Acting tough
□衝突。
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『ゆーり…ゆーり…?』
「んぅ、彩ちゃん起きたの?」
朝、彩ちゃんが僕を呼ぶ声に目が覚めた。
『うん、あのさ…親御さんは?帰ってきたらあかんくない?』
別に見られて悪いこともなにもしてない、ただ泣いてる彼女の悲しみが少しでも和らいで僕にも分かりたくて抱きしめて眠っただけ。
「大丈夫だよ、僕ね色々とあって親と合わなくてね…一人暮らしなんだ。」
『あ、そうやったんや…』
「うん、だからまだ寝ても大丈夫だよ。」
『そっか、でも目が覚めちゃった。』
「ははっ、確かに…じゃあ寒いから布団に入って色々話しでもしよっか?」
『うん…』
昨日、僕は連絡のつかない彩ちゃんに嫌な予感しかしなくて…家も知らないけど探してたんだ。
本当に最初から最後までなにがあったのか全くやけど…
彼女のことになるとジッとしてられない。
ただの勘違いやと思ったのに、彩ちゃんは手首に血が滲んでる包帯をして…涙でぐちゃくちゃになった顔で僕に気づいた。
その瞬間、あぁ…やっぱりそうなんだって僕は何かとやっぱり彩ちゃんと赤い糸で繋がってるんやと思った…
たぶん、あのままにしてたら死んでたかもって。
お互い、そういう時に引き寄せられてるのかなって…
「あのさ…」
『これやろ?』
「あ、うん…」
僕が気になってたのを分かってて、手首を見せてきた。
包帯を巻いてるけど、かなり血が滲んでるから…古い傷やない。
『リストバンド…するの忘れてたわ。美優紀に手当てしてもらったんやけど、意味なかったな。』
「どこで怪我したの?」
わざと知らんふりして、聞いた。
そしたら彩ちゃんも良い加減に誤魔化すかなって…ストレートに聞くのはちょっと僕も避けた。
『切ったんや…』
「え?」
『自分でカッターでやってん、、』
「な、なんで?痛いでしょ…」
すると、彩ちゃんはボロボロと泣き出して…焦った。
やっぱり聞いたらあかんかったかな。
『痛いけど、胸ほうが痛くて…誤魔化したかったんや、、』
「何かあったの?」
すると、首を振るけどそんなわけないよな。
「僕には話しても大丈夫やから、彩ちゃん…」
『私、母親から暴力受けてて…父親が死んでからもやけど…家にいるのが辛いねん、、その死んだ時思い出してまう。』
ぎゅっ、、、
「彩ちゃん…」
僕の印象では笑顔が素敵な彩ちゃんやったのに、、
泣きながら震えだして、こんなにも何か黒くて物凄く重い物を抱えてるんやって…
すぐに抱きしめた。
『どこにも居場所がなくて…学校にはあると思っててんけど、最近上手く行ってへんねん。』
「そうなの?」
『ちょっと揉めてて、大会近いけど…出られへんかも。』
「えっ…そんな風には見えなかったな。」
僕は菜々さんとしか会ったことないけど、そんな風には見えなかった…
あの怖い人はそれっぽいけどな。