Acting tough

□それぞれの好きな人。
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「やっとお昼休みやぁ…お腹すいた。」




朝寝坊をしてしまった私は何にも食べて来られなくて授業中に何回もお腹が鳴ってしまった…






「菜々のお腹の音聞こえたで。」




「え!聞こえてたん!」




「あははっ!!」


そう言って、笑いながら言うのは私が想いを寄せている岸野里香…





席が隣やから絶対聞こえるねん。




ほんまに、人の気持ちも知らんとからかうように笑うから腹立つ…




でも、里香はどの子に対しても平等で優しいから好きやねん。




「私、お昼はこれからここで食べへんから〜。」




「え、どこで食べるんよ。」



私たちはいつもダンス部で、男子も一緒に机を合わせて毎日お昼を食べてた。




でも、最近揃うことがない。






朱里はお弁当を持ってたぶん百花のところに行ってるらしい…



『ごめん、私もやねん…昼休みはちょっと用事が出来たからこれから教室おらんから。』




すると、彩までが言い出した…



今日は美優紀が休みだ。



なんで休みかは分からんけど、来てたら彩にべったりやのに…最近は昼休みだけ彩はどこか行ってしまって

美優紀が居たから女子1人にならんかったのに。





「えぇ、女子1人になるやんか。」



「菜々ドンマイやな。」




「まぁ、ええやん俺たちがおるんやし。」





この中で、いや…ダンス部男子の部長の福本愛菜は一番優しくて励ますだけでなくそう言ってくれた。






「愛菜は菜々のこと好きやねんで?」




「は?お前何言ってんねん!」




「ほらムキになった。」




確かにいつも冷静な愛菜にしては珍しいな。




「でも、里香は彩が…」





「あーあーあー!!何にも聞こえない〜!!」





そんなことして誤魔化さなくても、里香が彩のことを好きなのは知ってる。


だって、彩は頭も良いし美人やしダンスも上手い。



みんなをまとめる力だけやなくて仲間を思いやる気持ちもやし、誰にでも優しい…




そんな完璧な人、男やったらみんな好きになるよ。




敵うはずなんてないから、別にそれで良いんだ…こうやって普段一緒居られるだけで幸せやから。







「彩はどこに行ってるん?」




「知らんねん、私も…聞いても教えてくれんから。」




「ふーん、そうなんや。」




「好きな人でも出来たんやないん。」





里香の気持ちを知っててこんなことを言うのは、性格悪いって思う…



でも、こうでもしないと里香の気持ちを止められへん。






「まぁ、彩やって女の子やからな?美優紀ばっかりやったら物足りんのちゃう。」





「愛菜もそう思うんやな、俺も思ったわ…美優紀は彩大好きやもんな。」




ほら、嘘ついた。



誰だって本当は好きな人に振り向いてもらいたいもの…




里香が嘘を付くとすぐに分かる。





でも、こんなに里香が想ってても彩は誰を好きなのかも分からない…

終いには最近は何を考えるのか分からない。






そうやって自分が傷つかないように、人は自分の気持ちにきづいてないふりして嘘をつく生き物なんだ…





私やってそうやから。
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