナワーブくんにハート花火するから怨みが募った。わ、わたしだって!わたしだってナワーブくんにハート花火したいし投げキッスしたいし好きって言いたいのに!もうっ!意気地無しだ…。すっかり意気消沈してしまい、涙ぐみながらはぁと声に出して俯く。しかしぐいと、直ぐノートンくんに頬を掴まれて上を向かされる事になり目を丸めた。顔を覗き込んできたノートンくんとの距離が近い。メガネの様なペイントが目を引いて吸い込まれそうになる。ノートンくんの長い尻尾がクルクルと、わたしの腕に巻き付いて遊んでいた。


「…僕がこんな近くに来ても、平常心のくせにね」

「へ…?」

「何でもなーい」


間延びした声でポツリ。ノートンくんがヘラヘラと笑みを貼り付けて、背中越しにわたしへと手を振るので呆気に取られた。な、何だったんだろう…。混乱してしまい唸るわたしに、よぉと声を掛ける人物が居て大袈裟な程に飛び上がった。振り向かなくても分かる。だって大好きだもん…。


「な、わーぶ、くん…」


ぎこちなく振り向き、心拍数が大きく跳ね上がった。モフモフ!スチームパンク!可愛いのにカッコいい!うわぁ、うわあ!!どうしよう、好みドンピシャ過ぎて直視出来ない。ぶわっと大量の汗を浮かべながら余所余所しく視線を逸らす。ナワーブくんから話し掛けてくれるなんて…そんな事あるだろうか。一周まわって夢かもしれないと思い始め、わたしはこっそりと自身の手の甲を抓った。…痛い、夢じゃない。嬉し過ぎて死ぬ。キュン死にする。今にも卒倒してしまいそうな勢いで、わたしは何とか息を吸い込み口を開こうと試みた。どうしたの…?って、そう聞きたいのに出来ない。100パーセント噛む自信があるし絶対吃っちゃう。そう思うと、声を発する事すら出来なくてうぐっと言葉を飲んだ。なにか、何か言わなきゃ、折角ナワーブくんが声掛けてくれたのに…!あとかうとか、そういう言葉にならい声ばかりを上げてソワソワと俯くわたしに、ナワーブくんがちょっと良いか?と続けた。ちょっと良いか…?焦り過ぎて、その言葉の意味を理解出来なかったわたしは、ゆっくりとその言葉を口内で復唱して噛み砕く。背中を向けつつも、顔だけで振り向いてわたしを先導しようとするナワーブくんにはっとして感情が溢れた。ど、何処に行くんだろうっ!いや、ナワーブくんが誘ってくれるなら何処へでも喜んで着いて行くんたけど…!見限られない様に、わたしはワタワタと立ち上がってナワーブくんの後へと続いた。時折振り向いてわたしの方を確認する、そんなナワーブくんの視線に気が付いて。わたしは顔を赤らめながらパッと視線を落として俯いてしまう。


「…アンタ、いつも俺から視線逸らすよな」

「…!?ご、ごめんねっ、その、」

「ずっとソワソワして落ち着きねーし。ぎこちねーし。そんなに俺の事が怖いのかよ」

「ちっ!ちが、」


どうしよう、ナワーブくんに多大なる誤解を与えている気がする。もしかしてこれってお説教呼び出しだろうか…?お前さぁ、そんなんじゃこの荘園でやってけねーよって。そんな気がしてきて一気に青ざめた。どうしようっ、何とかして誤解を解かないと!でも言えない、ナワーブくんの事が好きで緊張しちゃうからなんて、言えない…!わたしにはハードルが高すぎる。


「ノートンには、何されても平気そうにニコニコ笑ってるのにな」

「…?」


何でそこでノートンくんの名前が出てくるのか。いまいちピンと来なくて首を傾げてしまう。いつの間にか、ひと気のない資料室まで誘導されていて少し空気が淀んだ。何処と無く不穏な雰囲気…。身構えるわたしに、ナワーブくんが低いテンションで問い掛ける。


