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□結婚するのか、ボク以外のヤツと
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*R18、無理やり要素あり



所謂お隣さんという奴だった。ご家庭の事情で今はお母さんが居ないらしく、ひょんなキッカケからわたしが生太くんの遊び相手となる事になった。生太くんと一緒にアニメを見たり、本を読んであげたり、お絵描きしたり、その一方で時折自分の課題を持ち込んで勉強したり。遊び疲れてその辺で寝てしまった生太くんに気付き、そっと毛布を掛けてあげる。天使の様な寝顔とは正にこの事を言うのだろうと思った。ぷにぷにの頬っぺが柔らかくてつい無駄につついてしまえば、むにゃむにゃと寝言を呟くので口角が緩む。ふふ、癒されるぅ。

生太くんとは歳が一回り以上も離れていたけれど。歳の離れた小さな親戚が多くて子供の扱いにも慣れていたわたしからしたら、生太くんは可愛くて可愛くて仕方がなかった。昔からお姉ちゃんお姉ちゃんって。生太くん、良くそうやってわたしにハグを求めてたよなぁ。生太くんも一人っ子だったから、お母さんも居ないし甘えられるわたしの存在が大きかったのだろう。わたしの事本当のお姉ちゃんみたいに慕ってくれるんだよ。尊すぎでは?ニコニコって、花が咲いたみたいに笑う生太くんを思い出してクスリと微笑む。

でも、中学に上がってから生太くんは変わってしまった気がした。何処か素っ気ないというか、塩対応というか。わたしが話しかけてもツンとした態度を取る様になった。あぁとかうんとか、返事も凄く冷淡で適当で落ち込んでしまう。あぁ、あんなにも可愛かった生太くんは一体何処へ?笑顔のえの字も無い。最近の生太くんは1ミリたりとも笑ってくれなくなった。これが思春期という奴かと、わたしは静かに頭を垂れて打ちひしがれる。きっともう、ハグとかもしてくれないんだろうなぁ…。と、大きな溜息を吐きながらふと昔の事を思い出して考え込む。まぁでも、生太くんって昔から、急に冷たくなる事あったよね。普段は笑顔を絶やさない愛想の良い男の子なんだけど、時折凄く冷めた表情をするからこちらの方がヒヤリとさせられる。その温度差を不気味に思ってしまいそうになる度、わたしはブンブンと頭を振り払って生太くんご機嫌ナナメだねぇとぷにぷに頬っぺをつついていた思い出だ。機嫌が悪いというのもあって、あの時の生太くん凄く鬱陶しそうにしてたっけ。…生太くん、元気かなぁ。もう暫く会ってないや。

しかしどんな風の吹き回しだろうか。久しぶりに生太くんがウチを訪ねて来るので面食らう。珍しい。どうしたんだろうと疑問に思いつつ、彼の方から会いに来てくれたのが嬉しくてわたしはピョン!と飛び跳ねる勢いで生太くんの手を取った。毎回毎回、わたしがふざけてハグしに行ったりこうして手を繋いでみたり、その度に生太くん嫌がって振り払うんじゃないかと身構えるけど、基本生太くんはされるがままなので意外に思う。久しぶり、お姉ちゃんと、そうニッコリ笑顔を浮かべた生太くんに驚いて、わたしはキョトンと目を丸めながら彼の事を凝視しまった。しょっ、生太くん!笑った〜!嬉し〜っ!その笑顔は、昔わたしに見せてくれてたのと同じ物でぶわっと歓喜が溢れ出す。


「入って入って!あっ、ケーキあるよ。食べる?」


生太くんの訪問が嬉し過ぎて、わたしは生太くんの背中を押しながらリビングのソファへと誘導した。お構いなくと微笑む生太くんに紅茶とケーキを用意して、わたしはルンルン気分で生太くんの元へと戻る。お構いなくなんて言える子になっちゃって。お姉ちゃんはビックリだよ。


