きみに、一輪の愛を…
□Episode8
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それから、彩の治療は本格的に始まったけど…
治療し始めて2週間、大変なことが起こり始めた。
その日は、僕は学校に行ってて昼休み…
「あれ、やっぱり返ってきてないな…寝てるんかなぁ。暇やなぁ。」
お昼に彩からメールが返ってきてなくて、治療中やから副作用でやっぱり身体がしんどいみたいで寝てることが多いから。
携帯見れてないんかなって。
返事来てたから電話しようって思ってたけど、今日はやめたほうがええかな…
体調悪いのに無理させるのもダメやし、帰りに病院に行くから良いか。
「ふぁあ〜…あかん、寝そうや。」
今寝たら教室戻れなさそうやなって、思ったから教室で寝ようと思い戻ることにした。
それで、廊下を歩いてたら…
「夢莉くん!!おった!!」
「ん?山田さん?どうしたん。」
「さっき、学校にお母さんから電話あったみたいで彩が急変して大変みたいやから!!早く早退してって!お父さん迎えにくるって!」
「えっ…」
「先生も探してるから早く教室に行って荷物取りに行きや!!」
「わ、わかった!、、」
山田さんはそれを伝えに先生と一緒に僕を探してくれてたみたいやった…
でも、あまりのことに頭が真っ白になってお礼を言えなかった。
「夢莉くん、落ち着いたらでええから私にも彩のこと電話して!」
「あ、うん!!分かった!じゃあ。」
「気をつけてな!!」
学校を出ると、父さんが既に校門に居てすぐに病院に向かった…
『はぁっ…はぁっ…』
「彩っ、、!!」
(すみません、ちょっとお母さん出ててください…ね。)
病室に着いて中に入ると、苦しそうに息をしながら酸素マスクをしている彩がいた…
母さんはパニックになって大泣きしてて、父さんがそばに行って支えながら廊下に出た。
「彩…どうしたん…なぁ、母さん。」
母さんは、話せる感じゃなかったけど僕もそれに配慮なんかできる余裕がなかった。
父さんが答えてくれて…
「治療の薬が彩に合わんかったらしくてな…彩には強すぎるみたいで、今度は重い意識障害を起こしてるみたいや。でな、その薬は彩の病気を治すのに1番必要なやつで…もう治療できないかもって。」
「なんやねん、それ…。」
その日から彩は集中治療室で意識が戻らないまま2週間が過ぎた…
峠は越えたと言われて、その後は普通病棟の個室にまた戻った。
でも、その普通病棟に戻るまでの記憶が僕の中で無くて…彩がこうなってしまってるのを今になって受け止め始めたのか。
『ん…』
「さや?!」
今日は学校を途中で抜けて、病室に来てた。
母さんが居たら怒られるけど今日は居なかったから…
『ゆー…ちゃん…』
「わかる?俺の顔見える?」
『うん…』
手を握って顔を見つめてたら、目を覚まして…慌てて先生を呼んだ。
それで、父さんも母さんもすぐに来て…
少しホッとしたように泣いてた。
でも、本人はなんでそうなってるのか分からないみたいで不思議そうに最初はしてたけど。
『心配かけて、ごめんなさい…』
謝ってた。
本当にでもその通り過ぎて、僕は何も言えなくて…ただすぐに彩のことを気づいたら抱きしめて泣いてた。
ぎゅっ。
『ゆーり…も、ごめんね。ありがとう。』
そう言って、僕の頭を彩は撫でてくれた。