「好きなのか、ノートンの事」


率直に言ってビックリした。ビックリし過ぎて目が飛び出しちゃうかと思った。確かにノートンくんとは気が合うのか、いつもわたしの話や悩みを聞いて相談に乗って貰ったり、わたしにしては珍しく冗談を言い合える仲ではあるけれども。好きとかそういうのでは無い。挙動不審になりながらも否定しようとしたその時だった。ドンと、壁に押しやられて目を見開く。優しくわたしの頬に触れたナワーブくんに、そのままま極自然な流れでキスをされて。本当にリアル過ぎる夢を見ているんじゃないかと錯覚をした。







「っふ、う」


下着の隙間から捩じ込まれた指に、下腹部をグチュグチュと攻め立てられて力が抜けそうになる。その度にナワーブくんはわたしの耳元でほらと囁き、ちゃんと自分で立つように促した。ナワーブくんから与え続けられる甘い刺激に耐えようと、わたしは必死になって下唇を噛み締めてナワーブくんのシャツを握り締める。不意に、ナワーブくんがわたしの肩口へと顔を埋め軽く噛んだ。空いてる方の手でやわやわと胸を揉まれ、時折わたしの反応を楽しむみたいにきゅっと先端を摘む。擽ったい様な痺れる様な。そんな感覚に子宮の奥がキュンとなって止まらない。まんまと反応してしまい短く声を漏らせば、すかさずナワーブくんがしっ、とわたしを制して静かにする様訴えた。はあ、と、熱っぽく吐いた溜息を飲み込むように、ナワーブくんがわたしの唇を奪いキスに熱中する。中途半端に脱がされた服がまた厭らしさを煽っており、何だか身体の奥の方がゾクゾクと浮ついた。


「…っは、えっろ」


トロンとした顔ですっかり蕩けてしまったわたしの頬を、手の平でなぞりながら。ナワーブくんがカチャカチャとベルトの金具を外し、自身の熱をわたしのそこへと押し当てた。ヌルヌルとしていて熱い。まるで焦らす様な動きで擦り付けてくるナワーブくんに堪らなくなって、わたしは小さく喘ぎながらナワーブくんへとしがみつく。入りそうで入らない、でもいい所に当たっていて気持ちいい。そんなもどかしさ。コツコツと少しずつ理性を切り崩されそうになる中、突然ナワーブくんに抱き締められて呼吸が止まる。思いの外強い力をしていて驚いた。つい、あっ、と短く零して、反射的にナワーブくんの顔を見やった。クリクリの丸い瞳が、わたしの事を至近距離で見つめ返している。あああ、ナワーブくん可愛い。視線を釘付けにされてしまって逸らす事すら出来ない。しかしナワーブくんはふぅと一つ神妙な顔をして、わたしの乱れた服装を正し始めるから呆気に取られた。


「…悪かったな」

「えっ、」

「もう、アンタには近付いたりしない。安心しろ」


急に我に返ったのだろうか。ナワーブくんが、凄く静かな声でそんな事を言うので泣きそうになる。や、止めちゃうの…?違うよ、わたしは一度もナワーブくんの事嫌だなんて思った事ないよっ、!昂った熱をここで放置されるのもそうだし、今後ナワーブくんに素っ気なくされる事を想像するだけで切なくてしんどくて胸が張り裂けそうになった。涙目になるわたしの事を見ないようにしつつ、ナワーブくんがくるりと踵を返すので咄嗟に引き止める。


「ま、って、…」


泣きそうな顔のまま、縋り付く様にしてナワーブくんの名前を呼んだ。やっとわたしを視界に入れたナワーブくんがごくり。切羽詰まった顔で生唾を飲むのが分かり、つられて興奮を誘われる。わたしの元へと戻るなり、ナワーブくんがわたしの事を冷たい壁へと押し付けた。ぐいと、強引に顎を掴まれてナワーブくんと視線を合わせられる。熱を孕んだ瞳に捕まって、何だか心臓がジリジリと妬けて熱かった。


「…煽ったのは、アンタの方だからな」


ちゅうちゅうと深く唇を重ねられながら、再び衣服を乱されて乱雑に下着を下ろされる。後ろを向く様誘導され、言われるがままナワーブくんに背中を向けた。軽く開いた腿の間に、ナワーブくんの熱が宛てがわれて軽く上下する。それだけで凄く気持ち良くて、蕩けそうで。わたしは必死になって唇を引き結び、誤魔化すみたいに下を向いて俯いた。ナワーブくんに腰を掴まれ、引き寄せられると同時にゆっくりと中へと入ってくる。しっかりとナワーブくんを感じてしまい、わたしはそっと自身の指先を噛んだ。


