きみに、一輪の愛を…

□Episode8
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彩は病院に運ばれてすぐに処置されて、俺は母さんと父さんに連絡した。












「彩、大丈夫…?」




「傷もそこまで対したことはないって、ほんまに良かった。」




彩は処置が終わって少しして、すぐ目を覚ました。

頭に怪我はしたけど、出血のわりには大したことなくてとりあえず明日から詳しい検査をするからそのまま入院することになった…



母さんと父さんは、目を覚ました彩にすぐに声をかけてた。



『病院なんや…』




「歩いてたら、急に意識失って倒れたみたいやで?覚えてないやろ。」





母さんがそう言うと…





『違う…』



「え?」





『前のめりになって、身体が急に動かんくなってん…足もぐいって引っ張られてるみたいな動かんくなって、前に倒れるしかなかった。』




「そうやったん、とにかくこのまま検査入院することになったから…しばらく安静にしてるんやで。」




『うん…』




「じゃあ今日は帰るな。」




母さんと父さんが病室を出るから俺も出ようとした。




普通に喋ってるけど、花火見られへんかったこと俺と話したら思い出すんやないかって…何も言わずに出ようとした。




『ゆーちゃん…ごめんね。』




「さや…なんで謝るん、なんも悪くないやん。」




『私のせいで花火見れへんかったやん、ごめんね…』




「良いんだよ、そんなの…さやがとにかく目を覚ましてくれただけで。」




『ゆーちゃん、、、』





「早く元気なって、検査も終わらせて家帰ろうな。」




『うん、分かった…』





やっぱり具合がまだ悪いのか、元気がなくてさらに心配になった。




あの時、どう考えても様子がやっぱりおかしかったんや…





記憶が飛んでた後に気分が悪くなって、身体が動かなくて転んで頭打って。



転び方がおかしかったんや…
手を繋いでたのもあるのかもしれないけど、普通は転ける前に手が出るのに…彩は片手も前に出てなかった。





あの時のことを思い出すだけで、なんだか怖くなる。




病気がまた彩の体を苦しめるんやないかって…




ーーー






病院に運ばれたその日は疲れてたのか、夢莉が帰ると何も考えずにそのまま寝てしまった。







『ゆーり…』




次の日は日曜やったけど、私は薬の関係でほとんど寝てたみたいで…夢莉も来てくれてたみたいやけど会った気がしない。






それで今日は学校やから、朝は来ない…




分かっててもやっぱり寂しい。




この約1ヶ月くらい、退院してずっと夢莉と居たからこうやってベットで寝てても温もりが足りない気がして…







ガラガラ…




(彩さん、検査の時間なのでこっちに移って準備しますね。)




『はい…』





そして、今日は検査をするみたい。




なんであんな倒れ方をしたのか、原因を探す。




検査は一日中かかったのに、そこから三日間くらいずっと検査で身体がすごく疲れた…






『ゔぅっ…はぁ…はぁ…』




それに、なにも聞かずに治療が始まった?



副作用に似てる症状が次々に出てきて、なにがなんだか良くわからない…





『ゆーり、、、』





頭もなんだかすごい痛くて、身体ももちろんやけど…目を開けられないくらい辛い日々が続いてた。








2週間後…






その日の朝はやっと、その症状が落ち着いてて…色々と考えることが出来るようになってきた。








ガラガラ…






「さや、起きてたんや?どう、具体は。」





そしたら、ちょうど夢莉が来た。



なんだかすごい久しぶりな気がする…





『ちょっと落ち着いたみたいやで…』





「熱は…あ、まだ少しある。でも、しんどかったやろ?」





『なぁ、ゆーちゃん…?私って検査入院やっていってたよな?お母さんたち。』





「あー、確かに…俺も知らんねん何も教えてくれんのんやから。」




『そっか…抗がん剤の前は色々と心構えも必要やねん。やけど、なんかさ…』





「うん、そうやろうな…さや、意識障害起こしてたんやで?」




『そうなん?全然ここ数日しんどくて何も覚えてない。』




「やろうな、俺が呼んでも返事せんかってん。」





夢莉から私の様子を聞いたら、やっぱり検査結果で何かあったんやって…思う。




もしかして、転移?…





そうやったら、私はもうダメなんかなってなんとなく思った。
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