はちみつレモン。
□Episode6
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それから、私はその若社長の木下百花と少しずつ親密になっていってた…
好意は確かに寄せられてて、それを拒否する理由が見つからず夢莉の面影を求めてるけど正反対の人。
それでも良かった、今は愛してくれる人を求めてたんや。
(彩ちゃん、ご指名ですよ。)
『はい、すぐ行きます。』
マネージャーから今日は言われて、案内されたところへすぐに行くと…
「よっ!」
『仕事終わったんやね。』
「今めっちゃ忙しいねんで?知らんやろ?」
『ふふっ、知ってるわけないですよ?』
「あははっ、そうやんな〜」
いっつも明るくて、ぶっきらぼうな話し方やけど何気ない優しさが私にはちょうど良くて…でもお客さんっていう関係やからそこまで深入りはしないようにこれでもしてた。
やけど、そうもいかへん事態が私の身に起きた…
仕事終わり、借りてるアパートまでそこまで遠くはないからいつも歩いて帰ってる…
『はぁっ、はぁっ、…ゔぅっ。』
何故か慣れてるはずのこの距離なのに、途中で胸のあたり…?がものすごく痛くなって2、3回座り込んでしまうようになった。
悪い病気なんやろうか、毎日体に合わない度数の高いお酒に夜遅くまで昼夜逆転した生活をして…身体もそりゃ壊れると思うけど。
今の私には自分に医療費をかけるお金なんてない。
借金を返すので毎日精一杯やから…
『はぁっ…はぁっ…』
そんな苦しんでる時に限って。
(おっ、ちょうど良かったまだここに居たか…)
その声は私が一番聞きたくない声…
(山本さん、まだ今月分払ってもらってないで?それにこのままやと3年なんで無理やで。次の仕事紹介してやるからそっち行くで。)
なんで、こんなに体調が悪い時に来るんやろう…って、仕事終わりに来るって分かってて最近はすぐに家に帰ってたから会わなかった。
バチが当たったんかな…
『はぁっ…はぁっ…もう…ちょっとだけ…待って…ください、、』
立ち上がることすら今日は出来なくて、死ぬんやないかって思うほど苦しいのに…喋らないといけないこの状況は地獄や。
(そらあかんな〜…ほら、土下座とかしてもらわんとな?)
(態度が違うねん!!)
『っ、…!!』
人が苦しんでるのにも気付かへん…こんな人になったら終わりやなって、思いながらしんどくて自然に睨んでた。
(なんやお前、どの身分で睨んでんねん!!)
(そうやで!!ちょっと優しくしてやったからってなめんやないで!!)
もうあかん…私はこのまま死んだ方がええかもって、諦めてた。
やって、身体が仕事の疲れもあってかもう動かへんもん…
「おい、なにしてんねん。」
(誰やお前。)
「ん、彩か?どうした?気分悪いんか?…」
座り込んで胸を抑えながらやっとのことでこの体制も保ってる私に…声をかけてくれたのには木下社長やった。
『はぁっ…はぁっ…あのっ…』
「心臓が痛むんか?顔色もめちゃくちゃ悪いな…こりゃ救急車やな。」
(おい!!なに無視してんねん!!)
「はぁ?うっさいねん、人に名前聞く前に自分が名乗れや!このクズどもが。」
(なんやと?てめぇ。)
すると今度は聞いたことのない声が聞こえてきた。
「木下社長、ここは自分が…」
「そうやな、頼むわ。」
すると、その人は社長をかばうように前に出て何かを渡した。
「このお方は木下グループの若社長でございます。何か文句があるのならこの社長マネージャーの私にどうぞ。」
男の人やのに口調は社長と比べ物にならないくらい丁寧やった。
(木下グループ?!あ、あの?!)
「こういうことをするのはどうかと?」
(この女が借金してんだよ!!)
「宮澤、そいつらに言ったれ…借金はこっちが払うって。」
『…えっ!?そ、そんなのだめです!!ゔぅっ…』
「おい!!大丈夫か?!宮澤、そいつらええから救急車や!!」
「分かりました。」
社長の言葉にびっくりして話したら、さっきより痛みが増して目の前が真っ暗になった。