きみに、一輪の愛を…
□Episode2
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昨日のこともあるから、彩のことはいつもよりも注意して遠くから見てた。
でも、特にいつもと変わりなしで反対にあんなに食べないでこんなに元気とか体強いんやないかって思ってきた…
「夢莉?なに見てるん。」
「ん、別に…」
すると、同じクラスでよく僕に話しかけてくる吉田朱里がきた。
「分かった、また彩のことみてたん?」
「違うよ。」
「兄弟での恋愛はしたらあかんねんで?」
「うるさいよ、関係ないだろ。」
「っ、…なによ心配してあげてるのに。」
「心配して欲しいなんか言ってないよ、ほっといて。」
朱里はいつも僕こうやって言ってくる、だからなにって話しで彩が兄妹やから双子やから違う人を好きになります。なんて、本当に好きやないやん…
他の人で良かったらそれは1ミリたりとも、その人のことを好きやない証拠。
彼氏や彼女がいないと生きていけないような、別れる前に新しい恋人を作って保険をかけるように次の相手を作るような自分がない人間にだけにはなりたくない。
なんだか恋人とか好きな人の意味を間違えてると思うんだ…
家族で双子でも、僕は彩を愛してるんだ。
それだけのこと。
それから5限目だった。
昼ごはんのあとはそうでなくても眠いのに、なんとなく生温い教室に窓の風が入ってきてそれが当たるとめちゃくちゃ気持ちよくてほぼ寝てた。
『先生、すみません…ちょっと気分悪いので保健室に行ってもいいですか。』
でも、この声に一瞬で目が覚める。
(大丈夫?誰かについて行ってもらう?)
『大丈夫です、そんな遠くないんで…』
(うん、じゃあ保健室に電話しておくからね。)
『ありがとうございます…』
彩はさっきまで元気やったのに、顔を真っ青にして保健室に行った。
歩いてるのもなんかフラフラしてるように見える…
「先生、僕がついていきます。」
(あ、そう?双子やし彩さんも気遣わなくて良いかもね、じゃあついて行ってあげて。)
「はい。」
教室からもう出てた彩をすぐに、追いかけた。
「さやっ!」
『ゆーり…なんで?』
「先生に言って心配やからついて行かせてもらうことにしたんだ。」
『大丈夫やって言ったのに…』
「顔色めちゃくちゃ悪いし、なんかふらついてるし…そんな風にはまったく見えないんやけど。」
僕からしたら、1人で行かせるのに驚いた。
だからって、友達がついて行くとも言わないし…彩のこと、みんな心配してないんかな。
『大丈夫、たぶんちょっと熱があるねん…』
「熱?」
そっとおでこを触ってみた。
「ほんまや、めっちゃ熱い…」
『でも大丈夫やで、寝たら治るやろ…』
「おんぶしようか?」
『ありがとう大丈夫やで、保健室まで歩けるから。』
そう言うから、保健室まで黙ってついて行った。
先生に事情を話すと彩はすぐにベットに寝させてもらえた…
(一応熱測っておこうか。)
さっきまでは真っ青な顔してたのに、ベットに寝るとどんどん顔が赤くなってる気がして…すく寝たみたいやけど彩もなんだかしんどそうに見えた。
ピピピッ…
(あぁ、39.5度もあるねぇ…朝からしんどかったんやないの?よく頑張ったね。)
「いや、朝はちょっと起きるのが遅いだけで元気やったんやけど…」
(じゃあ、昼から熱が急激に上がったのかもね?とりあえず早退して病院行かんとあかんから担任の先生に相談して電話かけるから太田くんここにちょっと居てくれる?)
「分かりました。」
(ちょっとだけ、よろしくね。)
先生が出て行った後、彩をずっとみてた。
『んぅ…はぁっ、はぁっ、、』
「大丈夫?また熱上がった?」
『分からへん…ゆーちゃん…?』
「ん?」
『教室…戻ってええんよ、授業遅れちゃう。』
彩は熱が高すぎて息も荒くなって話すのも辛いのに、僕ことを心配してる。
普段話す声よりかなり小さい声やし…
でもいつもそう、僕が彩を心配してたら彩も僕を心配してる…こういう時はそういうの無しにして欲しいな。
「大丈夫だよ、後で誰かにノート見せてもらうし。」
『ゆーちゃん…そんな友達おったんや…』
酷いこと言ってるよなぁ、って思ったけどその後すぐに寝たからなにも言わなかった。
ガラガラ…
(お母さんこれから迎えに来てくれるみたいやから、太田くんありがとう教室帰って良いよ。)
「俺も一緒に帰ったらだめですか?もう5限目やし…」
(心配なのは分かるけど、まだ授業もあるし彩さんのことはお母さんに任せて良いと思うよ?)
「わかりました…」
先生にそう言われたらきっと母さんも同じこと言いそうやなって思い、荷物は後で僕が持って帰ることになり教室に戻って授業を受けた。