小説
□空から愛が降ってくる。続
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彩side
今日は夢莉がまた泊まってくれた。
泣き疲れたのか、今は私の腰辺りに伏せて寝てる…
帰ってゆっくり休んで、と行ったけどそれは嫌だとはっきりと断られた。
夢莉の反応を見てると、ほんまに胃潰瘍なんかな?って思うけど今の私には夢莉を問い詰めることなんて出来ない…
「んぅ、彩さん…」
それに、私は泣いたらダメだって思ってる。だってこれ以上、夢莉を悲しませたくないから。
彼女の涙は見たくない…
「起きてたんや…んぅー!目が重い。」
『ふふっ、おはよう。めっちゃ腫れてるで?』
「えっ、ほんと?鏡で見てこうようかなぁ…」
昨日はたくさん泣いたから、ほんまに腫れぼったい目で笑ってしまった。
まぁ、私のせいでこうなったんやけどな…
『ごめんな。』
「ははっ、なんで彩さんが謝るん〜?なんもしてへんやん。」
夢莉はそうやって、明るく振る舞う…
空元気な感じにどうしても見えてしまうんや。
『そうかな…』
「そうやって、ほらもうすぐ朝食来る時間やないん」
『あ、ほんまやな…でもいま絶食やねん。』
相変わらず入院してから食欲が全くなくて、食べれてなかったけど…胃潰瘍が分かり手術も決まったから絶食になった。
点滴で痛み止めをしてくれてるけど、あまり効いてへんくて…
正直ちょうど良かった。
「あ、そうやったね…」
『うん。』
なんだか、私の手術が決まってから…溝ができたように話しに沈黙が出来るようになってしまった。
夢莉を悲しませたくないから、苦しんなら別れて欲しい。
ただそう思ってしまう。
それから、3日経ち…明日手術をすることになった。
やから…モヤモヤを消してやりたいって思う。
この後、治療に専念できるように。
ガラガラ…
「彩さん、やっほ〜。」
『あ、ゆーり…』
夢莉は仕事終わりに疲れてるのに来てくれる。
「とうとう明日手術やね。」
『うん、そうやねん…ドキドキや。』
「大丈夫やって、彩さんなら。」
『ありがとう、でもなゆーり…』
「ん?」
私は区切りやと思って話すことにした。
『別れよう。』
「え?」
『私たち、別れた方が…良いと思うねん。』
自分から言い出した事なのに、泣きそうになる…
泣かない泣かない、絶対にだめ。
「なに言ってるの?彩さん…」
『そのまんまやで…』
あかん、もう我慢できずに俯いて泣いてしまった。
「なんで?なんでそうなるの?私悪いことした?泣かないでよ…彩さん。」
夢莉は私を問い詰めてくる。
「悪いことしたなら言ってよ!!彩さん…それか嫌なところがあるなら直すから。」
『なんもしてへんよ、…それに嫌なところもない。』
「じゃあなんで?」
『ゆーり…が、嫌いや…』
私は目を合わすことができない、夢莉の顔が見れないでいた。
「…っ、彩さん私の目を見て!」
『嫌や…!!、、』
「そんなこと言ったって、私やって嫌やわ!!」
負けじといきなり大きな声を出して、私を怒った。
『ゆーり…』
「そんなよく分からへん理由で…彩さんと別れられるわけないやろ。」
『………』
ぎゅっ、、
私は黙って俯いてると、夢莉が優しく抱きしめて来た。
本当やったらここで抵抗せなあかんのやけど、好きっていう気持ちが思ってるよりやっぱりまだ大きくて出来なかった。
やっぱり夢莉を愛してる、でも…でも…
このままやったらあかんねん、苦しめることになる。
『でも…』
「なんで?そんなこと言うんよ…私のこと嫌いなん。」
『嫌いや…ない、でも…』
「でも?」
私はもう涙が止まらなかったけど、本当の別れようとしてる理由を言うことにした。
『ゆーり…を、苦しめたくないねん。』
「彩さん…」
『辛いも思いもさせたくないし、苦しめたくもない…それに、悲しい顔させたくないねん。』
「ごめん…」
『ゆーりから、笑顔を奪ってしまうんなら…別れた方がええねん。悲しむ顔見たくない。』
「ごめんね、彩さん…そんなつもりなかったんやけど。」
『やから、別れて…?』
私は一生懸命に泣き止もうとし、笑顔になれるようにしながら夢莉の顔を見た…
すると、やっぱり悲しそうな顔をしてる。
それに泣いてるんや…
「彩さん…泣かんでよ…」
『ゆーりやって、泣いてるんやんか…』
「だって別れたくないもん…彩さんが好きやねん、愛してるんやから。
私やって泣きたくないけど、彩さんが痛い思いしてると…どうしても辛い、やから…一緒に頑張ろう」
『でも…でも…』
「彩さん…」
『私、怖いねん…胃潰瘍でも手術は不安で…ごめんね?、弱くて…ゆーりが居らんとな寂しくて怖くて頭がおかしくなりそうねん。でも、苦しめたくない…本当に嫌われる前に別れたい。』
「そんなことないよ…苦しめてない。彩さん、私はずっとずっと一緒にいるから何も出来ひんけど寂しくさせへんから、もう…泣かんでよ…私は何を言っても別れんから。」
そう言うけど、夢莉も私に負けないくらい泣いてて…明日また目が腫れちゃう。
気付いたら、自分でも分かってなかった不安を吐き出してた…
でも少しずつ軽くなっていく。
『ゆーり…好き…』
「私やって、負けへんくらい彩さん好きや。だからもう別れ話なんてしたらあかんよ…?分かった?」
『うん…分かったよ、ゆーり…ん。』
すると、勢いよく私の唇は夢莉に塞がれた。
「私には彩さんしかおらんねんけら…」
『ゆーり…私もやで。』
病気のこともあってか、いつもよりは軽いキスやったけど…全て埋められる。
「ははっ、また…明日頑張ろう。」
『うん、目が腫れちゃうな?』
「あ、ほんまや…彩さんも腫れちゃうで。」
『ええよ?ゆーりと一緒なら…』
「ふふっ、彩さん…愛してるよ。」
『私も愛してる。』
私たちは明日が手術日やからか、今日は言いたいことを言ってお互いにスッキリさせたかったんかもしれへん…
不安を話すと、全て受け入れてくれて
別れたくないって言ってくれて、正直すごく嬉しかった。
明日から頑張ろう。