はちみつレモン。

□Episode3
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私は自分が思ってたよりも全然早く受験が終わったから、その後は夢莉との時間を大切にしたい。



二つ年が離れてるから、最低でも夢莉が大学入るまで2年あるし…その間あまり時間があわないかもしれないから。


それだけやった…







でも、思うようには人生いかへんくて。











今でも毎日一緒に帰る放課後の時間が唯一の2人の時間やのに…夢莉やって私と少しでも長く同じ時間を過ごす未来のために大学に向けて、まだ一年生やのに頑張り始めてくれた。




やから、それを手伝いたいのに…








(彩、お父さんの会社が倒産して…)





『えっ…?!』






(お父さんも行方が分からんで、借金…たくさんしてたみたいやねん…だから、あんたもアルバイトしてちょっと協力して欲しいんや。)




『うん…分かったよ、出来ることはする。』





(ごめんな、苦労かけて…)



















そんな何が起こるか分からない日々で、私の夢莉との時間はさらに奪われた…







なんでこんなことが起こるんやろうって、わけが分からなかった。




大学は奨学金も借りてバイトもして、行く予定やけど…







「彩さん、今日もバイトなの?」





『うん…あのな、ゆーり。』




「ん?何かあったの?」





『私の家、ちょっと今大変で…金銭面でな。バイト頑張らないと暮らしていけへんかもやねん。』




「そ、そうだったの…ごめん!!何も気づいてあげられなくて。」




ぎゅぅ。



夢莉には最初は黙ってたけど、やっぱり夢莉のことは大切にしたくて…本当のことを言った。




抱きしめてくれた夢莉の温もりに、涙が溢れたけどなんだか眠たくなった…







「さ、彩さん…!?」







毎日、学校には内緒で夜遅くまで近くのコンビニでバイトをさせてもらってた…その後も夜中の2時まで整備の仕事させてもらって。



朝は新聞配達をして。





そんな暮らしをしてたから、寝る暇も食欲だってなくなってたんや。






ーーー
















「彩さん…大丈夫?」









本当のことを話してくれて泣き出しそうな彩さんを力いっぱい抱きしめたら、そのまま動かなくて…焦ったら、ものすごい熱を出してた。






『ゆーり…』






それにここ1ヶ月で急に会えなくなって、勉強も見てくれるって言ってたのにおかしいなって思ってたんだ。




そうしたら、急に会いにきてくれての…今日やった。






見ないうちに抱きしめた彼女は前よりも痩せてて、目の下には隈ができて…キラキラした目の輝きさえなかった。







こんなに苦しい思いしてたやなんて、なんでもっと問い詰めなかったんやろうって後悔した。

こんなんやったら、すれ違いの前に振られてしまう…ちゃんと彼女のことを見なきゃって反省した…





『ごめんっ、、、こんなことになってしもうて…』






よっぽど辛かったんやろうに、目を開けて僕を見ると謝って泣き出した…













僕が初めて見た、彼女の弱々しい姿やった。






「なに謝ってるん…なんにも悪くないやんか、彩さんはめちゃくちゃ頑張ってたんやんか。ごめん、気づかなくて。」







泣いてる彼女をまた抱きしめて僕は泣いたけど、何をしてあげられるのか…全く思いつかない。





お金貸してあげるって言っても、足しになるほどは持ってないしな…






『ふふっ、ゆーりこそ謝らんで?…私の家の事情なんやから。』





「でも、無理しすぎなんだよ。」




『無理しないと明日は暮らしていけるか分からんねん…お父さんの会社が倒産して借金して逃げたんや。』




「そうやったんや…」





『だから、お母さんは体が弱いからあまり無理させられへんねん。』





「じゃあ僕も一緒にバイトして彩さんを助ける!2人分あったらちょっとは楽になるでしょ?」





とにかく僕は彼女のためを思って提案した。





『何言ってるん…そんなのあかんよ。』




「でも!」




『でもやない、ゆーりは大学目指すって言ってたやん…まぁでもゆーりのために使うってことでバイトするなら自由やと思う。でも、私のためにはあかん。』




「僕は良いんだって!彩さんが無理してる方が辛いし見てられない。」




『だめや。絶対だめ!!受け取らんからな。』




彼女のために言ったことやのに、断固拒否されてしまって僕は無性に悲しかった…
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