きみに、一輪の愛を…

□Episode11
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それから、休憩時間も何回も話しかけに行った。



でも、私が来るのに気づくと夢莉は教室から出て行く…




『あっ、ゆーちゃん…』



「どしたん?彩。」



『えっ、いや…』




「夢莉くんと喧嘩でもした?」



『してないはずやねんけど…』




山田も私たちを見て何が感じたのか、そう言われて考えたけど朝は普通やったよな…




「でもなんか夢莉くん彩を避けてない?」



『やろ!…って、やっぱり山田もそう思う?』




「うん…なんかしたん?」



『分からへん、全然覚えないし。』



「んー、まぁ同じ家なんやから帰っても聞いてみたら?今は特にあかんのかもな?機嫌が悪いとか」



『そうやな、時間空けて聞いてみる…』




こんなこと本当に初めてで産まれてからも一度なかったから、すごい悲しかった…



私のこと嫌いになっちゃったんかな。






それから帰り。





(あれ?夢莉は?)



あれから私もなんか話しかけるのが怖くなって、話しかけないで居たら車にも来なかった。



『分からん。』



(教室は?おらんかったん。)



『たぶん。』




(もぅ、喧嘩?ちょっと電話してみるわ。)



お母さんは呆れながら携帯を出して電話をしてた。





(夢莉、本屋さんに寄るから先に帰っておいていいみたい。ほんまに早く言ったらええのに。)




それでその日はお母さんと2人で帰った。



こんなこと今までなかったから、なんだか慣れなくて変な感じ…


帰ってからも宿題さえやる気出なくて、ずっと自分の部屋のベットに寝転んでた。




がちゃん。




『あ、ゆーちゃん…』




「……教科書、部屋に戻すから。」




帰って来てたみたいで、部屋に来てくれたから機嫌が治ってるもんやと思ったのに…



全然違った。




胸がズキズキする。




『なんでよ。』



「だってここはさやの部屋やろ?自分の物は自分の部屋に置いとくもんやん。」




『なにをそんなに怒ってるん?私なんかした?』





ちゃんと話を聞きたくて、ベットから起きた。



「別になんもしてないんやない?」


『なにそれ、ムカつく。』



「ムカつくって、さや悪いんやんか!!」



つい本音が口から溢れると、夢莉もそれに対して怒鳴ってきた。



穏やかにいこうって、思ってたのとは正反対に行ってしまったけど…こうでもしないと夢莉は言わない。





『なにが悪いことやねん?』



「俺がおるのに、男子と楽しそうにペラペラ話してそんな元気なら体育したらええやんか!!」




『そんなことで…?そんなことでこんな感じ悪いことしてたん?ほんまにくだらんやん。』



「くだらん?なんやねん、ほんまに最低や。」



『最低なのはどっちや!!学校でも避けて家でもそんなことで教科書持ってくとか…幼稚にもほどがあるねん!!』



「はあ?じゃあさやは俺がそういう風にしてても平気やねんな?!」



『話しくらい誰でもするやろ?ゆーりくらいやでそんなんで怒るの。ほんまにあほやないん!!くだらんし!!』





本当はくだらないとか幼稚とか…言うつもりやなかった、でも夢莉に人生で初めて怒鳴られてこっちもカッとなってた。



嫉妬してたんやって。



夢莉があそこにいることをもっと考えてたら良かった話しやしね…




がちゃんっ。



(こらこら、なに大声だしてんねん。)




すると、下からお母さんが上がってきて部屋に入ってきた。




『別に、ゆーりがくだらんことで怒ってるだけや。』




「なんやねんほんまに…」




(珍しいな?あんたらが喧嘩するなんて。とりあえず落ち着きなさいよ?)


「別に喧嘩なんかしてへんわ!!」



がちゃん!!




(どうしたんよ…)




夢莉はお母さんが来たら余計に怒って、部屋を出て行った。




私はもうどうしたら良いか分からへんし…



これ以上なにもしないで良いや。










次の日…




『あれ、ゆーりは?』



(日直なんやってさ。)



『そっか。』



(なにで喧嘩したん?珍しいな。)



朝起きても私に会わないようにするためやろう、もう家を出てた。



そんな私あかんことしたかな…



『別に、喧嘩なんかも分からへんし…本当に些細なことやから。』



(こんな様子やったら、2人暮らしの話もなしやな?母さんはそれで安心や。)



『うん…』


(彩も食べたら準備して、学校行くで。)



『うん…分かった。』 



なんか元気でなくて、気にしないようになんか出来ないし…朝ごはんは結局喉を通らなかった。
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