「本当、少し見ない間に大きくなったねぇ。身長もぐんと伸びて、今いくつ?わたしより高いんじゃない?」


テンションは完全に親戚のおばちゃんである。学校はどう?楽しい?部活何してるの?と質問攻めしてしまうと、流石に生太くんは困った様な顔をして苦笑いを浮かべた。


「僕の事は良いからさ、お姉ちゃんの話聞かせてよ」

「へ、わたし?」

「うん。お姉ちゃんこそ、彼氏さんとはどうなのさ」

「えっ!」


驚いた。まさか生太くんからそんな話を切り出してくるとは…。昔っから恋愛事にだけは疎くて縁がなくて、彼氏出来ないのが悩みだったわたし。彼氏欲しいよぉと口癖の様に零せば、生太くんはその度に不機嫌そうな顔をしながら僕がいるじゃんと拗ねていたっけ。寝坊した日曜の朝、朝ごはんにと作ってあげた目玉焼きプレートの、付け合せウィンナーにブスリとフォークを突き刺して。生太くんは何処かイライラとした様子でウィンナーを口いっぱいに頬張る。あれはまだ、生太くんが小学校に上がったばかりの頃だっただろうか。


「…僕、大きくなったらお姉ちゃんの彼氏になってお姉ちゃんと結婚する」


ポツン。小さく呟いた生太くんの言葉に一瞬呆けてしまい、キョトンと静止して瞬きすら忘れる。こういうの、良く小説や漫画で見るやつだ。本来なら可愛いなぁと微笑ましく思うのだろうけど、その時のわたしはそうは思わなかった。チラリとこちらを見やった生太くんの視線に何故かゾクリとしてしまい、咄嗟に笑って誤魔化したのを今でも覚えている。

それで、そう、わたしが学生を卒業して社会人になって何年か経った時に、漸く初めての彼氏が出来た。念願の彼氏が嬉しくて嬉しくて、わたしは直ぐに生太くんへと紹介したけれど。生太くんは無に近い表情で固まってしまい、何も言ってくれないので不安になった。今思い返すと、生太くんが冷たくなったのもその頃だったかもしれない…。素っ気なくて冷たくなってしまった生太くん。その話を彼氏にしたら、大好きなお姉ちゃんを何処ぞの馬の骨に取られてヤキモチを妬いているんじゃないかと、そう笑いながら在り来りな事を言われた。まぁ、確かに、生太くんってちょっと独占欲が強い所あったけどさ…。生太くんはわたしの彼氏が嫌いなんだと思ってた。だからわたしとの関係もちょっとぎこちなくなっちゃって、会いに来てくれなくなっちゃったんだろうなって。だからそんな生太くんから最近彼氏とどう?なんて、そう聞いてきたのが意外すぎて。思わず言葉に詰まってしまいそうになる。


「喧嘩もいっぱいするけど、何だかんだ仲良くやってるよ!…わたし、婚約したんだ。今の彼氏と。来月から同棲する事になってて、この家も出て行く予定なの」


だから良かった。その前に生太くんと会えて。そうやんわり微笑むと、生太くんもつられたみたいに柔和な笑みを返してくれた。普段はまぁるくて可愛らしい瞳を細めて、生太くんはそっかとボヤいてみせる。「おめでとう」そう続けた生太くんの声は凛としていて、ヤケに耳へと残った。


「…お姉ちゃんもボクの事、裏切るんだね」


しかし突然声のトーンが一変。はっとして生太くんの顔を見やり、おもむろに瞬き。笑顔どころか、目に光すら宿していない生太くんがガタンと椅子を鳴らして勢いよく立ち上がった。「しょ、しょうたく、」がっ、と、強く手の平で両頬を掴まれたかと思うと、そのまま力任せにソファの方へと押し倒されて身体が浮き沈みする。至極冷たい視線でわたしを見下ろして来る生太くんにブルリと身体が震えた。


