きみに、一輪の愛を…

□Episode9
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「さや、学校に来れてないからテストうけれてないやん?」




『うん。』






「そしたら、そいつ…太田の姉の方がおらんから俺が一位取れるって、もう帰ってこんでええのにって。めちゃくちゃ腹立ってさ。
俺がいるのにそんなこと言って許さへんって思ったんや…」




『ふふっ…』




「さや?、」



『なんでそんな当たり前のことで、誇らしげにできるんやろうな?そんなんで勝ったと思ってるから、普段一位取れへんねん…ふふっ。』





彩は悲しむどころか、笑ってた…



あほやないんって。




いや、あほかって。





「嫌やないん?そんなこといわれて。」




『全然、やって私がおったら完敗宣言やん…そんなに私のこと意識してくれてるんやなぁって。』





「そっか、さやは頭が良いからそんなやつ相手にもならへんもんな。テスト受けたら。」




『うん、やからゆーりは気にせんでええんやで?何言われても無視しといてええから。私は大丈夫。』





「分かった、これからはそうするように気をつけるよ。」



確かに人を殴るのはいくら腹がたってもいけないこと、彩のことになると何も見えなくなるから…気をつけないと彩も母さんやって傷つける。



大人にならないと…





『でも、ありがとう…ゆーちゃんがそんなに怒ってくれて本当は嬉しかったよ。ほんまに優しいんやから…』





「いや、俺はほんまになんか…腹立ってさ、さやはそうなりたくてなってるんやないのにって。なんか、でも照れた…あははっ」




彩にありがとうって言われると、嬉しくて照れたけど…でもなんか切ない。






『あははっ、ゆーちゃんこういうのに弱いもんな〜』





「いや、本当にさや以外褒めてくれへんしなぁ。」





そうやって、笑い合ってたら…





『げほっ、げほっ、、』





「さや?大丈夫?」




急に彩が咳き込み始めてしまった。



 




『げほっ、げほっ…ちょっ、と、喋り…すぎ…た…げほっ、かも…げほっ!、げほっ!!』





「だ、大丈夫?話さんでええから…」





無理矢理に話そうとするから、余計に咳が止まらない。



『げほっ!!げほっ!、、、』




しばらく様子見ながら、背中をさすってた…このまま治らなかったら早くボタン押して誰か呼ばないと。






そう思ってたら…




『げほっ…げほ…はぁ…はぁ…もう、…げほっ!!げほっ、、はぁ、大丈夫。』





「ほんまに?でも、ちょっと安静にしたほうがいい。」




本当に落ち着いて、ちょっと息は荒いけどゆっくりと横にした。





『はぁ…ありがとう、びっくりしたやろ?ゆーちゃんも。』





「当たり前やん…」





『時々あるねん、でも大丈夫やでもう。』



「その時は誰かいてくれた?」




『看護師さんが来てくれてん、咳き込んでるの外に聞こえたらしくて…』



「そっか…良かった。」




『ごめんな?』




「ううん、でもちょっと寝た方が良いと思うからさ俺帰るよ。」




面会終了まで、まだ少しあるけど…彩に僕のこと心配させたからそれで身体にこたえてるんかなってかなり反省する。




だから、今日は少し早く帰って彩を休ませてあげようって思った。






『もう帰るん?…』





「また明日来るよ、学校終わってからやからいつもより短いけど。」




『ふふっ、お母さんにバレたな。』




「うん、先生にちくられた…」




『ちくられたって…ふふっ、でも私は大丈夫やからちゃんと学校終わってからで良いからね。』





「分かってる、もう仮病使えへんからどうへ抜け出せへんもん。」



『ほんまに、悪い子やなあ?』




「それほど、さやが好きなんだよ。じゃあまた明日!おやすみ〜!」




『ゆーり…おやすみ。』




自分で言っておいて、恥ずかしくなって誤魔化して彩の手を握って病室を出た。





今日はとにかく一日中かなり怒られた日だったな…




咳き込んだことは、とりあえずナースステーションに寄って看護師さんに伝えておいた。



その方がいつもより気にかけてくれると思ったから。
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