きみに、一輪の愛を…

□Episode9
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私はどうやら、2週間も寝てたみたいで家族みんなにかなり心配させてしまってたみたいやった…


しかも、かなり危険な状態で。





でも、目が覚めて良かった。




今、死んじゃったらまだ心残りばっかりですぐに戻ってきそうや…







「さや、これ山田さんが渡しといてって。」



『あ、読みたかったやつや〜』



夢莉はあれから、また前より来てくれる頻度が上がった気がする。


『でも、今日は何でこんな早いん?学校は?』



「んー、早退した。」




『早退してまでして来なくてもええんやで?学校はちゃんと行かなあかんよ。』




私は行きたくても行けないから、尚更そう言ってしまう…





「大丈夫やって、母さんにも言ってるし…さやの顔見たくなる。学校におったらさ。」




『ゆーちゃん…』




「やから、早く学校来て。」




『うん、頑張る。』




夢莉のためにもなんとしても、良くなりたいけど…でもそれが簡単には出来ないから怖い。





それならまた数日経って、私の治療は止まったまま痛み止めとか点滴だけはしてる。










ガラガラ…




「彩?、夢莉がここに早退してまだ来てるって本当?」



『え、あ…うん。』





お母さんが急に少し怒った感じで入ってきた。

つい、その迫力に負けて普通に言っちゃった…


「今、先生から電話来てな…出席日数がもう危ないって。」




『え、そうなんや…』



「もうほんまに、あの子は何を考えてるんだか。」




『ゆーちゃん、私のこと心配してんねん…また自分が来てないうちに何か起こったらって。』






「気持ちは分かるけど、あかんやろ…」





でも、その日はそれだけや終わらなかった。







お母さんは昼に帰ってからまた今日はきてくれてた。




私がまた検査の日やったから。





「彩、りんごでもたべる?」




『うん、ちょっとお腹空いたかな。』




「じゃあ剥くからな〜」




『ありがとう。』





ブー…ブー…ブー…




『ん?お母さん電話やない?』



「あ、ほんまや!ちょっと待っててな。」




『うん。』





外で話してるけど、なんかお母さんが謝ってる声が聞こえる気がした。





ガラガラ…




「ちょっと学校行ってくるわ。」




『なんかあったん?』 




「んー、夢莉がなクラスの子と喧嘩したみたいやねん。」




『えっ、ゆーちゃんが!?』





あの夢莉が私以外と喧嘩するなんて考えられなかった。


喧嘩って言ってもちょっとした言い合いとかするぐらいやけど…





「まだ色々もわからんねんけどとりあえず行ってくる。」




『うん、あっ…お母さん。』




「どしたん?」




『ゆーりのこと、あんまり怒らんであげてな…』




「えっ?」





『私のせいで、色々とストレス溜まってるんかもしれんやん…お母さんにもあんまり構ってもらえへんし。』




「ふふっ、あの子そんな子供やないんやで?彩やってそうやろ?私のことなんかどうも思ってないと思うで。」




『そうやろうか…』




「ま、分かったよ?じゃあ行ってくるからりんごでも食べてなさい。」




『うん、分かった…』




よっぽどのことがあったんやろうって、夢莉ことが心配でたまらなかった。



理由聞かれても何も答えへんで、相手のせいにされるんやないかとか…





ーーーー




「ほんまに、先に殴った方が悪くなるのに…あんたまで殴られて、お互い様で終わってまだ運が良かったんやで?」






「…分かっとる。」





「もう2度とこんなことしたらあかんよ。」




「それも分かっとる。」



今日はクラスのやつに彩のことを馬鹿にされて、カッとなって殴ったら殴り返されて喧嘩になった。





こんなこと初めてやったから、結構痛くてびっくりした…結局理由を先生に言わへんかったからお互い様で向こうから謝罪してもらえへんかった。



なんでこんなにカッコ悪いんやろ…









母さんが学校に呼び出されて、迎えに来たからそのまま彩のところへ行った。







検査の日やったらしくて母さんは先生のところに行った。





ガラガラ…





『あっ、ゆーちゃんっ!その傷!』




「え、あー…大したことない。」 



『殴られたん?』




「まぁ、俺も殴ったからさ…」




彩は僕の顔を見てすぐに心配してくれた…


そんな彩を見るとちょっと泣きそうになったのは秘密で、自分の弱さに嫌気がさす。




『ほら、これめっちゃ内出血してるやん…口の中も切ったんやろ?なんで喧嘩なんかしたんよ。』





口の横側に拳が入って、口中も切ってさらにそのまま頬の方に内出血が広がってる感じになった。



「いってぇ…触ったら痛いって、さや。」




『ふふっ、ガーゼあるから手当てちゃんとしてあげる。』


傷にわざとか触ってきて痛いって言うとちょっと嬉しそうにしてた。




「や、優しくするんやで。」


『わかっとるって、とにかく見た目が痛々しいから手をどけて。』





「ん…」





彩は優しくまた消毒してガーゼを当ててくれてた。





『ゆーちゃん…?、』





「ん?」




『なんか言われたん?』




「なにが?」




『私のことで。』




「いや、何にも。」




『じゃあ、なんで喧嘩なんかしたん。』




「いってぇ!!」




彩は僕が言わなかったら、またわざと傷をちょっと抑えてきた。





『言わんともっと痛くするよ。』




「ったく、卑怯やなぁ…」




『なんで喧嘩したん。』




言うつもりやなかったのに、彩はすごく喧嘩の理由を聞きたがった。
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