Acting tough

□きみと手を繋いだ日。
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2ヶ月前…





「それじゃあね、夢莉…」




「そんなっ、、、」











僕は人生で初めて好きになった1つ年上の彼女に振られた。




彼女と過ごした日々はとてつもなく幸せで、ずっと一緒に居たいって思ってた…











でも、彼女が原因で学校ではある人たちに目をつけられていた。










ぼこんっ!!





「ゔぅっ、、、」





(お前、度胸あるよな?人の女と付き合ってて。)














そう、彼女は二股してたんだ…




僕だけしか彼女を見てなかった。




しかも学校で一番悪いと言われてる3年の彼女だったみたいで、それを知られて別れを告げたみたいやった。







(紗英は俺の女や、近づかんやないで?)





どさっ、、、









“彼はおらんくなったら困るんや、紗英の全てやから…”



じゃあ僕は?




好きやなかったの?



遊びやったん?





それに、一方的に僕が彼女につきまとってたと…言われてボコボコにされた。













なんにも抵抗出来ひんかった…



彼女も好きやって言ってくれたんや!



紗英は僕の彼女なんや!




って、男なら立ち向かうべきやのに…




そんなことが出来ないまま、学校帰りにボコボコにされた日を思い出すのに嫌気がさしたんだ。






この傷は癒えないから…



やから、僕は命を断とうと決めた…



こんなに弱いのに男として生まれた、人間として生まれたことを憎む。










屋上の風が大好きで、毎日ここには来てた…



やから、ここから飛び降りて鳥になったと勘違いして死ねるなら悔いは残らへんやろ?









そう思いながら、屋上のフェンスを越えて淵に立つ…









次生まれ変わったら、鳥になりたいな…



なれるかな?




そう思いながら、風に乗れるようにって考えて少し強くなったら…行こうか。















少しずつまた、風の波の来始めた…






そろそろ行くかな。









体を前のめりにしながら風に乗ろうとしてると…







『ここの風、気持ちいいよな?』




「えっ…」




だれも居ないと思ってたのに、声に目を開けると隣に見知らぬ女子生徒がいた。








『あなたも好きなん?ここ。』




「あ、まぁ…」





『私だけやと思ってたわ、ここ好きなん…知ってる人おったんやね。』




彼女はそう言って笑いかける。




見たことのないくらい、眩しい笑顔…





今の僕には目が眩む。


そして、自然に飛び降りるのをやめた。




「風に乗れるような気がして…」





『分かるで、それ。でもあんまり前のめりになってると…そのまま落ちちゃうで?』




「そうですね…」




『落ちても、鳥にはなれへんのやから気をつけんとな。』





この人は気づいてないふりをしてるけど、僕が死のうとしてたの…分かってたんかな。







「はい…」





『あなた名前は?』




「1年の太田夢莉です…」




『私は3年の山本彩や、ダンス部の部長してんねん。今度見に来てや、ゆーり。』





なんやろう、初めて会ったはずなのに…彼女に名前を呼ばれると心が落ち着いてきた気がする。





『私のことはなんて呼ぶ?』




「え?あっ…」





話しについていけなくて、戸惑った。



やって僕は死のうとしてたんやから…






『んー、じゃあ彩ちゃんでええよ。』




「え、でも先輩やし…」




『ええんやって、そうや…ゆーりが良かったらこれからお昼休みここに待ち合わせして話さへん?』





「あ、えっと…良いですよ。」




『じゃあ決まりな?毎日来るんやで。でも、集合するのはあっちや…フェンスの向こう。ゆーりが鳥になれるって勘違いせんように。』






そう言って、彼女はニコッとまた微笑んだ。




『ゆーり、これからよろしくな?私の話し相手やで。』





ぎゅっ、、、





彼女は何かを訴えてるのか、手を繋いできてぎゅっといきなり握った。












『死んでも、なんも解決せんで。』












そう、呟いた…












『ここでゆーりと会うのを楽しみにこれからするんやから、ちゃんと約束守ってな?じゃあ授業始まるから!』






「あっ、待って…」





僕は颯爽と走ってく彼女を呼んだけど、小さかったのか…彼女には聞こえてなかった。










でも、なぜかそのおかげで死なずに済んだ。











あのぎゅっと繋いだ手が忘れられへんくて…







彩ちゃんが言った、約束を守りたい…それから僕はここに通うようになったんや。
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