さやゆーりの毎日。

□かわいいね。
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『ゆーりたん…ゆーりたん…』



つんつん。





「ん?」




『ゆーり…』





ソファーに座って私は雑誌を読んでた。


もちろん、彩さんの隣。
さっきまでギター弾いたり携帯を触ったり好きなことをしてたのに、飽きたのか膝に頭を乗せてお腹のあたりをつんつんして甘えてくる。




このゆーりたんって言うのは甘えたい時に彩さんが呼んでくる…




『たいくつ。』




「そっか。」




でも、私は今…雑誌が見たくてあまり相手をしなかった。





『もぅ、なぁ…』



「ん?」




『雑誌やめて。』




すると…




「ごほごほっ…」



喉がなんだか痛くて、咳が出た。



もしかして風邪かなぁ、嫌だな…





『大丈夫?』



「うん、大丈夫。」



『熱は?』




そう言って、さっきの甘えモードから切り替えて彩さんは体起こし私の額を触る。




甘えん坊はどこ行ったの?って思うくらい、お姉さんみたいになった…



『熱くない?』




「ないよ。」



『いや、あかん!今日は私がご飯作るからな?』



「あ、うん…分かった。」




いつも私が作ってるけど、ちょっと風邪っぽいから彩さんが作ってくれることになった。





有り難いけど、大丈夫かなぁ…

















『いったぁぁっ!!』



「大丈夫?ごほっごほっ…」




『切ってもうた…』




だんだんと咳が止まらなくなるけど、彩さんが心配でそれどころやなくてすぐに見に行った。




「見せて…」



『痛い、、』



「結構、切ったね。」




包丁で指を少し切ってしまい、深くて痛いのか泣きべそをかいてた。




「大丈夫だよ、すぐ治るからね。」



『うん…』




絆創膏と消毒を持ってきて、手当をしてあげた…








「げほっ、げほっ…」




『大丈夫なん?』



「うん。」




でも、やっぱり熱が上がっていてるのか…寒気も少しする。




『いや、あかんな…寝た方がいいよ。』



手当てが終わると彩さんは私を置いて寝室へ行った。


どうやら、準備してくれてるらしい…



優しいなぁ。










「げほっ、げほっ…あぁ、だめや寒い。」




だんだんとしんどくなってきて、ソファーに寝転んだ。










『ゆーり…?大丈夫?』



「んぅ、だ…じょぶ、、」



『熱上がってるやんか、ほらもうちょっと頑張って…』




彩さんは私より小さな体で一生懸命に支えながら、重さに時々ふらつきながら寝室に連れてきて寝かせてくれた。





ピピピッ…






『38.5度もあるやん…しんどかったやろ、お粥使ってあげるな?』



優しく、なんかお母さんみたいに頭を撫でてくれる…



彩さんって、こういう所あるんやったな。



年上やからか、母性が強いというか…
反対に赤ちゃんみたいな時も多いけど、こういう時はお母さんみたい。




「ええよ…」



『なんで?いっつもゆーりやっていうやろ、ご飯食べんと熱下がらんよーって。』



「火傷するから、ごほっごほっ…」




『そんなんせんよ!もし、してもええもん。』


「だめ…私の大事な彩さんやもん。」




『ゆーり…』




作ったらダメと言われ、火傷するからと言われてちょっとムキになって怒ったけど…ちゃんと言葉にすると伝わったみたい。





ぎゅっ、、、




『ほんまにっ…ゆーりは…』




「ふふっ、苦しいよ。」



『大好きや。』



「私も…」




涙目になったと思ったら、力一杯抱きしめられた。




『でも、作る。』



「えっ…」



『やって、私の時も作ってくれたのに作りたいねん!』




そう言って、彩さんは寝室を出て行ってしまった。




はぁ、やっぱりいつもの彩さんやな。



私の前ではそのまま居てくれたらいっか…




でも、私のために怪我はして欲しくないな。
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