きみに、一輪の愛を…

□Episode4
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手術当日。




(はい、じゃあ特に問題はないので手術できますよ。)





『はい…』





昨日の夜は寝られなかった。



手術なんて産まれて初めてで、目を覚まさなかったらどうしようっていう不安が大きかった。




そうやなくても、病気になってからはそんな日が多いのに…





夢莉を残してまだ死ねない。




私が死にたくない理由は一番はそれ…




愛してくれてるっいうのが、すごく伝わってくる夢莉やからストレートにいつも言ってくれるし私やって愛してる。



まだ夢莉と一緒に居たい…それも本音。





もし、無理ならせめてまだ夢莉が一人で生きれる環境を作らないとって思う。




一番誰よりも愛してるからこそ、私が居なくなっても幸せに暮らしてほしい…






「さや…?大丈夫?」





『あ、うん。』





(じゃあ、10時から始まるから看護師さんの指示通りにしてくれたら問題ないからね。)





『はい、よろしくお願いします。』





それで、色んな準備をしてもらって私はずっとベットで寝てるだけやけどドキドキしてた。





夢莉は学校を休んで来てくれたみたい…





あっという間に時間が来て、手術室に入る。













「さや、待ってるからね。」




『うん、行ってくる。』




「終わって、落ち着いたらケーキ食べよう。」





『うん、、、』




「大丈夫だよ?泣かないよ。」




夢莉の顔を見てからずっと泣くのを我慢してたけど、手を握ったら泣いてしまった。




『ゆーちゃん、、、』




「すぐ終わるよ、大丈夫。目を瞑って開けたら終わってる。」




『うん、、ありがとう。』




「待ってるからね。」



『行ってきます、ゆーちゃん。』




「いってらっしゃい、さや…」





夢莉は絶対涙を流さないで、笑顔だった。


やから、私も最後は泣き止んで笑顔で行くことが出来た。




ーーー




彩が手術室に入って、6時間が経った…



そんなに長くはかからないはずやのに、行く前に泣くし後ろ髪が引かれまくった。




あと少しでつられて泣きそうやったから危ない。





でも、彩なら大丈夫やっていうのに嘘はない…少し時間がかかってるのはどうにもならないで途中でやめられてない証拠。




かしゃん。






「終わった…」





(手術は成功しましたよ、彩さんよく頑張りました。)





先生からのその言葉を聞いてほっとしたら、母さんも父さんも隣で泣いてたけどやっぱり僕は泣かなかった。








それから3日くらい集中治療室に入って、普通病棟に戻った。






その後の少しだけしないといけない治療は通院で良くなって、内視鏡の手術で傷口の治りも早いから2週間後に退院が決まった。



でも、リハビリとか体力的な事とかまだまだ大変なことばかりだ…



「良かった、退院できる。」




『うん、ゆーちゃんとのデート楽しみ。』




「どこ行こうかなあ。」




『うーん、ゆーりとやったらどこでも。』




「それ、俺も言おうとしてたのに。」





言おうと思ったら、彩に先越されてだから任せるって言えなくなったや…




彩に行きたいところ決めてもらって、どう周るかとかは僕が決めようと思ってたのに。




『それか、家帰ってゆっくり決めてもいい?』





「良いよ、そうしよっか?」



『うん!ありがとう、楽しみやな…』






彩はそう言いながら嬉しそうに、色んな行きたいところを呟いてて早くその日が来ないかなって…彩が入院してから初めてかもしれないくらい気分が明るくなった。
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