Happy birthday to Hijikata

□Happybirthday!!!
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パァァァン!!!!




「トシ、」『副長、』
『お誕生日おめでとうございまーーーす!!!!』




「は……?」




ひたすら総悟を追いかけながら走り続け、屯所の門をくぐった時、クラッカーの音と共に近藤さんと隊士たちの声がした。




逃げ足がやけに速い総悟を追いかけてきたから、肩で呼吸をしながら顔を上げる。




「トシ、今日も一日お疲れさん。そして誕生日おめでとう!!」


「近藤さん……、」


『おめでとうございます、副長―!』


「お前ら……、」




「朝っぱらから総悟のイタズラのおかげで散々祝ってもらっただろうが、ちゃんとお前の誕生日を祝いたくてな。みんなで待ってたんだよ。」



「そうなんです、副長、直ぐに言わなくてすみません……。沖田隊長だってすぐ分かったんですけど、同時に言ったら殺されると思って……、すみません!」



そういうことだったのかよ……、ったく。



「山崎、お前が言わなかったせいで俺は今日一日どんだけ恥ずかしい思いしたと思ってんだ。あぁ?」


「え、で、でも……、す、すみません.......!」



「だが。二度とこんなイタズラは辞めて欲しいが、だが……。
お前らにも、他のヤツらにも、おめでとうと言われて……まぁ、悪ぃ気持ちはしなかったよ。多少気味は悪かったがな。」



ははっ、と隊士たちが声を揃えて笑う。



「……つまりなんだ、その……。礼を言う、ってことだ……。」





「トシーー!」『副長―――!』


隊士たちがみなこちらに駆け寄ってくる。





ったく、普段迷惑ばかりかけられてるが、こうして俺のことを祝ってくれると、チャラにしてやってもいいかと思っちまうんだよな。総悟も。




「トシ、いつもお前に迷惑をかけちまってすまねぇな。おまけに誕生日の日も遅くまで仕事をさせて。
だがトシがいるからここにいる俺たちぁ武士としていられる。お前がいるから真選組が成り立つ。そんなお前だから、隊士たちは着いてくる。
いつも、ありがとうよ。今日くらいは自分をいたわってやってくれ。」



近藤さんの話に合わせて隊士たちも頷く。



「ったく、分かってんならちょっとは書類仕事してくれよ。」



俺読み書きできねーんですよ〜、という誰かの声にみんなが笑う。



近藤さんや、こいつらがそう思っていたなんて……。


たくさんの人におめでとうと言われて。


照れるが……、いい日じゃねぇか、誕生日。








「へい、お待ちー。」




ベチョッ、





そんな総悟の声と共に俺の視界は真っ暗になり、顔にベトベトのものが着いた感覚があった。




「マヨネーズケーキでさぁ。好きでしょう?土方さん。」


「てめぇ、総悟……。渡し方ってモンがあるのを知らねーのか……っ!」


俺は手で拭って視界を確保する。




あはは!と笑う隊士たちをよそに俺は再び、総悟を追いかけ始めた。
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