Acting tough

□それぞれの好きな人。
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『ゆーりっ!』




「あ、彩ちゃん。」





あの日から私たちは屋上に待ち合わせして、このお昼の時間だけ二人で過ごしてる。




最初はもしかしたら、同情の気持ちが少しでもなかったって
言ったら嘘になるかもしれない…



でも、いつの日かこの時間が私にとって唯一気の許せる大切なものになってた。









『ふふっ、口いっぱいついてるで。』




「え?ほんと?」




『うん、赤ちゃんみたいやん。』




そう言って、ハンカチを出して拭いてあげてると…



目が合って止まってしまった。












なんかこの気持ち…初めてかも。










「彩ちゃん…?」





『なんか、ドキドキすんねん…ゆーりと目が合うと。』




私は恥ずかしくなって、口を拭いてあげてから少し俯いた…



「こっち向いて?」




『ゆーり…』





そう言われて、顔あげた…



ちょっと夢莉に近づいて、拭いてあげてたからやっぱり顔が近い。








「良い?」




『えっ…』





「キス…してもいいかな。」






すると、聞いたのに…返事をする前に唇が重なった。









ちゅっ、、、








「ごめん、…」





ほんの一瞬のことやったのに、時間が止まったかのような瞬間やった…





『ううん…余計ドキドキしてる。ふふっ。』




なんだか、ちょっと嬉しくて…


おもわず笑った。







「良かった、怒ってなくて…僕さ思ったらすぐに行動に移しちゃうんだ。」




『以外に積極的なんやな。』






「ううん、彩ちゃんに出会ってからだよ。好きやから…」




『ゆーりっ…』





その言葉に驚きつつも、なんて返したらええか分からんかった。





それに、私の中で他に気になることがあって…

無責任に自分の気持ちを伝えるのもまた夢莉を苦しめることになるかもしれないから。





「ははっ、なんかごめんね?変な雰囲気になっちゃった…」





『ううん、私こそごめんな。』




「あ、彩ちゃんお昼ご飯は?いつも食べてきてるの?」





夢莉が気を遣って話題を変えてくれた。





『私、お昼は食べないねん。』




「えっ、そうなの?」



『うん。』





夢莉はもともと大きな目を見開いて驚いてた。




「え〜、お腹空いちゃうよ!」




『ふふっ、そんなに?全然空かへんよ。』






「でも、身体に悪いよ…僕のパン半分食べる?」




夢莉のパンを半分くれると言い始めた、ほんまに優しいねんな…





『ううん、ありがとう…大丈夫や。ゆーりの食べてるの見るの好きやねん。』





「んー、そうなんだぁ…」





『ほら、溢れてるで?』




「あ、ほんまや…」




パンがボロボロと落ちてて、服に結構落ちてた。





ぱんっぱんっ…





『ふふっ、しっかりしてや?ゆーりっ。』





「へへっ、ごめんね。」





そう言いながら、私は服に落ちてるのを払ってあげ…



2人で笑いながらその時間を過ごした…
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