きみに、一輪の愛を…

□Episode8
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ガラガラ…



「あ、彩おきてたん?」





そしたら、お母さんが今度は入ってきた…


多分やけど夢莉と一緒に来てこの時間差なら担当医から何か聞いてたのかも。







『お母さん、私の検査結果どうやった?』




「…ん?まだ出てないんやで。」




『嘘や、2週間経ってるんやで?それにこれもう治療やろ…?』




「嘘なんかやないよ、ほらまだ寝とかんと熱が出るよ。」




『隠さんで!!』




「さや…」




私の病気やのに、なんで何にも知らないまま治療受けなあかんのんやって…無性に腹が立って初めてお母さんに怒った。






想ってくれる気持ちは分からないこともないけど…私の気持ちも考えた欲しい。









「………」





『私が何にも知らんって思ってるん?この薬やって抗がん剤やろ、前ので覚えてんねんから。』





「…彩がショックを受けると思って、言うのはもう少し先にしようってお父さんと言っててん。夢莉に言ったら彩に伝わるのも分かったから言わんかった。」






『ショックはどっちにしろ受けるねん…』






そう彩に言われた母さんは、全てを彩に伝えた…





言わないでいた理由が分かるほどのことで、彩は話が終わった後と黙ってた。







受け入れるのに時間がかかるやろう。
















「彩が混乱するかもしれんって思ったから、その前に治療始めた方が良いやろうって。」





病気がまた再発して、頭の方にも転移が見られて…また治療をするということだった。



でも、手術の話しは今のところなくてなんとか治療で治せたらってことみたい…






『そっか…』





「うん、やから今も頑張ってるけど…まだ頑張ろうな?みんなで。」





「俺もおるし、さやなら大丈夫や。」




『………』





「それじゃ、ちょっと書類を家から持ってこないとあかんから…書かないとあかんねん。お母さん少し帰るからまた来れたら来る。」





「俺はまだおるよ、帰りはバスでも歩いてでも帰る。」




「分かった、面会時間過ぎんようにな?」




「うん。」





母さんそのまま帰って行った。








「さや?…大丈夫?」





『ん、…?なにが?』





「いや、さっきの…」




『大丈夫やないかもな、ゆーちゃん、、』




ずっと黙ってると思ってて、心配で声をかけ直すと…やっぱり泣き出した。





「まだどうにかなるとか、決まったわけやない…治療出来るんやから大丈夫。」




『分からんもん、もうなんも分からんくなった、、、』





「さや…」




『あんだけ頑張ってても、また出来てしかも増えてるんやで?…どうしろって。』






「じゃあ、やめるか?」






『えっ…』






「さやが嫌なら、やめても良い…生きて欲しいけど無理強い出来るような治療やない。苦しいのも辛いのも見てたから安易に俺は言わないってか…言えない。」





『ゆーちゃん、、、』





「俺はでも、やっぱりさやと居たい…でも無理強いはしないってこと…」



自分の気持ちはちゃんと伝えときたい…でも、生きて欲しいからこうやって少し強調してしまうんやろうな。




『ゆーちゃん、治療はするよ…出来るだけは、でもゆーちゃんは私がおらんでも生きていけるようにしておいてね。心配でたまらんから。』





「するんなら、そんな諦めたようなこと言うなや…頑張るんやからさ信じよう?」




僕の言葉に彩は、あの辛くて苦しい治療をまたすると言ってくれた…でもなんか諦めてる。




頑張るんやからさ、命かけて…僕は彩を信じるし彩にも自分を信じて希望を持って治療して欲しい。




やないと、治るものも治らなくなりそう…




『うん、分かった…ごめんね。』




「いや、謝らんでもええやん…」




『ふふっ、ありがとう。なんかちょっとやる気出たよ…』






ぎゅっ。





「一緒におるから、なんも変わってやれんけど…さやが辛かったら俺も一緒に泣くから。」





『泣かんでよ…ゆーちゃんは笑ってて?で、ゆーちゃん泣いたら私が笑うからね。』




「うん、分かった…」





僕は泣くのを精一杯我慢してる彩を抱きしめた。




自分も今にも泣きそうやったから、誤魔化すために…
なに言ってもやっぱり辛いのはお互いに変わらなかったのが事実やった。
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