「ボクが大きくなったらお姉ちゃんと結婚するって言った時、お姉ちゃんなんて言ったか覚えてる」


疑問要素は無いに等しい質問だった。答えられず黙り込んでしまうと、わたしの上に乗った生太くんが痺れを切らしたみたいに自嘲の笑いを浮かべた。


「生太くんが大人になってもまだわたしの事好きだったらねって。お姉ちゃんそう言ったんだよ。なのに…」


ボクの事待たずに彼氏作った挙句そいつと結婚?笑わせないでよ。言いながら、生太くんがわたしのブラウスの襟首を掴んで勢いよく左右へと引き裂いた。ブチブチ。大きな音を立てながらボタンがあちこちに弾け飛んで胸元が露わになる。本当にこれが、あの可愛かった生太くんなのか。頭の処理が追いつかず、わたしはただただ混乱して固まってしまう。生太くんの手が、愛おしそうにそっとわたしの頬を撫でた。


「ねぇ、お姉ちゃん」


お姉ちゃんはボクと結婚するんだよね?







ぐちゅ、ぐちゅ。すっかり日の沈んで暗くなった部屋に酷い音が響く。お互いの体液が溢れ出して擦れる音と、わたしの悲鳴にも似た喘ぎ声。耐え切れなくなって啜り泣いてしまう度、生太くんの唇がわたしのそれを塞いで泣き声を打ち消した。まだ中学生のはずなのに。生太くんはヤケに柔らかくて優しくて大人のキスをする。はむ、ってわたしの唇を啄むみたいに。わたしの舌を追い求めるみたいに、チュクチュクと口内を犯してはスキを呟く生太くん。嫌なはずなのに。身体は正直とはこの事を言うのかもしれないと皮肉な事を思った。もうどれくらい繋がったままなんだろう。若さの所為だろうか。生太くんのはいつまで経っても元気なままで萎える様子はこれっぽっちも無い。時折思い出したみたいに腰を激しく打ち付けられて、その都度わたしの方が容易くイってビクビクとしてしまう。そんなわたしが面白いのか、生太くんが凄く嬉しそうな顔であはっと声に出して笑った。


「お姉ちゃん、かわい。でも彼氏のお陰なんだと思うと妬けちゃうなぁ」


腰を掴んで引き寄せられながら、生太くんがグリ、とより奥を目指して性器を擦り付ける。ぐりぐり、ぱんぱん。突かれる度に気持ちが良くて蕩けた声を出すと、生太くんが満足気にしながら目にハートを浮かべて吐息を漏らした。流石に限界が近いのだろうか。生太くんがわたしの両手首を掴み、自身の方へ引き寄せながら切羽詰まった顔で呼吸をする。しかしそこで、ゴムをつけてない事が頭を過ぎり、わたしは必死になって生太くんの事を呼んだ。


「まっ、て、しょうたくっ、!」


しかしわざとだろうか。生太くんが目を細めながら、より速く腰を打ち付けてわたしの快楽を誘う。途端に「あっ…!」と喘いでしまったわたしに生太くんはより機嫌を良くしたらしくて。わたしの手をギュッと貝殻繋ぎして握りながら、恍惚とした笑みで零した。


「大丈夫だよ。ボクはママやパパと違って、ちゃんと責任取るからね。もし孕んだら産んで一緒に育てようね」


って、可愛い顔で恐ろしい事を言う。それまでの快感が一気に消え失せてゾッと血の気が引いた。背中の方からえもいえない不安に襲われて身の毛がよだつ。おねがい、まっ、て、「いくっ、いくいくいく、ボクの全部中に出すから、受け止めてね、お姉ちゃんっ」待った無し。無情にも吐き出された熱がドクドクと、自身の子宮奥深くに注がれていく感じがしてヒクリと喉が震えた。絶望して泣きじゃくるわたしを見下ろしながら、生太くんが肩で息をしてゆうるりと口角を緩める。


「大好きだよ、お姉ちゃん」



20230526

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