貴方の隣(長編)

□出会い
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しばらくして、二人は村らしき場所に辿り着いた。


「……えっ?ちょ、なんですかココ?」


「む?見ての通り村じゃが」


「それはなんとなく分かるんですが、馬とか着物着た人達ばっかりで…」


村に着いてすぐ、小夜は唖然とした。

まるで時代劇で見る村の風景に、何処から突っ込んでいいか分からなかった。


「ふむ…、かごめと同じ国から来たとなれば物珍しいのかもしれんな」


楓は小夜の心情を察して、ひとまず家にと連れていった。


「とにかく、かごめと会えば気も紛れるかもしれん。幸いかごめはこの村に戻ってきておる。すぐ会えるじゃろう」


「は、はい…」


頭の中は大混乱だったが、楓に会えたことは命拾いしたのだと感じた。


そして待つこと数分後…


「ただいま」


と声を掛けながら、セーラー服の女性が入ってきた。


「セーラー服!!本当に似たような人が居たっ!」


小夜は思わず叫びながら立ち上がる。
それに驚く女性。


「えっ?あ、貴女は…?」


「やっと!やっと話が通じそうな人に会えた!ね!?ココ何処なの!?なんか見たことないものばかりでそれから…!」


小夜の発狂にも似た質問攻めに、女性は困惑する。


「ち、ちょっと待って?混乱してるのは分かるけどとりあえず落ち着いてちょうだい」


「あ…、ごめん。身近な人に会えて一気に混乱が…」


「とりあえず、自己紹介するわね?私は日暮かごめ、中学三年よ。貴女は?」


「私は松野小夜。高校一年生」


「高校一年生なの?あ!その制服まさか…あの有名な進学校じゃない!?」


「へっ?あ、えーと…確かにちょっと偏差値は高いかな…?」


「すごーい!!昔の私でも狙えそうになかった学校よ!?」


何故かかごめが叫び始め、小夜は苦笑いした。


と同時に、かごめのその姿を見て自分の冷静さを取り戻したのだった。



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