はちみつレモン。
□Episode10
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彩さんとはそれから連絡を取ってなかった。
でも、やっぱり僕はまだ全然諦めきれてないみたいで…
ちゃんと百花さんが今の奥さんと別れて彩さんと結婚するまでは引き下がれないんや。
1ヶ月も経つけど、電話してみた…
引かれるやろうな、諦めの悪い男やって。
プルルルル…プルルルル…
(もしもし?)
「あ、彩さん…久しぶり。」
(ゆーり…この前はほんまにごめんな?怪我はちゃんと治った?)
久しぶりに聞く彩さんの声はやっぱり好きやなって、思ってしまう。
「あー、怪我なんてすぐ治ったよ〜!もう忘れてたぐらいやもん!」
(そっか、なら良かったわ。百花も悪かったって言ってたから…)
「あ、うん…」
あの後、やっぱり百花さんと会ったんや…
仲直りしたんやろうな。
『で、どうしたん?用があって電話したん?』
「え、あ…いや…その、元気してるかなって思って。何か困ってることあったらいつでも手伝えるし。」
(ふふっ、ありがとう…ゆーり。でも、大阪におるんやろ?こっち東京なんやで。)
「そんなの関係ないよ、彩さんのお願いなら東京なんて全く遠くない!」
(ほんまに?)
「ん?本当だよ!」
何かあるのかなって思った。
(ほんまにお願いしてもええん?)
「いいよ!僕から言ってるんやから!」
彩さんの役に立てるんやって、なんか嬉しくなってきた。
(じゃあちょっと、引越しの手伝い頼みたいんやけど…荷物の整理とか段ボールに入れるの案外1人や大変やねん。)
「彩さん引っ越すの?」
(うん…)
なんで引っ越すのか…百花さんと本格的に同棲することになったのかな?って、前のあの後…きっと2人は仲直りして前より絆が出来たんやないかなって。
悔しいけど思った…
「分かった!!明日でもすぐに行くよ、そっちに。」
(えっ、良いん?!)
「もちろんだよ、じゃあ明日行くね!何が必要なものあったらメールしといてくれたら良いよ?買って行くからね。」
『ありがとう…ゆーり、ほんまに。』
「ううん!お互い様だよ?じゃあ明日ね。」
『うん!待ってるね。』
事情はまた明日聞けば良いやって思った、だって明日会えるんやもん。
ちゃんと彩さんと会った時に聞きたい。
電話やと、声のトーンと速さでしか分からないから。