〈長編夢小説〉幸せ
□第三章
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私の部屋までは沖田さんが案内してくれた。
「ここでぃ。ちぃーと狭いが、勘弁してくだせぇ。」
本当に空き部屋なのだろう。
何もなかった。広さとしてはそんなに申し分ない。
「あ、ありがとうございます・・・。」
本当にここで生活していくの・・?
「あ、そういやぁ、名無しさんさん、着替えの着物は持ってるんですかぃ。」
「着物?あ、あぁ・・。いや、持ってないです。」
持ってるわけないよ・・・
「んー、どうしますかねぃ。ここは男しかいないもんで、女物の着物はねぇんでさぁ。」
「はぁ・・・。」
え、男しかいないの・・・。
「まあいいや。土方さんから金巻き上げて買ってきまさぁ。他の仕事よりも楽なんで。」
「え、あの・・・」
「名無しさんさんはここで待っててくだせぇ。」
そういうと沖田さんは出ていった。待ってて、って言われても・・・。
とりあえず、カバンの中身をチェックしよう。
スマホは、圏外。
あとは多分ここでは使えないであろうお金が入った財布と、講義用のノートとファイル・・・。
持ち物は何も変わっていないことが逆にこの状況に現実味を持たせた。
「ほんと、どうしよう・・・」