4年生

□2.そんなキミも好きの段
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⋆♡♡⋆ヒロインはくノたま






「さぁ、ユリコ。散歩しようか」


…………

………………



「ユリコ!ファイヤーーーーー!!」


ドオォォォォンッッ


………

…………



「フンフンフフン♪どうだ?ユリコ〜」



いつ見てもいつも石火矢のユリコちゃんを大切に溺愛している同期の田村三木ヱ門
平滝夜叉丸とキャラ被りして自惚れが少々面倒臭いと言われている。
だけど、そんな三木ヱ門を私はずーっと見つめてきた。



片時ともユリコちゃんから離れてる事は授業意外は見たことない。委員会でも常にユリコちゃんと同行しているし、ギンギンとほふく前進をしながらもユリコちゃんを引っ張ってる。



「……紫先輩?なにを見てるんですか?」


「あぁ、ユキ………あれよ」

窓から見つめていた私に後輩のユキに聞かれて、下にいる三木ヱ門に指を指した。



「…あれって、紫先輩と同じ同期の田村三木ヱ門先輩じゃないですか………大砲の石火矢が得意なんですよね?」


「そうよ。今日も石火矢で練習してるみたい」


「ふーん………先輩はあーいう人が好みだったんですか?」


「どうして?」


私と三木ヱ門が恋仲だってのは後輩だけじゃなく皆が知ってること。


「いえ、悪く言うつもりはないんですけど……確か田村先輩ってあの平滝夜叉丸先輩とキャラ被ってて、ちょっと面倒臭い人ですよね……」


「ふふふ。ユキは嫌?」


ほくそ笑みながらユキにチラッと見れば、質問されたユキは『うーん……』と三木ヱ門を見る。

「……嫌っていうか〜、平先輩よりかはマシですけど、ちょっと………」


一応、私の恋仲の相手だからか言い方が結構言いにくそうにしている。
別に気を遣わなくても良いのだけどね〜?


「そう。確かに自惚れも強いしあーいうキャラだからどちらかと言うとあまり好かれないかもしれない。でも………」


「……でも?」


「………なんだかんだと言っても優しい人よ。意地悪することもあるけど後輩思いだし」


「へぇ………意外ですね」


「人は意外性を持ち歩いてるものよ?日頃はあーやって石火矢にメロメロだけど、実戦や練習ではキリッと切り替えるし、石火矢の手入れも怠らない」


「……………」


「自惚れるところはマイナスかもしれないけど、努力を怠らない三木ヱ門だから好きなんだよね。」

本人には決して言わないセリフだけど、そう思ってるってことは……まあ、後輩には言ってもいいかな…。



「………紫先輩がどれだけ田村先輩のことを想ってるのか染々感じました」


「あら、そう?ごちそうさまってところかな?」


「そーですね!」


「ふふ。……ユキ、大切な人を見つけることは決して悪いことではない」


「はい」

「でもね、人を見極めることも大切よ。人は皆、外見だけが魅力的なんじゃない…外見がイマイチであっても中身がとても優しい心を持った人なら、きっと幸せになれる」


「!」

「どんなにひょろっとしていたり日頃の行いだったりしても、きちんとその人が本当はどんな人なのか見極めなさい」


「……本当はどんな人か見極める」


「そうよ。外見だけでは中身までは見極められない…そうでしょう?」


「あ…………はい!」


「外見よりも中身よ。自惚れ屋だったり自信家だったり陽気屋でも何でも、中身が真面目で努力家なら間違いなく幸せになれる。惹かれる対象は皆違うけど、私はそういうところを見たからね」


ドオォォォォン


石火矢で練習する三木ヱ門を眺めながら、フフッと笑った。
まあ、三木ヱ門とは幼い頃からの幼馴染みだから、彼のことはよく知ってるんだけどね。
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