きみに、一輪の愛を…
□Episode3
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母さんが買い物に行ってる間に部屋の中を探した…
「あった。」
病院の名前が書いた大きな封筒みたいなのがあって、すぐに中を見ると入院手続きの資料みたい。
封筒の下の方に住所があって、そこにすぐに向かった…
「あのすみません…」
ナースステーションで、部屋を聞いてすぐに行った。
ガラガラ…
「さや…?」
『ん、…ゆーり?』
「さや…」
ぎゅっ、、、
『ゆーり、、なんで来たん?、、お母さん…教えてくれへんかったやろ?』
「教えてもらえなかったから、母さんたちの部屋探って封筒の書類に書いてた住所見て来た。」
病室に入ってすぐに目があってお互いを確認すると僕たちは思わず抱き合った。
彩は心細かったのか、その瞬間泣き始めた…
その体はなんだか前より痩せ細ってて余計に心配になる。
『そうやったん、、や、、』
「ほら、そんなに泣かないで…もっと早くこの方法知ればよかった。」
『ゆーちゃん、、でもな…』
少しだけ離れて、涙をボロボロ流して話す彩の涙を拭いながら…改めて彩に会えた喜びを噛み締めてた。
「ん?」
『お母さんにゆーりにお見舞いこさせんでって言ったの私やねん、、』
それはまぁ、びっくりした。
彩も少なからず会いたいって思ってくれてるやろうって信じてたから。
「なんでそんなこと言った?…」
全然それを聞いて怒ったり負の感情が湧いたりはしなかったけど、なるべく優しく理由だけは聞きたかった。
『怒ってない…?、、』
「怒ってないよ。」
『ゆーちゃんにこれ以上心配かけたくなかった…それにショックも受けて欲しくなったから、次退院できるまで何も伝えないつもりやった、、無理矢理なのは分かっててんけど。』
「なんで?俺はさやの家族だよ?…むしろ誰よりも一緒にいて誰よりもさやのこと愛してるのに…だめなの?」
反対にこれに悔しくてちょっと怒りそうになった。
お互いに1番秘密が出来たら打ち明けてきた…なにをするにも一緒やったし、まぁでもそれは年齢を重ねるごとに無理なこともあったけど。
それでも、彩にとっても僕が一番やと思ってたから…
『知ってるよ…でも、やからこそやねん。ゆーりが一番大切やから。』
「……分かんないよ、そんなの。」
『ゆーり…が辛い思いとか、泣いてるところとか見たくないもん、、、』
「なんで泣くの?」
『私…治るか分からんねん、、長い入院生活になると思うし、いろんな姿見せることになると思う…ゆーちゃんが私を愛してるの知ってるから辛いと思うからやねんで。』
「難しい病気なの?」
『うん…ずっと体調悪かったやろ?腫瘍がいっぱいあるみたい…悪性の。』
「……………」
僕は頭が真っ白になった、やから…彩は…
『ほら、そうなるやん…その顔見るの辛いねん、、、』
彩は僕の顔を見て、泣き始めた…
「あっ、ごめん…大丈夫だよ彩なら…」
『彩なんていつも言わんやん、、、』
「あ、つい…びっくりして、でも、治るって思わないと治るもんも治らないって言うやん。」
『…………』
「この僕がさやと会わないなんて耐えられるはずないって思わなかったん?絶対いずれこうやって知ってたんやって…だから大丈夫!」
『ゆーり、、』
「彩はこれからしんどい思いする…でも、毎日ちゃんと来るから絶対治るよ。」
ぎゅっ、
『ゆーちゃんっ、、、』
「だいじょーぶっ!!さやには僕がいる。大丈夫だから…」
僕に抱きしめられて、彩はしばらく泣いてた…
それも辛いし彩がなによりしんどい思いをするのをこれから見ると思うと…胸が痛くて代わりたいって思うほど苦しかった。
でも、何があっても僕は彩のこと本当に愛してるから…