きみに、一輪の愛を…

□Episode3
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それから連絡はなくて、母さんが帰ってきたのは次の日の朝だった。




がちゃん。





「母さん、さやは?」




その日は学校は休んで家にいた。




「うん…彩は、しばらく入院するからこれから荷物持って行くことになった。」





「なんかの病院?」




「それはまだ分からへん…」




「こんなに時間かかってるのに?」





「……ほら、あんたは昨日寝てへんやろ?明日は学校いかなあかんのやから少し寝なさい。」






母さんは何かを誤魔化すように言う…





「俺も彩の病院いく。」





「あかん。」





「なんでだよ!!じゃあ病院の名前教えて、1人で行く…」





「あんたは行ったらあかん。」




「やからなんでだよ…!!」




「夢莉!!良い加減にしなさい、お前は2階上がってなさい。」






母さんが病院も教えてくれないのにイラついてたら、今度は父さんが怒鳴って2階にあがらせられた。



「くっそぉ…なんでだよ…」




彩の様子を見てると、なんかたいへんな病気になってるんかもしれないって母さんから聞かなくても察してる。




でも、なんで僕にだけ教えてくれないんだよ…




そのもどかしさと彩と会えない日々にストレスが溜まって行くばかりやった。








「なぁ、夢莉くん彩はいつになったら退院できるん?」




それから1週間経ったくらいに、教室で彩が仲良い山田さんに聞かれた。



こっちが聞きたいよ。






「俺も分からないんだよ…」





「え?双子なのに?あんなに仲良いのに?」




そりゃびっくりするよな。






「親が教えてくれない。」




「そっか…でも、病院知ろうと思ったら知れるよね。」




「どうやって?」




「親のカバンの中見て、入院書類とか何かしら病院の名前が書いてるのであるのが一つはあるはずやで?ってこんなこと言ったら私が怒られるから言わんでよ?」




「分かった、でも見てみよう。」




「私も心配してるからさ、もし病院分かったら教えてくれる?お見舞い行きたい。」




「うん、分かったよ。ありがとう山田さん。」


山田さんに聞いたことを、帰ってすぐ家で実践した。
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