きみに、一輪の愛を…

□Episode10
2ページ/3ページ




その約束が頑張る糧になってきていた。




その1ヶ月後に俺はテストで学年10位まで辿り着いて、彩はまた退院する事が決まった…



お互いの頑張りを見て、切磋琢磨してこの結果やと思う。



でも、学年一位の彩にはまだまだ俺は敵わない。




薬のことで治療が困難って言われてたのに、そのリスクを背負って彩はもしかしたらその強い薬で死ぬかもしれないのに…俺が頑張ってるからって治療を乗り越えた。




どんだけすごいねん、やっぱり敵わないや…





『ゆーちゃん、この間のところ分かった?』




「んー、分かった!でも、あともう一問が難しくてとにかくひたすら繰り返してやってる。」



『そっかそっか、退院したら毎日勉強見てあげるからね。』



「え〜、勉強やなくて…デートしよう?」



『もう何を言ってるん。』




彩は治療の成果は出てるけど、完治とかやなくて…まだまだ分からない。



通院になると、今回は入院中には強い薬で意識障害とかは起こさなかったけど…家に帰ったら何かあってもすぐに処置出来ないから、学校行きだして疲労とかが重なってもっと大変なことが出てきそうな気もするしちょっと怖さがある。




『あ、ゆーちゃん私が帰ったら心配つきひんって思ってるやろ?』




「思ってないよ〜」



『絶対おもってる。』




「そりゃ!心配するよ?さやのことが一番大事なんやから。なんならさやさえいればこの世界なんにもいらないもん、俺は。」



『ゆーちゃん…』




「だから、デートしよう?」




『ふふっ、もう!デートしたいだけやん、まぁ良いけど。』



「やった!勉強また頑張れるや。」





でも、今でも何かあるたびに乗り越えてきたやからきっと大丈夫だ。



今は前向きになれてる。



彩と切磋琢磨して頑張ったからその分自信もついたし!





『ゆーちゃんなんか明るくなったね。』



「そう?前は暗かった?」



『うーん、暗いというかなんというか…学校関係は特にだるそうやったのに。』



「目標があるからね〜頑張れる。それに、さやのことだし。」



『ふふっ、そっか?なんか嬉しい。』




彩はそうやって嬉しそうにしてて、僕も嬉しかった。




愛する人のためならなんだってやれるってこういうことなんや…


ーーー







その日から1週間後に家に帰ることができた。




『やっと帰れた、なんか長かったな…』



「暇やったら時間長く感じるもんな。」



『そうやねん、いっつも寝込んでるわけやないし元気な時はほんまに暇やった。』


自分の部屋のベットに座ると、本当に家に居られる帰れる場所があるって幸せなことなんやって病気をきっかけに痛感した。



そう思うと、辛い思いしたのも無駄やないんや…





『学校は明日から行く。』




「もう?」



『うん!早く行って私も授業受けたいもん。』




当たり前やったことが、今はどれだけ幸せかっていうのを本当に思い知る。



家に帰れたんやから、早く普通の生活に戻したかった。





「でも、あんまり無理したらあかんやろ…」



『無理してないよ、全然。』




「そっか、ならええけど…」




そう言って夢莉はそっと部屋を出て行った。



多分これ以上言うと私が怒ると思って、距離を置いたんや。




もうほんまに…











ーーー





それで、本当に彩は次の日から学校に行く。




正直なところ心配や…学校って、案外疲れるし今は元気やけどまた無理して体調崩すんやないかなって…










「彩〜!!」




『あ、山田!!おはよう!』



送り迎えは母さんがしてくれるみたいで、それならまだ疲れやすくはないかな。




「今日から学校やったん!?てか、いつ退院したんよ〜、教えてよ〜」




『え?ゆーりから聞いてへん?携帯の充電器壊れたから病院で充電できひんくなって、電源入らへんからもうゆーりから山田に伝えてもらった方が早いからって言ったのに。』





やっば、忘れてた…


2人がギロリとこっちを見てる気がする。



2人に少し遅れて下駄箱で靴履いてたけど、走って教室行こうかな。





「え〜!ちょっと夢莉くんしっかりしてよぉ。」




「ご、ごめん…勉強に集中しすぎて忘れてた。」




「まぁ、確かに学校いてもずっとなんかの勉強してるから仕方ないか。」




良かった…山田さんはやっぱり優しい。





『今ホッとしてるやろ?』




「し、してへんよ?」



『ふふっ、もう…まぁええや。』




「そうやって!嬉しくてびっくりして泣きそうになったけど、朝からテンション上がった!」




山田さんは本当に涙ぐんでて、良い友達に恵まれたな…




『ありがとう、山田。』




2人は少しだけ抱き合って、喜びを噛み締めてた。



僕にはこんな友達はいないから、かなら羨ましいや…
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