はちみつレモン。
□Episode9
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とりあえず一週間だけ検査入院することになり、しばらくは仕事にも行けないや。
「彩さんきたよ」
『ゆーり、仕事は?』
責任を感じてる?のもあるんか、夢莉は入院して3日目も変わらずきてくれた。
「今終わったところ、出張中やからね。そんなに長くは掛からないんだ。」
『いつまでこっちにおるん?』
「今月中はいるかな〜」
『そうなんや。』
「うん、でも…ほんまにごめんね、僕のせいで…」
私が勝手に怒って車の走ってる道路に飛び出して、もちろん急には車は止まらないわけで…
急ブレーキかけてくれたからそこまで飛ばなかったものの、その衝撃でもう起こらないと思ってた心臓発作起こしちゃって…迷惑かけまくりやったのに、夢莉はずっと謝る。
『ふふっ、なんでゆーりが謝るん?私が飛び出したのがあかんねんで。』
「彩さん…」
『でもな、本当は分かってるんやで。』
「え?」
『愛したらあかん人を愛してるのも…やからって私が一番やないのも。』
「………」
『でも、それでも良いって…仕方ないって思うほど好きやねん。もう戻れないんや。
分かってるけど言われたら、ムキになってしまう…』
自分で言っててなんでか涙が出そうになった。
「今日は連絡は?」
『ないよ。』
「そっか…」
夢莉は優しいから、私がちょっと本音を話すと気持ちを理解してくれて責めなかった。
「でも、まぁ…せっかくまた会えたんやから僕にも頼ってよ。電話してくれたらいつでも行くからさ。」
『ありがとう、ゆーり…』
「退院するまでは毎日来るけどね。」
『ふふっ、ありがとう。』
再開した時はどうなることかと思ったけど、あの頃と変わってない優しくて温かい夢莉にちょっと私の肩の力も抜けて話できるようになった気がする…
ーーー
それから一週間経って、彩さんは無事問題なく退院できて心臓も大丈夫やって家に帰ったから僕もとりあえず大阪に帰った。
でも、やっぱりなんか心配というか気になってしまって…
なんかあっても、あの性格やから困っても僕には絶対電話しないと思う。
やからって2人目の子供が産まれたからって、事故にあった彩さんのことも知らない人も頼れないと何故か思った…
「よし行こう。」
彩さんが退院して2週間…
もう一度僕は出張を良いように使って、東京に向かった。
仕事終わり、彼女のお店に顔を出してみよう。
それで、元気やったら僕はやっぱり必要ないって思えると思うし…
「あの、彩さん指名で…」
こんなところに来るのは今日で2回目。
初めてではないけど、落ち着かない場所やなぁ…
(すみません、彩は本日は体調不良でお休みしてまして…)
「あっ、そうだったんですか…じゃあ今日は帰ります。すみません。」
やっぱり僕の勘はなんとなく当たってた…
体調不良が本当かどうかは分からへんけど。
ピンポーン。
「あれ…いないんかな。」
綺麗なマンションの玄関で彩さんの部屋のは番号を押したけど、反応すらない…
やっぱりやめとこうって諦めて帰ろうしたら。
がちゃん。
「いるんや…」
返事はないけど、下のドアが開いた…
それにエレベーターで上がると、部屋の鍵も既に開いてた。
「お邪魔します、彩さん…?」
『ごほっごほっ…ゆーり…』
「彩さん!!風邪引いたの?」
部屋に入ると、奥の部屋で彩さんはベットで寝てた。
『うん…ちょっと、熱が下がらんでな…』
「ほんまや、ちょっと氷とか借りるね。」
彼女のおでこを触るとものすごい熱さで、急いで氷とかで身体を冷やそうとした。
『寒いねん、、、』
「え、あっ…!寒いんだ!ごめん。毛布ある?出してくるよ。」
『あっちの…お仕込みに…入っとる、…ごほごほっ!!』
「分かった、喋らせてごめん…寝てていいからね。」
寒いってことはまだ熱が上がるんや、ずっと一人で辛かったやろうな…
ここに1人できて、借金背負って、百花さんに出会ってからはかなり助けてもらったみたいやけどそれまでかなり大変で辛い思いしたと思う。
やから、もともと人に頼るのが苦手な彩さんはもっとそうなってしまったというか…
彩さん自身が思ってる今の自分のコンプレックスは、僕は仕方ないと思ってる。
そうならずにはいられなかったんやから。
だから彼女のそばにいられる限り、僕は全てを受け止めたいって思ってて…それはあの日の彩さんを止められなかった自分への罪滅ぼしかもしれないけど想いは変わってない。