「あ、!」


やば、きもちぃ!パンパンと、ナワーブくんに突かれる度に快感が弾けて喘いでしまう。直ぐに我慢出来なくなって。あんあんとハートがつきそうな程甘く鳴くわたしに、ナワーブくんは意地の悪い声色で囁いた。


「奥が良いのか?」

「っう!ん、だめっ、奥、いいっ、凄くいい、のおっ!らめえっ!」

「じゃあもっと激しく突いてやらねーとな」

「は、うっ、…!」


後ろから伸びて来た大きい手の平に胸を掴まれ、優しく揉まれたのに気持ち良さが増す。ああぁ、駄目だ、キュンキュンしちゃう…!ナワーブくんの爪先につけられた金属が冷たくて、思わず顔を顰めた。


「あっ、あっ…!だめ、こえがまっ、できな!ああっ!」

「は、すご…グチャグチャだな」

「や、いわない、でえっ、!ふあ、!」

「…好きでも無い男に無理やり犯されて。そんなに気持ち良くなっちゃって良いのか?なぁ」


なんて。またそんな意地悪を言うナワーブくんにキュっと胸が締まって苦しくなる。堪らず、「違うもんっ!」と声を上げて否定した。わたしがハッキリと言い切ったのが意外だったのだろう。一瞬、ナワーブくんの律動運動が鈍くなって動きが緩やかになった。


「はっ、違うって?」

「す、好きだもんっ!ナワーブくんの事、大好きだもんっ」

「なっ!?はああっ!?いや、だって、ノートンは…?」

「何でノートンくんが出て来るのっ!意味分かんない!!」

「わ、悪い…」


感情ぐちゃぐちゃになって泣きべそをかくわたしに、ナワーブくんが一度自身を抜き去りわたしの身体を反転させる。ポロポロと泣き始めてしまったわたしの涙をそっと拭いながら。ナワーブくんが眉尻を下げてごめんなと謝った。ううっ、やっぱり顔が良い…!そんな顔で謝られたら直ぐに許してしまう。


「…本当に俺の事好きなのか?」

「う、何度も言わせないでぇ、だいすき」

「…可愛いかよ」

「きゃっ!」


がっ、と、わたしの片足を掴むなり高く持ち上げたナワーブくんに驚いて軽くしがみつく。今度は前から挿入されたのに羞恥心が煽られ、わたしは顔を逸らそうとそっぽを向いた。しかし直ぐにナワーブくんの方を向かせられるから顔がじんわりと熱くなる。


「や、だめ、!恥ずかし、」

「大丈夫だ。可愛い顔良く見せてくれよ」


コツコツと。下から攻め立てられる刺激に我慢出来なくなって必死に喘いでしまう。でもそんなわたしの事を可愛いと言って愛でてくれるから、心臓が甘く唸ってドロドロに溶けてしまうかと思った。気持ちいい所を集中的に突かれて、その都度目の前がチカチカと眩しく爆ぜる。


「あっ!きもち、きもちぃ、よおっ!!」

「っは、俺も、!っ、きもちっ、」

「も、だめっ、力、はいんな、」


ナワーブくんの腰の動きが段々と速くなってきて。フアフアなお耳がピンと天井へ向けて張り立てている。ナワーブくんも限界が近いのかもしれないと悟り、わたしはナワーブくんの首へと腕を回しながらギュっと力を込めて抱き着いた。びゅるびゅると、自身の欲を吐き出したナワーブくんが肩で呼吸を繰り返しわたしの事を抱き締め返す。


「はっ、!はあっ…、」


朦朧としつつも顔を上げたナワーブくんと目が合い、どちらともなく唇を寄せ合う。ビックリする程柔らかくて、気持ちの良いキス。優しく舌を絡めてから顔を離せば、ナワーブくんが再度わたしを抱き締めながら耳元で呟いた。


「…俺も、すきだ」


ああ、幸せ過ぎて今度こそ死んでしまいそう。



20230822

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