はちみつレモン。

□Episode7
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カタ…




『もう帰えるん…?』





引っ越したマンションは新しく出来た新築やったけど、足を下ろすと床の音がいつも少しだけ聞こえる。




それで目を覚ますのは百花とそういう関係になった証なのかも…








「うん、仕事やからな。」





そう言って頭を撫でてくれるけど、寂しさでいつも泣きそうになる。











病院から退院した私は2週間ほど仕事をそのまま休んでからまた復帰した。



胸の痛みは消えて、代わりに少し手術の痕が残ってるけど命には変えられへん…








それと、百花はこれだけ私の面倒も見てくれたのに…古いアパートや体にも悪いからってマンションの一室を私のために借りてくれて、今はそこで私は暮らすことになった。






もちろん、結構な頻度で様子を見に来てくれてた百花とは半同棲みたいな感じになって…前より距離はグッと縮んだ。







でも、裸の付き合いもしてるのに知らないこともまだまだ沢山あるんやろうなっててよく思う。





「そんな顔するなって…行きにくいやん、今日は仕事終わったら店に行くからさ?そのままここに一緒に帰ろうや。」





『いっつもこの時間に帰るやん…朝ごはんくらい一緒に食べていけばええのに。』





「ん〜、そうしたいねんけど…ちょっとそれはあかんねん。」





『なんで?』




「秘密や。」




『いっつもそればっかり…』




ちゅっ。





「秘密の多い男の方がモテるねん。」




『あほっ、、』




「あははっ!、じゃあまた夜な?無理するんやないで。」





『うん、ありがとう…気をつけて帰るんやで。』




「おう!」





キスをして終わると、照れた私に笑いながら服を着て百花は帰って行った…





なんやろう。




他に女の人でもおるんかな。





そんな気はなんとなくしてた…





でも、私はやっぱりアホやった。

















その日の夜やった、優子さんと何気ない話をしてて…借金をとりあえずは返済出来てるかは心にも余裕が出来てこういう合間にも話ができるようになった。




本当に百花には頭が上がらない…




「でも、社長って結局ほぼ毎日来てるよね?彩ちゃんのとこに。」





『あ、そうですね?』





私たちの関係は誰にも秘密で、隠してる。





「あの人、やっぱり遊び人なんだろうな〜…」



ちょっとムッとしてしまう。




『そうですかね、案外真面目やないですか?』





「そう?家はあの大手企業の小さい頃から会社でなに不自由なく暮らしてるんだろうし、外見もかっこいいし、性格もフレンドリーだだからね?女の子となんて沢山遊んでると思うよ。実際、大学生?の時からここに通ってるみたいだし。」






『そうなんですね…』




「それに!結婚して奥さんと子供いるんだよ。」





『えっ…嘘ですよね?』






一気に私は頭が真っ白になった。




そんなこと一切聞いてない…





「嘘じゃないよ?20代後半の時に会社のために契約会社のお嬢さんと結婚したんだよ。」






『…………』





「その反応は、やっぱり彩ちゃん…」




『な、なにもないですよ、びっくりしただけです。』





ショックで隠しきれなくて、優子さんにバレそう…





「まぁ、バレなかったら何もないけど…相手が相手なんだからそういう付き合いはやめときなよ。」





『…はい。』





「社長は口が本当に上手いし、女の子に対しての接し方が普通の人より濃いからね。傷つくのは彩ちゃんなんだから取り返しの付かなくなる前にやめときな。」





優子さんは私が否定してもそれも嘘やってすぐに見抜いて、忠告してくれた…




でも、もう…取り返しなんてとっくにつかない。







この話を聞いても、聞かなかったことにしたいくらい…百花を愛してしまってる。







借金も手術費、入院費も出してくれて…




その後もずっと気にかけて長い時間私を1人に絶対にしなかった。






でも、それは優子さんが言ってた通り…



私が沢山いる中の女の子やったから?
百花にとってそうやって優しくするのは普通なんや。





やっぱり奥さんやないから、特別なんてなれへんかったんや…
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