4年生
□6.四年生のアイドルの段
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「土井先生」
「なんですか?山田先生」
土井半助と山田伝蔵が二人っきりでお茶を飲みながら会話を始める。
「四年生の田村三木ヱ門や綾部喜八郎、平滝夜叉丸、斉藤タカ丸も紫にベタ惚れのようじゃないか?」
山田伝蔵の言葉に土井半助も『うーん』と考えながら首を縦に振る。
「確かにそうですね。まあ、四年生の中でたった一人の女の子ですから」
「…それはあるのかもしれんな。本当なら紫はくノ一教室で勉強するはずの生徒……それが、手違いで忍たまの方になってしまったんだからな」
「はい。最初は息が詰まるのではと思いましたが……」
「なんとか溶け込めてるようで安心したよ。まあ、彼女の性格と人柄がそうさせたのかもしれんがな」
「その通りですね」
他愛のない話をしながら、また一口とお茶を飲む二人だった。
*̩̩̥୨୧˖⋆その頃、四年生では
「あれ、紫は何処に行ったんだ?」
田村三木ヱ門が綾部喜八郎と平滝夜叉丸、斉藤タカ丸が集まってる敷地内に行けば紫の姿がないことに気付いて声をかければ、三人は横に首を振る。
「知らなぁい……」
「何処探しても見当たらない」
「近くにいる忍たま達に聞いても誰も知らないって言うんだよ…。本当に何処に行っちゃったんだろうね」
紫の姿がないだけで、このつまらなそうな雰囲気を漂わせているのだ。
完全に彼女なしではやってけない質になってしまっているだろう。
ガサガサ
「ん?……誰だっ!!」
茂みから人影が見えて三木ヱ門達がそちらに集中する。
ガサガサ
「……っと、あれ?四年生の田村三木ヱ門先輩と平滝夜叉丸先輩に綾部喜八郎先輩に斉藤タカ丸先輩……どうしたんですか?こんなところで」
茂みから出て来たのは三年の伊賀崎孫兵だった。
「ふん。お前にそんなこと関係ないだろ!」
「……別にいいですけど。どうせ紫先輩でも探してたんじゃないですか?」
三木ヱ門の態度にムッとした孫兵がツンとした言い方をする。
それには、また三木ヱ門も反応して言い返す。
「だったらなんだって言うんだよ!!」
「僕、見ましたよ紫先輩」
「「「「!!!?」」」」
紫の目撃情報に三木ヱ門達が直ぐに反応するのを孫兵がチラりと見て苦笑いを浮かべる。
「どこだ!?」
「………田村先輩には教えてあげませんよ!」
「なんだとぉ!!?伊賀崎、貴様〜!!」
「まあまあ、落ち着いて!三木ヱ門」
怒り出す三木ヱ門にタカ丸が押さえる。
その隣で滝夜叉丸が代わりに話しかけた。
「おい、紫はどこにいるんだ?言え」
「教えません」
頑なにして言わない孫兵に滝夜叉丸までキレてしまった。
「なんだとぉ!!?この忍術学園の四年生の中で成績1番なら技術も1番の平滝夜叉丸である私に〜!!!」
「そんなの関係ないと思いますけどね………あ、ジュンコ〜!どこに行ってたんだよ〜。探しちゃっただろう?もう二度と離さないよ」
どうやら飼ってる毒蛇のジュンコを探していたらしく、教えないまま立ち去って行ってしまった。