貴方の隣(長編)
□日常から非日常へ
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急いで学校に行かなければ、と思いながらも小夜の足は違う方へ向かってしまう。
そして辿り着いた先には、注連縄を施された大木。
立て札には、御神木と書かれていた。
「…こんなの、あったっけ?」
あまり通らなかったとはいえ、自分の近所にこんなものがあれば知っていた筈なのに、初めて見た。
辺りは林。神社やお寺はなく、御神木というよりただの大木にしか見えない。
…なのに、呼ばれてる気がした。
「…不思議な木……。私を呼んだの、この木なんだよね…?」
小夜は御神木に触れてみた。
その木は、とても暖かく感じた。
「…やっぱり、気のせいよね?私、頭どうかしちゃったかな」
特に何も起こらないのに、時間を割いてしまった。
早く学校へ行かなくてはと手を離そうとした瞬間…
「…ッッ!?キャーーッッ!!」
眩い光が、御神木から放たれ小夜を包んだ。
そして逃げ出す間もない内に、小夜は強い何かに引き寄せられていった。
意識が遠のく中、声が聞こえた。
ー待っていた、とー
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