きみに、一輪の愛を…
□Episode1
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『ごちそうさま…』
「食べてやるよ。」
『良いん?』
「食べたくないのに食べても吐いたらあかんし。」
私はこの夢莉の言葉に本当は泣きそうになった。
『ありがとう、ゆーちゃん…』
「ゆーちゃんって呼ぶな。」
『ふふっ。』
そっけないとか冷たいとか、そういうことをよく言われる双子の弟の夢莉やけど…
私にはすごく優しくて、めちゃくちゃ愛情深くて誰よりも私の味方で居てくれる自慢の弟。
それに誰よりも私のことを昔から見てて少しの変化にも夢莉が一番早く気づいてる…
きっと、食欲がないのもわかっててお母さんに怒られるないようにここに連れてきて少しでも食べさせようとしてくれた。
「じゃあ2階あがろっか。」
『うん、あ…でも私はお風呂入ってくる。』
お母さんは途中で駅までお父さんを車で迎えに行ってて居ないから夢莉に残してるのを食べてもらえた。
いたら絶対心配してたし、食べさせられたやろうな…助かったや。
「そっか、わかった。」
『うん!』
お風呂に入って、服を脱いだ自分の体を鏡越しに見ると…やっぱり太るどころか段々と痩せてきてる気がする。
やから食べないといけないのに…一口でも食べると、あとですぐに吐き出しそうになるくらい気持ち悪くなって食べられない。
どっか悪い病気なんやろうかって、思うけど…怖くて誰にも言えないし病院にも行きたくない。
どうしたらええんやろうか…
「ほら、痩せたよね。」
『きゃっ!ちょっとゆーり!』
すると、夢莉が脱衣所のドアから覗いてて私は叫んだ。
夢莉の私が好きって言ってくれる気持ちは、兄弟の域を超えてるのは分かってる…
私やって他の同級生よりも誰よりも夢莉が好きで愛おしくてたまらないけど、それはいけないこと。
私までその想いを夢莉に伝えたら、夢莉のためにならないから…兄妹の関係どころかそれをお母さんたちが知ったら家族が壊れる。
だから、だからこの胸で止めてる。
「痩せてるやん…」
『もう!高校生にもなって…』
「なに?」
『見んでよ…そういうのもう、恥ずかしいねん。』
「俺は全然大丈夫やけど…?」
『私は!大丈夫やないの!ほら出て出て!』
「なんだよぉ〜」
夢莉はふくれっつらで戻って行った。
タオルで急いで隠したけど見られちゃったな…
ほんまに、時々夢莉の行動が度が過ぎてて怖くなることもある…けど本人は悪気ないからこうやって怒って分からせてる。
それからお風呂から出て私は布団に入った…
最近なんかすぐに疲れちゃって、夜は起きてられない。
夢莉はきっとまた拗ねたんやろう、部屋には来なかった。
『うゔっ、、!!』
でも、夜中に目が覚めるほど吐き気襲われてすぐにトイレに走った…
『げほっ、、げほっ、、ぅゔっ…』
ほとんど今日は食べてないし、昨日も吐いたから嗚咽を繰り返すだけで吐けなくてただ苦しかった…
「さや…?大丈夫?」
『はぁっ、はぁっ…ゆーちゃん、、』
「気持ち悪いの?」
『うん、、げほっ、げほっ、、』
「母さん呼んでこようか?」
『ううん…心配させたくないねん。』
「でも、体調悪いなら病院行かなあかんよ。」
『うん、、ぅゔっ…げほっ、げほっ、、』
それからしばらくトイレから動けなくて、夢莉にずっと背中をさすってもらった。