さやゆーりの毎日。
□想うこと
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ぴろんっ。
“今日はなにが食べたい?”
あと少しで仕事が終わる時間帯に、彼女からのLINEが来た。
今日も夜ご飯は夢莉が作ってくれるみたい…
特に食べたい物がないというわけでもないけど、なんでもいいよーって返す。
たぶん、聞いてきた本人からすると答えになってないと思うけど…
それでいいんだ。
家に帰ったら夢莉がいる。
それだけで私は強くなれる気がするから。
『ただいま〜。』
「おかえりなさい、お疲れやね。」
帰ると、いつもの穏やかな笑顔で迎えてくれた。
「ご飯出来てるよ。」
『ふふっ、楽しみや〜。』
ご飯なんかなんでも良いって言ったら、誤解を招くかもしれない…
でもね、私は帰ったら夢莉が居てくれるっていう幸せだけで生きていけるんや。
同じ部屋に居られるっていう喜びを噛み締めてるから…
だから、夜ご飯はなんでも良いよって小さな事やけど…欲張らないでいないと神様が怒って君と離されるんじゃないかって思ったから。
小さなことでも敏感になる。
だって、君のことやから…
離れたくない。
『美味しいな。』
「ほんと?お肉固くない?」
夢莉が作るものは本当になんでも美味しくて、きっと君がここに居てまた愛が入ってるから…余計にそう感じる。
『うん、全然固くない。』
「彩ちゃん?」
『ん?』
「どうしたん。」
ただ美味しいねって、言いながら食べるだけやのに…
夢莉は私の顔を見て不思議そうにした。
『なにが?』
「なんかあったん?」
『なんもないよ。』
もしかして、考えてることが少しばれたかも。
なんでもないふりしてるけど、夢莉はすごく人の変化に気付くから…
ちょっと落ち込んでたり、話しながらよそ事を考えたりしてるとすぐに見抜く。
「なんかあったら、すぐに言うんだよ?分かった?」
『ふふっ、分かったよ…ありがとう。』
そう言うと、何も言わずに頭を撫でてくれる…
特になんもないけど、これだけで泣きそうになる。君の私に対する触れ方誰よりもが優しすぎるから。
『これはなに?インスタで見たん?』
「そうそう、彩ちゃん和食好きやもんな。」
『うん、好きやな…夢莉が。』
「えっ…ちょ、そんな…えっ。」
そんなに動揺しなくてもええのに。
いつも言ってるやん。
たぶんそんな話ししてないって言おうとしたんやろう。
でも、そのまま言うと私が傷付くからなんて言い直そうか考えてこうなってる。
器用に見えて、不器用やからな…
そんなところも好きやな。