はちみつレモン。
□Episode4
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それからは平和な日が続いてて、一学期二学期が終わり…彩さんの卒業が近づいてきてる寂しさを刻一刻と感じてた。
ある日の夜やった…
プルルルル…プルルルル…
時間は夜中の1時くらい、少しうとうとしながら彩さんに教えてもらったところを復習してた。
「ん、…寝てた?あれ電話や。」
半分寝ぼけてたけど、携帯に彩さんの名前が出て一気に目が覚めた。
どしたんやろ…
いつもメールばっかりで電話なんて滅多にしないのにな。
「もしもし…?彩さん?」
『…っ、、ゆーり』
「どうしたの?泣いてる?」
『会いたい…』
出ると彩さんの声は震えてて、どう考えても泣いてた。
「どこに行こうか…?」
『学校近くの…公園、、』
「分かった、すぐ行くよ。」
僕はすぐに家を出て、公園に向かった。
「彩さん!!」
公園にいた彩さんを見つけて、呼んだけど彼女は振り向かない…
近くに行ってもう一回名前を呼んだら。
「彩さん…?」
ぎゅっ!!
『ゆーりっ、、!!』
すぐに抱きついてきて、顔を見る暇なく勢いで抱きしめた。
「どうしたの?なんかあった…?」
『ぐすっ、、…』
泣いててないも言わないから、僕はそっと彩さんを少しだけ離して顔を見た。
口角あたりが切れて血が出てて、頬も少し腫れてる…これって。
「どうしたの、この傷…殴られたの?」
『っ、、、…』
「もしかして、お父さん?」
すると彼女はまた涙を流したから、そうなんやって分かった。
「なんでっ…彩さんにいくらお礼を言ってもいいはずやのに殴るなんてありえない。」
『子供は…子供は黙って勉強しとればええんやって!言うねんで…お母さんに怒鳴り散らしてるのに私が口を出したら、そう言って殴ってん!!…お母さんも…お父さんにそんな口聞くのはおかしいって…』
「えっ…!!」
彼女は常に母親を守ろうとして自分の体を犠牲にして頑張ってたのに、そんなこと言われたら何も言えないやんか。
『もういやや、、…』
「彩さん…」
しばらく彼女を抱きしめて、これからどうするか話しをしようと思ってたんやけど…
『ありがとう、もう大丈夫や…』
そう言って彼女から離れた。
「僕の家くる?」
『ううん、こんな遅くに行ったら家族に迷惑やん…そうやなくてもゆーりに迷惑かけてるのに。』
「迷惑なんかやないよ、呼んでくれてよかった。」
『ゆーり、、、ありがとう…』
彼女また泣き出したから、僕は抱きしめようとした。
『ううん、でも…もう大丈夫、泣いたらスッキリしたし帰るよちゃんと。』
「彩さん…」
『ありがとう、ゆーり…帰ったらすぐ寝てね。おやすみ。』
「うん、おやすみ。」
結局どうしてあげることも出来ず、また帰ってくる彼女の背中を見てた。
男なのに本当に情けない…
彼女は僕が守るって誓ったのに。