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□綺麗な手。
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僕は大学を卒業してからずっと憧れてたあるファッション雑誌の編集社に就職することができた。




そこの編集長は若いのに、誰よりも仕事出来るし、みんなから信頼されてて…




『太田くん?』




「あ、彩さん!どうしました?」




『どうしましたやないで?この書類誤字ばっかりやん。』



「え、あ…すみません。」


『ちゃんと落ち着いて確認したら完璧なの作れるんやから、慌てんでもええからさ…そこはちゃんとフォローするし一つ一つを丁寧にこなしていくんやで?分かった?』



「はい!!ありがとうございます。」



『うん!ええ返事や、期待してるで。』



ミスをしたら注意をしてくれて、どうしたら良いかとかちゃんと教えてくれるし…フォローもしてくれる。

頑張ろうって思わせてくれる、素敵な上司。



しかも小柄で華奢で見た目も美人やから、もうほんまに完璧な人でみんなから信頼されてる。




そんな彩さんに僕は惹かれていっていた。








彩さんと一緒に仕事をすることが増えていく中でその容姿、性格からまわりの男性社員が彩さんを狙っていることをある日知った…



悪い噂ではいやらしい目で見てる奴もいる奴もいて、上の立場の人がオフィスに呼び出してることもあると…聞いたことがあるくらいの程度やった。




ほんとんど僕は信じてなかったんや。

でも、そんなある日…


彩さんと2人で廊下を歩いていた。





『そうそう、この書類なんやけど…』



そう言って、彩さんが何か思い出したらしく…書類をファイルから出そうとした。




バサバサバサッ…




「あっ…」




書類が全部床に撒けてしまい、僕は慌てて拾い出した。



『ごめん、ありがとうな。』




「大丈夫ですよ?はい…」



その時の彩さんの手を初めてまじまじと見た。



綺麗な手をしてるなって…少し見惚れてると。



(おっ、山本くん!!)



上司が来て彩さんを呼び止めた。


『あっ、はい…?夢莉は先に行ってて。』



長くなりそうやと思ったのか、僕に気を遣って彩さんはそう言ったけど…何故か足が進まなかったんだ。


その人は彩さんに近づくとの 肩に手を回し、その手はどんどん下に下がっていき、腰やお尻をさりげなく撫でていた。





『ちょっと…、、、』





彩さんは必死に逃げようとしているが男の力に敵わなかった。



(まぁまぁ、これくらいええやろ?)



力強くで、見えないように彩さんを抑えてる…


僕はついイライラしてしまい、なにげなく間に入った。



「なにしてるんですか?」




(なんや君は…)



「彩さん、ちょっとこの書類分からないところがあるんで来てもらっても良いですか?」




『う、うん…』







上司はしかたなく彩さんから離れた。


『ありがとう…』


彩さんは俯いたままお礼を言ってくる。


「もしかして、…いつもされるんですか?」




僕は思い切って聞いたけど。



『ううん、ちゃうで…』


それに対しては否定をする彩さんだったけど…別の日のこと。









僕は仕事が終わって帰ろうと、ビルを出たけど、…






「あかん、家出も確認したいのに…」





忘れ物に気づいてオフィスに戻った。





そしたら、誰もいないはずの会議室に電気がついていた。





消し忘れだと思ち近寄ると、…



かしゃんっ。

ブラインドが乱れるのと同時に手が見えた。




「あの手は…」



すぐに手だと彩さんの綺麗な手やと気づいた。





「彩さんや。」



なんか嫌な予感がしてすぐに会議室の扉を開けようとする…


でも鍵がかかっていた。




『やめて!!いやぁっ…』


中から抵抗する彩さんの叫び声が聞こえて余計に焦り…



がしゃんっ!!


なんとかノブを壊し、中に入ることが出来たけど。





この前の上司が彩さんをデスクの上に押し倒していて、…両手はそれぞれはだけた胸元とズボンのチャックをおろしアソコを直接触っていた。









その光景に僕は怒りが込み上げた…



「なにやってね!!彩さんを離せっ!!…」





ぼこんっ!!



力のままに上司を殴ってしまい、止まらなくなってしまった…



『夢莉…』



ぼこんっ!!ぼこんっ!!





「ぐぅはあっ…!!や、めろ…」




「この野郎!!」




『夢莉っ!!、、もうやめて…』


我を失って殴ってた僕を彩さんしがみついて止めてきた。


「はぁっ、はぁっ…彩さん。」



殴るのをやめてが彩さんを見ると、恐怖から小刻みに震えていた。


「もう大丈夫ですよ、…僕がいるから。」

ぎゅっ、、、



胸元を隠し自分の上着を彩さんにかけて抱きした。




『夢莉…』


すると安心したのか彩さんは眠ってしまった。





それから結局上司は逮捕され、彩さんは今まで通り仕事をしていた。














そして、変わったのは…







「さ、彩さん、好きです!!
僕とお付き合いしてもらえませんか…?」




『ふふっ、顔が怖いで?夢莉。』




「え、あ…すみません。」




『よろしくお願います。』




「良いんですか?!」




『うん、あの時…守ってくれへんかったらどうなってたか、、、それに夢莉が私も好きや。』




「彩さん!!」




ぎゅっ、、、




『ちょっ、…夢莉?』




「愛してます…!、、」





『ふふっ、ありがとう…私もやで?』


僕は嬉しくなって、彩さんを思わず抱きしめた…



あの日は反対の感情で。




そして、変わったのはあれから一気に僕たちの距離は近付き…



告白をし、僕たちは恋人同士になったことぐらいかな?










本当に、幸せです…




「あ、あの…彩さん?」




『ん?どしたん。』



「手…繋いでも良いですか?」




緊張しながら僕は言った…




『うん!!いいよ?』




「あ、ありがとうございます!!」




『大袈裟やなぁ〜?』





ぎゅっ、、、






『ふふっ、夢莉…?』




「はい!!彩さん。」





『緊張しすぎや、表情が固いで。』




「あははっ、つい…」




『ほんまにもう〜。』




そう言いながら、僕たちは手を繋いで歩いた。





いつか夢を見てた、好きな人と手を繋いで歩くこと…



この綺麗な手と手を繋いで歩けるなんてあの日は思ってもなかった。






これからも、よろしくお願います…彩さん。


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