はちみつレモン。

□Episode5
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(今日からここがお前の職場や、部屋はあの人に鍵を預けてるから返済終わるまでそこで暮らせ。まぁ、終わってからも暮らしたいとかはその後決めや?案外残るやつも多いからな。)





『はい…』






私は父親の借金の肩代わりをすることになり、借金取りに連れてこられた水商売…いわゆるキャバクラで働くことになった。





ここで3年以内に返されへんかったら、もっと酷いところに連れていかれるらしい…









(あなたが彩ちゃんね?これからみんなとがんばってね…)




ここの店主みたいな、よくテレビで見るママという位置の人はすごく優しかった。




(この子は優子ちゃん、あなたの指導係をしてもらうから教えてもらってね。)




『はい、山本彩です…よろしくお願いします。』





「よろしくね、ここであんまり本名は名乗らない方が良いよ?彩で他の人には挨拶するんだよ?」





『はい。』





「まだ若いんでしょ?何歳?」





優子さんは見た目はきつそうに見えたけど、全然優しくて…返ってこの世界の人の方がみんな色々あってきてるから優しんかも。






私はすぐにお店に出て優子さんと接客をした…






「この子、新人の彩ちゃんです!」




『よろしくお願いします…』





(おぉ!!可愛いなぁ、優子ちゃんNo. 1とられるんやないんか?)





優子さんはどうやらここのトップらしく、ドラマで見るのよりこのお店の人たちはみんな穏やかみたい…





「彩ちゃんに取られるんなら全然良いけどね〜、あ!それより彩ちゃんは未成年やからお酒すすめたらだめだよ?」





(は〜い!優子ちゃんに言われるなら我慢するよ〜…)





でも、その時…お客さんは優子さんの胸を触って手を動かしてた。





「ふふっ、もぅ〜」




こんなことされて、嫌やないんかな。





お店が終わった後も、当分の間は優子さんにいろんなことを教えてもらった。






「あとは分からないことある?」





『あの、…』




「ん?」





『お客さんにセクハラとかされても、私たちは何も言えない立場なんですか…?』







「あー、見てたよね。」




『はい…』






「まぁ、嫌な人は嫌っていうかもしれないけどお触り料金もらってるからね。お金には変えられないのよ。」





『そうなんや…』






そう言われると何も言えなくて、私はいつまでこんな所におらなあかんのやろうって…



なんだか気が遠くなった日やった。





自分で親とも縁を切りたくて…こっちを選んだけど、精神的にも体力的にも既に悲鳴をあげてた。


でも、助けを求める方法すら分からないし…
借金は私が働かないと減りすらしない。





もう会えへん夢莉を想ってもダメやし、最初の方は毎日死にたいとまで思ってた…
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