〈長編夢小説〉幸せ

□第十八章
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「銀ちゃん!!せっかく京に来たネ。どこか観光したいアル!!」

「おぉー、いいなぁ。やることねぇし散歩がてら行くか。」

「え、ほんとですか!!僕行ってみたいところあるんですよ!」



次の日、私と神楽ちゃんと定春が泊まっている部屋に銀さんと新八君が来てくれて、話をしていたが、これから観光することになりそうだ。

でも.......

「でも銀さん、危ない人たちうろうろしてたりしませんかね.......?」


そう、攘夷浪士がどこから出てくるか分からない。


「心配ねーよ。あいつら、なんかでけぇことやらかそうとしてるんだろ?その前にちょっとでも目立つ行動してみろよ。ここにいる幕府の犬どもに捕まっちまうだろ。
だから、そのビッグイベントを起こすまではあいつらは大人しくしてるはずさ。」


た、たしかに.......


「じゃあ、大丈夫ですかね?私も実は行きたい所があって........」

「大丈夫アル!こっちには銀ちゃんと私と定春がいるネ!」

「神楽ちゃん僕は.......?」

「お前はメガネアル。」

「もうネタ通り越して傷ついてきましたよ.......。」


そういう新八くんをなぐさめながら、じゃあ行こうか、と言って立ち上がろうとした時、銀さんが、

「ほら、手ぇ貸すよ。立てるか?」

と言って、手を差し伸べてきた。


銀さんって意外とこういう優しいことがさらっとできちゃうんだよね。

あの人とは大違い.......、なんて思いながらクスッとしてその手を掴もうとした、その瞬間。



スパァァァン!!



気持ちのいい障子の開く音がして、びっくりしてそちらに目を向けると。


「俺も行く。」


立っていたのは彼だった。







――――――





「銀ちゃん!!せっかく京に来たネ。どこか観光したいアル!!」


隣の部屋からチャイナ娘の言葉が聞こえてきた。


昨日、仕方なしにアイツらを泊めることにしたあと、部屋はあいつとチャイナ娘とデカい犬を俺の隣の部屋、万事屋とメガネを総悟の隣の部屋に指定した。

(総悟はなんで逆じゃないのか怒っていたが。)


理由は…。そりゃあ、心配だからだ。

まあ、チャイナ娘がいいガードになるとは思うが、何かあった時に、総悟に守ってもらいました、なんてダサすぎる。


副長命令だと言ってこの件は無理矢理通した。



「おぉ、いいなぁ。やることねぇし散歩がてら行くか。」


そんなことを万事屋が言っている。


「でも銀さん、危ない人たちうろうろしてたりしませんかね…?」


そうだよ。危ねぇよ。何があるかわかんねぇよ。だからそんな簡単に…


「心配ねーよ。あいつら、なんかでけぇことやらかそうとしてるんだろ?その前にちょっとでも目立つ行動してみろよ.......、」


なんて、万事屋が珍しく筋の通った話をしている。

たしかにそうなのだが。

これは行く流れか。

くそ、仕事が手につかねぇ。


幸い今日は近藤さんに休みをもらっていて、特にテロに関する目立った情報もなし、というのが頭をよぎる。


「.......。」


気づいたら俺は羽織を探し始めていた。


「ほら、手ぇ貸すよ。立てるか?」



万事屋の奴.......!!



「俺も行く。」



気づいた時にはそう言っていた。

襖も開いている。



そこには、目を丸くしたあいつと、いやらしい笑みを浮かべた三人と一匹がいた。









――――――






すごい勢いで襖を開けた土方さんはおもむろに私の腕を取り、立たせて歩き出した。

「ひ、土方さん.......??お仕事中じゃあ.......。」

「てめぇらがうるさくて仕事にならねぇんだよ。そして見回りも俺の仕事だ。」

「でも着物.......」

「馬鹿、隊服来てたら一発で真選組ってバレんだろ。だからこっちではいざという時以外はみんな着物だ。」


あ、たしかに昨日会った時も.......


ドンッ


後ろから何かがのしかかってきた、と思ったらそれは神楽ちゃんで。


「ト〜シ〜、名無しさんちゃん独り占めなんてずるいアル。お前が私らと行きたいのは良いけど独り占めは許さないネ。」


土方さんは、パッと私の腕を離した。


「見回りだよ、仕事のついでだ。行きたくて行くんじゃねーよ。」



土方さんはそう言うけど.......。


彼の顔はなぜか真っ赤だった。
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