はちみつレモン。
□Episode3
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ガラガラ…
「彩さん、大丈夫…?」
病室を受付で教えてもらって彩さんの病室に来た。
『あれ…なんで…?』
「先生から聞いてん、あんたが何も言わんで欠席するのおかしいなって思って。」
『そうやったん…ごめん…』
ベットに寝てる彩さんはまだぐったりとしてて、いつもの元気なんて全くなかった。
「大丈夫?熱が出たん?」
由依さんはここまで一緒に来て、彩さんとは反対にちょっとクールで淡々としてる人なんかと思ってた。
でも、こうやって彩さんに対して心配そうに具合いを聞きながら手を握ってあげてる姿は本当に優しくて大切に思ってるんやなって感じる。
『ちょっとだけ、肺炎起こしてるみたいやねん…点滴して休んだら良くなるみたい。』
「そうなんや、授業のことは大丈夫やからちゃんと治してから学校来るんやで。」
『うん…』
彩さんはその時、由依さんから目を逸らした…
きっと家のこと言ってへんのや。
「じゃ、ここにゼリーとか置いとくから食べられるようになったら食べるんやで。」
『ありがとう、由依…』
「私は外で待っとるから。」
「あ、はい。」
由依さんは僕たちに気遣って病室を出てくれたみたい。
この何気ない優しさ…
彩さんが由依さんと親友な理由が分かるな。
なんでこんなことになってるのかも、由依さんはきっとわざと聞かないんやろうな。
『ゆーりも、ごめんな…』
「ううん、僕はほんまに…心配するだけで何にも出来ない。ごめんね。」
『ふふっ、さっきの由依を見たやろ?』
「え?」
『大切な人はそばに居て見守ってくれてるだけで私は安心するねん…なんかしようとか思わんでええんよ。』
「彩さん…」
『大丈夫や、家のことはなんとかなるから。』
「うん…」
ぎゅっ。
やっぱり自分が無力すぎて嫌になるし、由依さんみたいに何気なくっていうのが僕には出来なくて…
もっと大人になって彩さんを全てから守って包み込んであげられる男になりたいって彼女を抱きしめて痛感した。