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□秘密のふたり
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『先生っ…』



「お、彩やん。どしたん?」



私が呼ぶと笑顔で廊下で振り返る先生。





その男の人やのに、くしゃっとなる笑顔が可愛いくて…やけど背が高く見上げないと顔が見えない。



時に意地悪そうな笑顔をするけど、
あなたのその仕草全てが私を虜にする。











『なぁ、私のこと…』




「なに?俺のことが好きやって?」



『は…だ、誰もそんなこと言ってへんやん。』




「顔にかいてるで。」






『////っ、…』


その言葉だけで、爆発するくらい顔が熱くなり…先生のことが好きなんやってモヤモヤする。




先生も私を可愛がってくれてるから、もしかしてって…勘違いしてしまう。




なんて自意識過剰なんやろう。




「可愛いなっ、お前は…」



ぽんぽんっ。



『からかわんで…』



上から頭を撫でられ、嬉しくもありつつ…恥ずかしくて祓ってしまった。




「ほんまに、素直やないねんから。」




先生の名前は木下百花。


若くて教師になって5年目らしい…




2年連続私の担任や。








私は好きやなのに。




好きになったらあかんって分かってるのに…




先生が好きでたまらない。











授業中…






「よし、今日はバトミントンするで!」





(えぇ〜!!バスケやなかったん!!)




「うるさい、俺がしたいねん!ほら準備しろ。」




先生は体育の担当で女子を見てる。



やからか、余計に女の子の人気がすごくて…






「おい、彩!」




『なんやねん。』




「ほら、ラケット持てや。」


『嫌やもん。』




私はみんなにバトミントンの相手をして欲しいって…


やっぱりモテモテの木下先生に嫉妬してた。




私なんか眼中にないねん。



やのに個別で声を掛けるのは、担任としてやから…


「ええからはよ!」



『なんで私にそんな言ってくんねん!!』




とうとう私は我慢の限界。


人の気持ち知ってるのに、バカにしすぎ…





(彩どしたん?なんで怒ってるん?)




友達の朱里が気にかけて優しく言ってくれた。



私の大きな声にみんな静まり返り…




恥ずかしくて、泣きそうになるから体育館を出た。





「え、ちょっとどこ行くねん!!」



(あーあ、女の子泣かした〜。)



「う、うるさいわ…ちょっと行ってくるからバトミントンしとけよ。」
















どこまで走っても、気分が晴れなくて…もう学校から出てどっかに行こうかとまで考えてた。




みんなの前で泣いちゃった…し、先生の前でも。





あーあっ、最悪やな…











「彩っ!!」




すると、後ろから声が聞こえた。




まさか追いかけてくるとは…







『なんでくんねん、あほっ…』




、、!!ぎゅっ。




『ちょっ、…』




後ろを向いてたら、勢いよく正面にむかされて抱きしめられた。






「なに泣いてんねん、…心配するやろうが。」




『せんせいっ…』




「悪かったな、ちょっと意地悪しすぎたか?」



『うん…』




「ごめんごめん。」



そう言って、泣いてる私をまだ抱きしめながら頭を撫でる。




『なんで?』



「え?」




『こんなことしたら、余計に好きなんが治らへんよ…』




先生はやっぱり私の気持ちを知ってる。












「治らんでええやん。」



『なんでよ、こっちが困るんや…』




「じゃあ、付き合ったら困らんやろ?」




『えっ…』




なにを言ってるんか分からん。





「俺も彩好きやで。」



『合さんでええから…』



「合わせてなんかないで?お前と他とはでは扱いも違ったやろ。」




『…あかんやん、先生がそんなことしたら。』




考えてみると、確かにそんな感じな場面はあったけど…

照れ隠しで可愛くないことを言ってしまう。





「変に真面目に戻るんやない。
なぁ、付き合ってくれへんか?…」





まさかの告白にまた、意地悪の一つやないんかなって不安になる。



『ほんまに言ってるん…?』




「そうやで、周りには秘密にせなあかんけどな…で、どないやねん。」



『付き合う…』




「よっしゃ!!彩よろしくな。」



『……』




優しく笑いかけるこの笑顔をこれから独り占め出来るかなって思うと、嬉しさが溢れる…


「秘密守れるよな?」




『うん…』



「よし、ええ子や…」




ちゅっ、、





「ふふっ。戻るで、みんな心配してるからな?」



『っ、…うん。』









不意打ちで、キスをされて…慣れてない私は固まった。




でも、それを笑いながら頭を撫で行く先生に解かれた…






「ほら、行くで。」




ぎゅっ、、、




私の手を強く握って、先生走ってくれた。




『うんっ!』





先生となら、私はどんだけ幸せになれんやろうか…
想像もつかないくらい嬉しかった記念日になった。


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