小説

□空から愛が降ってくる。続2
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どさっ、、、



「彩さん?!しっかり!!…」




『はぁっ、はぁっ…』




私はいつもの夢莉やって、分かったらいきなり身体の力が抜けたと思ったら全身に強い痛みが走る…




そういえば、術後で熱もあったんや。





「誰か呼んでくる!!」



「彩さん…?どこか苦しい?それとも痛い?あ、熱もあったんや。」




『い、たい…』




「痛い?どこが?分かる?彩さん!!」




『んっ、…』




「彩さんっ!!しっかり!!」






私はそのまま痛さに、意識を失ってしまったみたいやった…




夢莉の声が聞こえる。








ーーー












「彩さん…?」




『んぅ、…ゆーり…?』




術後で熱もあったのに、私が勘違いをさせて彩さんを散々悲しい想いをさせて無理させたから…




薬が切れてしまい、でも飛び降りるとか言ってドーパミンが出て分からへんかったんやろう…落ち着いた時に体の痛さに失神してしまった。



でも、目を覚ましてくれた良かった…







「大丈夫?」






『うん、大丈夫やで…ごめん。』





「謝らなくて良いんだよ?なんにも悪くないんだから…一緒に頑張っていこうね。」




『ありがとう…』




彩さんは、それから治療を一生懸命頑張ってくれた…



やから2ヶ月後には退院することが出来た。










もう時期は終わってるけど、2人で花見…いや、もうピクニックで良いか行くことにした。











「よし、忘れ物は無いね。」




『うん…そうやけどさ。』



「ん?」




『私が行っても、迷惑かかるだけやんか…』




「何言ってるの?彩さんが居ないと意味ないやんか…朱里ちゃんも居るし大丈夫!」





『やっぱり、2人で行っておいで?』




彩さんが気にしてるのは、多分車椅子では行けれない階段があって…



そこで私が彩さんをおぶって、朱里ちゃんは車椅子を持ってくれる。



たぶん、それを気にしてるんや。




なら違う場所にしたらって言われるやろうけど…そこにはたくさんの花が咲いててお花見になるかなって。



やからそこでないと意味がない…




「もう、怒るよ…私は彩さんと行きたいのに。」




『やって、迷惑…』




「迷惑なんかやないよ、彩さん。
ね、お弁当も一緒に作ったんやし…ほら行こう。」




『うん…』




でも、彩さんは納得いかないみたいだった。



これやったらせっかくのお花見やのに…
車の中で少し話すことにした。





「よいしょっ…」



『ありがとう。』



「うん!」




彩さんをおぶって、そのまま助手席に乗せてあげた。



薬の副作用がまだ残ってて、手足が上手く使えなくなってるんや…
だから、そこまで歩くことがまず出来ひんし、シートベルトも止めてあげないと出来ない。



「よしっ、シートベルトも出来たね!痛いところとかない?大丈夫?」




それに痩せたのもあって、身体の当たりどころが悪かったらすぐに赤くなったり内出血してしまうのに…

私に悪いと思うのか、言わないことが多くて痛くてどうしようもなくなるまで言わない。




やから、私がこうやって聞く。


『ちょっと腰が痛いかも…』



「わかった、クッション当てるね。」




今日は少し既に怒られたから、言ってくれた。






「これで大丈夫かな?」



『うん、ありがとう…楽になった。』



「あのさ、彩さん…?」




『ん?』



「私は彩さんと出逢うことが出来て、本当に嬉しいよ。」




『どしたんよ、急に…』




「彩さんとだから、今幸せに暮らせてる。」




『ゆーり…でもっ、』



「ううん、大変なことがあったとして…彩さんと乗り越えたい。彩さんだけが取り残されることなんてないんだから。」




すると、だんだんと彩さんは目に涙をためた…




「やから、もう迷惑とか言うのやめよう?」


『でも…』




「でもやないよ?やめるの。あと、ごめんねも…ネガティブなこと言うのはやめようね。私も言わないから!」




『うん、分かった…ありがとう。』




「うん!じゃあ、しゅっぱーつ!」




『ふふっ。』





それから、彩さんの笑顔がよく見られるようなった気がする。











「はぁっ、はぁっ、…」



『ゆーり、大丈夫?降りようか。』




「夢莉!あとちょっとや!」





いくら彩さんが軽くても、おんぶしての階段の上り下りは息切れしちゃう。



もっと、私が力持ちで体力があって頼り甲斐があったら…とよく思う。











「はぁっ、はぁっ…ついた!!」




『大丈夫?ゆーり…』




「ほらほら、彩?前の方見てみ?」




「綺麗だなぁ…ほら、彩さん。」




『えっ、ほんまや…すごい綺麗。』




階段を上って少し高めの坂から見渡すお花畑…彩さんと一緒に見られたことに私は感動した。







「ふふっ、ゆーり?彩…泣いてる。」




『泣いてへんもん!』




私はおんぶしてるから、彩さんの顔がよく見えなかったけど…鼻をすする音が聞こえたからそうなんやと思う。



喜んでもらえたみたいで、よかった。









そして、レジャーシートを引いて彩さんの椅子を出して座らせてあげた。






『グスッ…』




「彩さん、ほら…涙拭いて?」


「でも、良かったね?みんなで見れて。」




『うん!ほんまに、ありがとう…生きてて良かった。』




「大袈裟やない?ははっ。」



「ほら、お弁当食べようよ!お腹すいた!」




『ふふっ、私らで作ったんやで?』




「わぁ〜!美味しそう。」



「私、彩さんの卵焼き大好き。」



『ゆーり…』



「また作ってね!」



『うん!もちろん。来年もこれたらえてなぁ…』



「彩さん…」


そう言って、嬉しそうな顔をしてるかと思えば…切ない顔をする。




私はこの現実に胸が締め付けられる。



来年、彩さんが居ないかもしれない…そんなこと考えたくもない。



「来るよ。絶対に…」



『ゆーり…』




「一緒に絶対来よう!」



『うん!ありがとう。』



お願い、神様…



どうか私から彩さんを奪わないで。



明るく振る舞っても、やっぱり怖さは減らないんだ。


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