Happy birthday to Hijikata

□見回り
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今日は総悟との見回りだった。



「土方さん、今年はやけに祝われてるじゃねーですかぃ。」


「あ?あぁ、 誕生日だろ? この年になって男どもにおめでとうおめでとう、って言われても別に嬉しかねーよ。」


「そんなこと言って。本当は嬉しいんでしょう。」


「ばか、んなことあるかよ。もう30前だぞ。ガキの誕生日でもあるめーし。」


「へいへい、」




ったく、信じてねーな、このガキ。


そういや、こいつからはまだ言われてねーな……


って!総悟が言うわけねーだろ!もう感覚が麻痺ってやがる。









「あ、マヨとクソサド。」


正面から小さい鯉のぼりと駄菓子を持ったチャイナ娘が歩いてきた。


「ちっ、朝からてめぇの顔見るなんざ、災難しか起こる気がしねぇ。」


「んだと!それはこっちのセリフネ!今すぐ私の視界から姿を消せヨ!」


「らしいでぁ、土方コノヤロー。」


「いや、俺ぇ?!今のは確実に総悟に向かって言ってただろ!!」


「どっちも消えろヨ。」


「なんでだよ……、もういい、行くぞ総悟。」



なんだかんだ言いながら結局チャイナ娘と睨み合っていた総悟を引っ張りながら言う。



そして俺たちはチャイナ娘に背を向けて歩き始めた。





「……トシ!」



「あ?まだなんかあんのか。つーか、誰がトシだ。」



ん、と言ってチャイナ娘は小さい鯉のぼりを差し出してきた。



「どうした。」

「お前にやるアル。」

「俺に?俺ぁこんなもん貰っても……」

「女子からのプレゼントを断るアルカ。だからトシはモテないネ。」

「なんだと……、っおい!」



チャイナ娘はその鯉のぼりを俺に押し付けて走っていってしまった。



「あいつ、これは読めんのか。」

「あ?なんか言ったか総悟。」



「なんでもありやせん。良かったですねぇ、可愛らしい鯉のぼりじゃねぇですかい。土方さんにぴったりだ。」


「俺にぴったり……?」


「はぁ、もう忘れたんですかぃ。ま、別にいいでさぁ。」



そう言って総悟は歩いていってしまう。




今日は一体なんなんだ……?












かぶき町を見回り中も、誰彼から、おめでとうございます、を言われまくった。


なんだ、なにか仕組まれてんのか。


いつも通りサボりやがった総悟がいない間によったタバコ屋のばあさんにさえも、おまけだよ、と言って一箱タバコをまけてもらった。


「ここまでくると気持ちわりぃよ……。」



疲れすぎて全部、おめでとうございます、に聞こえちまってんのか?
いよいよ、末期か。


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