小説
□空から愛が降ってくる。続
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ガラガラ…
「彩さん…」
『あ、ゆーりや。』
病室に戻ると、彩さんは起きててさっきよりちょっと元気で…
私を見ると笑顔なった。
その顔を見ると苦しくなる…
「ごめんね、遅くなって…」
『ううん、着替えて取りに行ってくれてたんやろ?ありがとう。』
「うん…」
『どうしたん?ゆーり…なんか元気ないな。』
「えっ、そんなことないよ。」
そう言われて、慌てて表情を意識した。
彩さんにそんな気を遣わせたらあかん…
『大丈夫?ごめんね、私のせいで疲れてるんやな…』
「そんな、私はなんともないよ!!」
私は必死で否定した。
『…ゆーり、なんかおかしいで?
私のことで先生からなんか言われたん?』
全てを隠すことは出来ひんし、手術をしないといけないことを伝えないと…
ちゃんと言えるやろうか。
「あのね、彩さん…」
『ん?』
「彩さん、胃潰瘍が酷くなってるみたいで…吐血もそのせいらしくて手術が必要やねん。あと、その後も治療があるんやけどな…」
『胃潰瘍なんや。』
なんとか、胃潰瘍で信じてくれたかな…
癌になってるってことは、絶対に言えへんし、手術を受けへんかったらの余命宣告も伝えられへん。
だって、生きる希望なくさかもしれないから。
「うん、やから手術…頑張ってくれる?」
『分かったよ、頑張る…ゆーり迷惑かけてごめんな?離れたかったらいつでも…ええから。』
彩さん少し泣きそうになりながら、言ってきた…
そんな顔せんでよ、泣いてしまう。
「そんなことあるわけないやろ、…私にも彩さんしかおらんのやから。」
『ゆーり、ごめん…泣かんで…?』
私は我慢できずに、泣き出してしまった…ほんまに情けない。
彩さんが私の手を優しく握ってくれる。
「お願いやから、生きて…彩さん、、、お願い。」
『ゆーり…?どしたんよ、大丈夫やから…死なへんから泣かんで?』
「うぅ、ぐすっ…」
『やっぱり、なんかあったん?…私そんなに悪いん?』
ぎゅっ、、、
「違う…よ、、」
『ならなんで…そんなに泣くねん、ゆーり…』
彩さんは、最初は泣き出した私に驚いてたけど私につられてか…
泣いて、体を起こして抱きしめてくれた。
「彩さん…色々怖かってん、、」
『そうか、そうやったんや…ごめんな。』
「ぐすっ、ヒックヒック…」
なんにも悪くないのに、彩さんは“ごめんね”って何度も謝る。
やけど、…それに反応する余裕すら今の私にはなかった。
優しく包み込んでくれる彩さんの温もりに、やっと少し落ち着いてきてて…
しばらくはそのまま抱きしめてもらって、私は彩さんを感じてた。
ずっとこのまま、彩さんをどうか奪わないで…お願い。