〈長編夢小説〉幸せ
□第七章
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「あ、雪だ.......。」
私がこの世界に来てもう約四ヶ月たとうとしている。
今日も、日課の土方さんの布団を敷き終え、仕事をしている彼にお茶を持ってきている途中に初雪が降ってきた。
「もう、そんなに時間が経っちゃったんだなぁ.......。」
あれから仕事が増え、総悟くんに書類を書いてもらうように頼むことだったり、(お妙さんに殴られた)近藤さんの手当をすることだったり。
そして、土方さんに夜食を作ったりして認めてもらえたのか、今では食堂で食事を作ったりもしている。
不定期だけどかぶき町に訪れる回数も増えていた。
その度に屯所の中では見れないような土方さんを発見したり、万事屋に行ってみんなと仲良くなったり、いろんなことをして、いろんなものを見た。
土方さんは、寒くなるからと言って羽織を買ってくれた。
(今度は言うなって固く口止めされたけど。)
あとは、土方さんばかりずるいと言った総悟くんも、何度か町へ連れていってくれた。
年齢相応な感じの総悟くんが見れて、その時間もとても楽しかった。
もうそろそろ一人でも出れるって言うんだけど、それだけは土方さんが許してくれないんだよね。
意外と過保護。
そんな感じで、土方さん、近藤さん、総悟くん、ほかの隊士達と関わる時間が増え、みんなのこともだんだん分かってきた。
でも、土方さんは一緒にいる時間が多い分、仕事以外の話もしたりするようになって、なんだか私の安心できる場所のようになっていた。
だから、土方さんを始め、みんなにお世話になっている分、何か返さなきゃと思って働きまくっていたら、私のいた世界のことを考える暇もなく、気がつけば真逆の季節。
「あ、お茶冷めちゃう。」
そう思って足を速めて土方さんの部屋に向かい始めたが、
「土方さん・・・?」
彼は珍しく仕事をせず、部屋からお酒を片手に静かに降る雪を見ていた。